寒暖の1マーク
11R
①渡邉優美(福岡) 23
②海野ゆかり(広島)18
③平高奈菜(香川) 13
④平山智加(香川) 17
⑤三浦永理(静岡) 17
⑥西橋奈未(福井) 19
熱さと寒さが1周1マークに同居したレースだった。アツかったのは2コース海野。イン渡邉が昨日同様に凹んだところ、伸びなり一気のジカまくり! スタートの凹凸が激しかったとはいえ、最近の海野の必殺技が炸裂したわけだ。
が、ジカまくりは簡単ではない。1マークの手前から握りっばでまくった海野は、遠心力に抗えず大外へぶん流れ。その間にセンターから香川のひらひらコンビがズボズボに差し抜け、瞬く間に4=3隊形ができ上がった。まさに激熱の1マーク!
この展開には続きがあるのだが、その前に極寒のツンデレ地帯へ。私が予想欄でも大いに期待した西橋だ。アウトからしばらく直進し、正攻法の最内差しへと舳先を傾けた瞬間、完全にバランスを逸してエンスト……何かしらのアクシデントがあったのかも知れないが、私の目には気持ちが入りすぎのハンドル入れすぎでジ・エンドみたいな見え方だった。嗚呼、事実上のV戦線からの脱落。トライアル組の新兵のスピードと度胸がどんだけ通用するのか、最終日まで見届けたかったな。見方を変えれば、明日からは“味噌っかす”的な視線を浴びるはずで、舟券的には人気の盲点になるかも??
アツいレースに戻る。とは言え、事故艇が発生して事実上のレースは1周2マークのみ。このまま香川のひらひらコンビが交差旋回して4-3決着か、と決めつけていたらば、とんでもない逆転劇が起こる。1マークで海野にまくられたはずの優美が、バック内ラチを走ってそのまま窮屈な小回り旋回。さすがの無理筋ターンで流れて終わりかと思いきや、しっかりサイドが掛かり、ガッチリ舟が返って先頭に躍り出た。平山×平高がけん制し合っている利もあっただろうが、それにしてものミラクル逆転ターン!
「ビックリしました、何かが押してくれた気がします」
レース後の優美は満面の笑みでオカルトっぽいセリフを吐いたが、ガチで目に見えない誰しらが優美の背中を押したのではなかろうか。その後は1マークまでに5艇が減速し、1-4-3でレースは終わった。
バトルロワイヤル
12R
①細川裕子(愛知) 28
②川野芽唯(福岡) 27
③浜田亜理沙(埼玉)20
④宇野弥生(愛知) 12
⑤遠藤エミ(滋賀) 15
⑥藤原菜希(東京) 21
やっぱトライアルはGPだけじゃない。むしろ今年は、コッチの方が死闘レベルとなった。激熱だけの1周。
火を点けたのは4カドの宇野。地元の意地を胸に秘めて私らしくスタートをぶち込み、私らしく絞めまくった。浜田と川野も絞め倒して、最後に絞めに行ったのは絶好枠にして同県の細川!
もちろん、是が非でも1着が欲しい細川とて一歩も引かない。勢いよく弥生に飛びつき、情け容赦ないブロックで外へと放り出した。こんな激烈なカドvsインの同県競り、男どものレースでもとんと見かけなくなったぞ。
細川と宇野が仁義なき戦いでともに傷を負った間に、すぱーーんと差し抜けたのは5コースの遠藤。この女傑が、こんな美味しい展開で指をくわえるわけもなし。絞めまくる宇野の航跡、絞められた選手たちの動向を冷徹に観察しながら、もっとも間隙の空いたゾーンに舳先を突っ込んでいた。驚くに値しないSGレーサーの挙動。
これで1着がほぼ確定したが、今度は2着争いがヤバイ。宇野を外へと葬りながら鋭く舟が返った細川vs宇野にまくられながら川野をまくっていた浜田の一騎討ち!! もちろん、こんな火花散る1マークだから、両者のアドレナリンもMAXまで噴き出していただろう。
バック後半、両者は一歩も引かずに2マークまで直進し、勢い外からツケマイを放った細川を、浜田が豪快に張り飛ばした。これまた大競りだから、2艇ともに深い傷を負う。その間に、今度はバック4番手の藤原(チルト1.5)がズッポリと差し抜けていた。
レースとしてはここから縦長になって行くのだが、恐ろしいほど「水上の格闘技」がてんこ盛りの1周バトルだった。
レース後、浜田に不良航法が言い渡された。枠番抽選のモニターに映った浜田はじわり憔悴して見えたし、絶好枠で勝ちきれなかった細川は肩を怒らせているように見えた。遠藤エミ以外の5人は、すべて自分の持ち味や勝負手を封じられたこのレース。彼女たちの脳裏にさまざまな思いが残る一戦だったろうし、見る者にもさまざまな思いを残す一戦だった。
とても得難い、強い女だけのバトル・ロワイヤル。
私はそう思った。(photos/シギ―中尾、text/畠山)
トライアル第3戦
11R
①渡邉優美(福岡)16点 5着
②藤原菜希(東京)13点 2着
③細川裕子(愛知)13点 2着
④宇野弥生(愛知)9点 ―
⑤三浦永理(静岡)15点 3着
⑥平高奈菜(香川)12点 2着
12R
①遠藤エミ(滋賀) 20点 当確
②海野ゆかり(広島)10点 1着結果待ち
③西橋奈未(福井) 7点 ―
④浜田亜理沙(埼玉)9点 ―
⑤平山智加(香川) 16点 5着
⑥川野芽唯(福岡) 11点 1着
※着順はボーダー想定21点での勝負駆け条件