BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

優勝戦 私的回顧

怪物コンビ、完結。

12R優勝戦
①守屋美穂(岡山)02
②西橋奈未(福井)11
③長嶋万記(静岡)08
④實森美祐(広島)07
⑤平高奈菜(香川)11
⑥岩崎芳美(徳島)14

 守屋が勝った。
 圧倒的なファン投票数で得たドリーム1号艇を逃げきり、怒涛の5連勝で一度も予選トップの座を譲らず、準優も優勝戦もコンマゼロ台のトップSで突き抜けた。4着があるからパーフェクトとは呼べないが、シリーズを通じて「無敵の完勝」と称賛していいだろう。

 レースを振り返るのは半周だけで十分か。この大本命に鈴をつけに行ったのは、隣の西橋ではなく4カドの實森だった。カド受け長嶋と同体のスリットから伸びる伸びる。あっという間に長嶋~同期の西橋を引き波にハメ込み、さらに迷うことなくイン守屋まで叩きに行った。「地元の意地」という月並みな言葉が、真っ赤なオーラを纏ってぴかぴかに光り輝くような特攻だった。

 だが、實森が内のふたりを叩いてターンマークを旋回したときには、もう守屋はいなかった。脱出していた、と言うべきか。實森の影さえ踏むことなく、ターン出口で3艇身は千切り捨てていた。あの突出スタートにしてあのモーター。戦前にほとんどのファンが予想していたとおり、守屋美穂73号機は圧倒的に強かった。モンスターだった。

 嗚呼、それにしてものコンマ02! つい1カ月前の児島GI準優で+04の勇み足をやらかし、間もなくオールスターやグラチャンというふたつのSGが控えているのに、コンマ02。私はレース後にこのドッキリ数値を知って、すぐに開会式のセリフを思い出した。

たくさんの投票
本当の本当にありがとうございます
自分より自分のことを
信じてくれる人がいるということを
幸せに思います。
メチャクチャがんばるけぇ
見とってやーー!!

 なにがどう、とは言わないが、ガチで有言実行の電撃スタートだった。そして、こんな選手だからこそGⅡでもSGでも、オールスターと名のつく大会で凄まじいファン投票を引き寄せるのだろう。先の記念準優Fで8月レディースチャンピオンや年末クイーンズクライマックスの権利を剥奪された身の上、9日後の多摩川SGオールスターで“一階級特進”の活躍を魅せてもらうとしよう。守屋美穂、2度目のレディースオールスター戴冠、おめでとう。

 あとは余談の領域に入るが、宮島では1カ月も待たずに70周年記念GI「宮島チャンピオンシップ」が開幕する。守屋とともに頂点に立ち、初下ろしから23節目にしてはじめて【2V】の栄冠を得たエース73号機がどれだけ暴れてくれるのか。そっちの方も今大会のスピンオフとして大いに注目したい。もしも73号機が今節と同じような噴き方をするなら、当地の記念連覇も十分にありえるだろう。

 あ、それからそれから、昨日まで未勝利だったグレートマザー日高逸子さまが、最終日に凄まじい鬼足で2連勝。デビュー2500勝の偉業には惜しくも届かなかったが【マジック1】を点灯させて当大会を締めくくった。逸子ママの次回予定は、鳴門の一般シリーズ。5月22日の初戦から、大記録を達成する瞬間を見届けるとしよう。(photos/チャーリー池上、text/畠山)