BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――パワーアップをはかる!

 初日は1号艇6着など大きい着を並べてしまった白井英治。今日は朝から本体を割って整備を行なっていた。初日から整備ラッシュと昨日も書いたが、今日も2Rで今垣光太郎と海野康志郎が部品交換で臨んだように、機力が足りない選手たちは必死にパワーアップをはかっている。白井もまた、このままでは終われないと本体に着手したというわけだ。機力が厳しいから整備を行なうわけで、白井の表情も必然的に厳しくなっている。これが光明になればいいのだが……。

 初日の2走はいずれもギヤケース交換で臨んだ地元の新田雄史は、今日は本体整備に取り組んでいた。その2走で2着4着は数字上は上々にも見えるが、後半の4着はF艇が2艇出たもので、実質はシンガリ負け。パワーアップは急務だし、地元SGなのだからなお力は入る。新田を見守る整備士さんたちも地元の砦には何とか立て直してほしいと感じているのだろう、心配そうな顔つきに見える。ただ、新田自身はそこまで悲愴感を漂わせているわけでなく、淡々と作業を進めている雰囲気。気配アップを信じて、やるべきことをやるのみといったところか。

 先述したように海野康志郎が部品交換で2Rに登場。ピストン2本、ピストンリング4本だから、なかなか大きな整備だ。それが実ったか、3コースまくり差しからの2着。いったんは逃げた山田康二のふところを捕らえており、まだ上昇の余地はありそうだが、ひとまず巻き返しは果たした。海野といえば、何と言っても減量。前検日55kg、初日54kg、そして今日は53.1kgと、今節も着々と体重を落としている。レース後、さすがに疲労の色も濃く、ただその努力も機力向上を後押ししているとも言えそうだ。得点率的にはまだ厳しい状況ではあるが、ここからの奮闘にも注目していこう。

 その海野を逆転するかたちで1着ゴールの山田康二。出迎えた同期の前田将太が悪戯っぽく笑いながら出迎えると、山田は苦笑を返している。「危なかったぁ~」ってなところだろう。山田も初日は大きな着を並べているので、この巻き返しは大きい。1号艇ではなんとか1着を獲っておきたかったわけで、まさに意地の逆転!

 1Rは山崎郡が4カドまくり一撃。カドからじわじわと出ていって、1マークは思い切った外マイを放って先頭に躍り出た。これぞ山崎郡の真骨頂! ピットに戻って来たときには、わりとクールに振る舞っていた山崎。まだルーキー世代の頃はそうでもなかった記憶があるのだが、SGでの山崎はあまり表情を崩したりするところを見かけない。ただこのまくり快勝はやはり会心、エンジン吊り後に上條暢嵩に声を掛けられ、さらに2着に入って大阪ワンツーを成立させた秦英悟に称えられると、柔らかい笑みが浮かんだ。精悍な顔つきながら、実はけっこう童顔だと思っているのだが、笑顔はなんとも若々しいですね!

 悔しかったのは北山康介。水神祭の絶好のチャンスだった1号艇、しかし山崎のまくりに沈められた格好。なにしろエース41号機が相棒だから、枠番はどこであろうとチャンスはまだまだあるが、やはりここで決めたかったはずだ。山崎に頭を下げられると笑顔を返して健闘を称えたが、山崎が離れるとすーっと険しめの表情に変わっていった。本音はもちろんこちらで、手痛い敗北だったのだ。今日はこの1回走りだが、このあとは雨にも負けず試運転を行なう模様。さらに機力を高めて、この雪辱を果たしたい。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)