9Rは大波乱! 4カドの神里琴音が遠藤エミや海野ゆかりらスロー勢を叩き切ってまくりを放つと、外枠の刑部亜里紗、山口真喜子が連動! 刑部が抜け出して先頭に立ち、外枠ダッシュ勢が上位独占で今節2度目の10マンシュウを叩き出した。若手たちが女帝遠藤や百戦錬磨の海野らを撃破したのだから、これは大殊勲だ! 今節は痛恨のレースもあった刑部が、予選ラストで大きな勝利をあげたわけで、これは先々にもつながる勝利であろう。
それにしても、神里は惜しかった! 勝っていれば水神祭だったが、差されたうえに山口との2番手争いでも競り負けてしまった。レース後はすぐに川野芽唯のもとへ歩み寄って、川野のアドバイスを受けた。川野は手振りでどうすればよかったかを伝え、「焦っちゃったねー」。神里は神妙にうなずいて、ありがとうございましたと礼を言った。笑顔を返す川野。ここで川野から受けた薫陶は確実に血肉となる!
山口は2着で勝負駆け成功! 滝川真由子ら先輩からも祝福を受けている。山口も刑部をパスしていれば水神祭だったから、悔しい思いもあるだろうが、この借りは準優で晴らしたいところだ。
それにしても、遠藤がまさかの大敗で一時は予選落ちもあるかと思われたのだから、驚いた。6・00まで得点率を下げ、ただし上位着順の差で予選突破は決めたが、主役候補のこの取りこぼしは優勝争いにも大きく影響を与えそうだ。レース後の遠藤は淡々とはしていたが、今日の走りをもとに明日は準優に向けて調整に没頭する一日になるだろう。
意外な大敗といえば、8R1号艇の平山智加。蜂須瑞生に差されたばかりか、道中キャビって5着大敗。準優は無事故完走当確だったので予選突破とはなったが、逃げておけば準優1号艇だっただけに、この敗戦は痛すぎる。平山はレース後、即座に本体整備。この敗戦での違和感をすぐにでも解消せねばいられない、といったところだろうか。準優は外枠で戦うことになるだけに、少しでも上積みしたい思いもあったはずだ。
10Rの長嶋万記も痛恨すぎる。3着で6・00だったが、1着がないだけに2着以上で準優安全圏に入っておきたい一戦。小野生奈との2番手争いとなり、これをなんとか捌き切りたかったが、2マークでまったくサイドがかからず舟が浮き、転覆は免れたもののエンスト。なんとか復帰して完走はしたが、タイムオーバーの危機もある6着大敗である。新設PGⅠが地元で開催されると決まったときから燃えるものはあっただろうに、不完全燃焼での予選落ち。レース後は心配そうに集まる多くの選手たちに朗らかな振る舞いを見せてはいたが、内心は忸怩たるものしかなかっただろう。
地元のダブルエース・三浦永理も、11R1号艇で2着。勝負駆けには成功したものの、決して納得のいく結果ではなかっただろう。昨日の転覆がなければ……とどうしても悔やまれるところ。控室へ戻る道すがら、三浦の表情はついに晴れることはなかった。なんとか準優をクリアして、晴れがましい顔を見たいものだが……。
さて、予選トップは平高奈菜。12Rを逃げ切って、堂々たるオール3連対でのトップ通過である。4日目12R、準優12R、優勝戦12Rの1号艇王道ロードにしっかり乗っかってみせた。なにしろ、12R後の勝者というのはウィナーインタビューに急がねばならず、エンジン吊りを終えるやすぐさまブースに駆けつけるため、トップ通過の余韻に浸っている間もなさそうだった。代わって喜びを表現していたのは、出迎えた岩崎芳美。社長、いつも魅せてくれますね(笑)。
この12Rでは、いったんは2番手の目もありそうだった小芦るり華が、結局は着を落として4着。得点率6・00となってしまったが、上位着順差でなんとか18位に踏みとどまった。そこまで把握していたかどうか、レース後の小芦はやや力ない表情。着を落とした悔しさや反省点などを噛み締めていただろうか。勝利者インタビューブースのモニターに映し出されるリプレイも最後までしっかり見届けている。それにしても、これで次点となったのが同支部の山本梨菜で、どうしてこう関係の深い者同士のボーダーを分ける明暗がよく起こるのだろう……。勝負駆けあるあるってやつかもしれないけれども、なんだかいつもせつない気分になります。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)