
白井英治が本体整備に着手した。ついに、と言うべきなのか。必勝態勢で臨んだはずの8R1号艇。インから先に回ったものの、椎名豊に差しを許してしまった。今日は2着2本で、決して悪い成績というわけではないけれども、前半も事故レースをすり抜けての2番手浮上で、決して好気配を見せたわけでもなかった。逆転グランプリには優勝しかない状況で、このままでは心もとないのは確かで、8R後にはもしかして……となんとなく予感もあったのである。本体を完全に分解したので、大きな部品の交換もあるかもしれない。整備士さんたちも心配そうに見守っており、彼らのエールを感じながらの整備となっている。

整備の瞬間をはっきりと目撃したわけではないのだが、松井繁が本体を組み上げている場面を見たので、王者も整備をしていた可能性はある。初日のイン逃げ後のウィナーインタビューではかなりご機嫌な様子を見せていた松井。しかし今日は6号艇5着で、リズムに乗り切れていない感がある。グランプリ出場は当確としているものの、地元グランプリに出る以上、ただ出場すればいいなどと考えているわけがない。ならば初戦を少しでも有利な状況で戦うために、ランクアップを目論むのは当然。準Vで1st初戦の好枠、Vで2nd発進が見えてくるだけに、何としても底上げしたいところだ。

10Rは前半で妨害失格をとられた毒島誠が逃げ切った。勝ち上がりの権利を失っての勝利は、毒島を浮かれさせるものになろうはずもないが、粛々とレース後の作業をこなす毒島には、何らかの決意を感じさせるものが漂っていた。ウィナーインタビューは公開で行なわれており、ファンの前で前半の詫びを言いたいという思いもあったのだろうか。賞典除外ではあっても、戦いはまだまだ続く。しっかり走り切ることが、グランプリにもつながっていくことだろう。

この10Rでは河合佑樹が3着。磯部誠に猛追を浴びたが、振り切っている。レース後、磯部は無念そうに天を仰ぎながら、河合と感想戦。磯部も底上げはできているように思えるのだが、しかし河合のほうが強めに見えたのはたしかで、そのあたりの感触を河合に伝えているようだった。

河合には、前田将太、上野真之介が歩み寄って、しばし会談が続いていた。102期トリオ! 3人ともが圏外からグランプリ勝負駆けを戦う面々。やはり励まし合う相手は、心安い同期生ということになるのだろう。河合はグランプリ出場には優勝しかない。選考順位下位で、現時点では1号艇も回ってこない予定だ。2走舟券絡みで来た成績をどこまで引き上げられるか、2号艇と4号艇で走る明日は試金石となるだろう。

9R、西橋奈未が2コース差しで快勝。ドリーム2着からの勝利で、2日目終了時点での暫定トップとなった。レース後は報道陣にぐわっと囲まれての長い会見。10R発売中の時間をほぼすべて使って、丁寧に受け答えをしている。

差された寺田千恵は、相当に悔しさを感じているようだ。平高奈菜に声をかけられて、顔の前で大きく右手を振って「ダメダメダメ」とポーズをしたり、宇野弥生には泣き真似をしてみせたりと、やけに陽気ではあるのだが、その宇野の会話から「走らされちゃって」という言葉が聞こえてきている。若手である西橋との駆け引きに敗れたようであるのが、女子レーサーの偉人としては屈辱的ではあっただろう。GⅡは全員が予選6走の予定だから、まだ半分残っている。この敗戦はかえって巻き返しへの決意を高めたかもしれない。

その9Rでいったんは3番手も狙えるかという隊形でありながら5着となった向井美鈴。レース後、控室に引き上げてからほんの1~2分で装着場に姿をあらわしている。向った先は整備室。本体整備中の白井英治のもとだった。ふたりは並んで整備室内のモニターに映し出されたリプレイをチェック。向井が白井にアドバイスを求めたシーンである。白井も整備の手をいったん止めて、向井に言葉を投げる。頼れる先輩がそこにいる、というのは大きいはずだ。地元二人の巻き返しに期待します!(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)