BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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先輩の言葉が力を与える!3日目前半のピットから

 守屋美穂、4連勝! いったんは西村美智子のまくり差しを許したが、2マークで捌いて逆転。1マークは清埜翔子のカド攻めもあって窮屈な隊形からしっかり差したし、2マークは好展開もあったものの、足的にも西村を圧倒。冷や汗ものではあったが、文句なしの勝利であった。

 そんな守屋に対しては、海野ゆかりや大瀧明日香など、他支部の先輩たちもすれ違いざまに笑顔とともに祝福の声をかける。その様子には脱帽というニュアンスも含まれているように見受けられた。守屋は後半10R5号艇。ここでも連勝を伸ばせるかどうか、注目だ。

 惜しくも2着となってしまった西村だが、陣営はかなり盛り上がっているのだった。エンジン吊りで取り囲んだ面々が嬌声をあげる場面もあったほどだ。西村はここまで苦戦気味。足色はかなり劣勢だった。ここはキャブレターを交換して登場しているが、そうした整備も含めて、陸でも奮闘を見せていた。昨日は最後まで試運転を続けていた一人ともなっており、パワーアップに必死な取り組みを見せていたのだ。

 その様子は、仲間も見ていた。平高奈菜は、係留所まで降りて西村の試運転を見守り、係留所に戻ったときなど西村に多くの言葉を投げかけていた。香川支部では最も登番が上となっている今節だが、平高にしろ平山智加にしろ期も年齢も近く、仲間という意識も高いだろう。そうした間柄である西村が、足も上向いているように見えたし、あと一歩で守屋の連勝を止めていたのだから、テンションも上がって当然。これに力を得て、平高も平山もギアを上げていきたいところだろう。

 その2Rで1号艇だった西岡育未は、懸命の先マイを放ち、バックで後手を踏んでも2マークでは諦めずに切り込んでいき、これが西村と競り合うような格好になって、守屋が捌く結果となっている。西岡はその後の道中も奮闘を見せたものの、細川裕子に競り負けて4着。悔しいイン戦となってしまった。

 その西岡にすっと歩み寄って言葉をかけたのが岩崎芳美。工務店軍団としてオープニングセレモニーを沸かせる徳島支部の面々だが、岩崎社長は実によく部下たちに気を配っている。西岡にしろ、喜多須杏奈にしろ、井上遥妃にしろ、レース後は優しく寄り添って言葉をかけるシーンを毎度見かけているのだ。結束の強さはもちろんだが、岩崎の人柄がそうさせているのではないかと思われる。

 こうした心強い先輩は他支部にもいて、3Rで1号艇を活かせなかった刑部亜里紗には長嶋万記が寄り添った。悔しそうに険しい顔を見せていた刑部は、長嶋の言葉に神妙に耳を傾け、やがて笑顔が戻った。長嶋の言葉がおおいに響いたということだろう。今節に限らず、静岡支部の後輩たちが長嶋に声をかけられているシーンは、女子ビッグではこれまで何度も見てきた。今節なら柴田百恵もそうだし、今節は参加していないが山下友貴や土屋実沙希らも長嶋と話し込んでいるのを何度も見たものだ。

 福岡支部でそうした役割は、川野芽唯か。朝のプロペラ調整室で、米丸乃絵が川野の隣でペラを叩いており、川野は時に米丸を心配そうに見つめながら、言葉をかけてもいたのだった。

 そして3Rで連勝が途絶えてしまった戸敷晃美にすっと歩み寄ったのも川野だった。昨日の2連勝目のレース後には爽快な笑顔を見せていた戸敷も、さすがにこのレース後には落胆したような表情になっていたのだが、そんな戸敷に川野は身振り手振りでアドバイスを送っている。それは同時に、励ましの言葉にもなっていたことだろう。この大会は特に若手選手の出場が多いわけで、彼女たちにとって歴戦の先輩たちから、この大きな舞台で言葉を授けられるのは実に大きいことだと思う。この大会に選ばれるということは、通常の女子戦の何倍にも値する経験を積むチャンスでもあるのだ。

 それにしても、その3Rで前付け2コースから勝利を収めた中谷朋子はお見事の一語! 前付けの少ない女子戦にあって、中谷のような存在は貴重。そしてそれが勝利を追い求めての前付けであったことを証明するような快勝は、女子戦に上質なコクを与えるものだ。ピットに戻り後輩たちに囲まれて、それほど感情を表には出していなかったが、時に柔らかい笑みも浮かんでいた。決して大きなアクションを見せるタイプではないけれども、会心の勝利だったことは間違いない!(PHOTO/池上一摩 TEXT/黒須田)