BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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レディースV!個人優勝もレディース!最終日団体戦後半&優勝戦ピットから

 異例の事態になった。9Rで石井伸長が転覆し、これが選手責任の失格となった。ルールでは選手責任失格はマイナス2。
1着 加藤優弥 10   2着 清埜翔子 8
3着 小林礼央 6   4着 山下奈緒 4
転覆 石井伸長 -2  5着 龍田真白 2
 9Rで両軍各選手の着順点は上記の通り。そう、レディースもルーキーズも獲得得点は14! なんと、この9Rは勝敗つかずで両軍ともに0ポイント。この時点でもレディース22-ルーキーズ22とタイスコアのままなのだ。
 こうなると、たとえば選抜戦2つをレディースが獲り、優勝戦をルーキーズが獲る、なんてことになれば、最終スコアもタイということになる(逆でももちろん同様)。もしそうなったら前代未聞!
 この場合、実施要綱によれば「上位着位の多いチーム(最下位着衣が多い場合を含む。)を団体優勝とする」とある。上位着位の多いチーム、とはまず1着の多いチームということになるのだろう(同回数なら次に2着の多いほうのチーム)。9R終了時点で団体戦の1着回数はレディース19、ルーキーズ26。残り3連勝でもレディースはルーキーズには及ばない。つまり、最終的にタイスコアとなったらルーキーズが優勝!

 10R、最初の選抜戦は前田翔が差して1着。準優は悔しいレースとなってしまったが、今日は団体戦連勝。意地を見せた格好となった。2着は藤田俊祐。ルーキーズでは格上の2人がワンツーを決めたというわけだ。

 ルーキーズが6ポイントゲット! この時点で22-28でレディースを引き離した。そして、次の選抜戦も獲ればルーキーズの優勝が決まる! 沸き立つルーキーズ!……とはいかなかった。まず、選手たちがこの状況を把握しているのかどうかがわからなかった。そして、1号艇で敗れた一色凌雅は露骨に悔しそうにしている。今節何度か書いたが、団体戦も大事だけれども、やはり自身の成績、特に1号艇の場合は敗れた場合はただただ悔しさがつのる。一色が体現していたのはまさにその真理である。

 さあ、レディースは絶対に負けられなくなった11R。1号艇の中田夕貴がインから逃げて、3号艇3コース松尾夏海が握って攻める。両者でバック並走となり、2マークで中田がケリをつけて女子ワンツー態勢が出来上がった。レディースが6ポイントを取り返した! これで28-28のタイスコアに戻った! 決着は優勝戦! 中田、そして松尾にレディース優勝の目を残したという達成感みたいなものは特に見当たらなかった。やっぱりそこまで把握してなかった? 把握していたとしても、やはり内枠で上位を外したくないし、特に1号艇の中田は負けられないイン戦だったことだろう。

 とにもかくにも、優勝戦ですべてが決まる。昨年までは選抜戦にポイント差があったこともあって(特別選抜B戦=4、特別選抜A戦=8。あと、そもそも両チーム得点なしというレースが出なければこういうケースは出ないわけで、それ自体がレアケース)、優勝戦を残してタイスコアだったことはなかったこの大会。さあ行こう、優勝戦!

 10Rが終わると、優勝戦メンバーはそれぞれがボートを展示ピットに移している。そうしたなかで、高憧四季だけがペラ室に向かって、最後の最後まで微調整を行なっていた。違和感が見つかったのか、それとも万全を期したのか。それはいわゆるギリペラというほどギリギリまでの調整にはならなかったが、超抜に仕上がっているからこそ油断せずに戦おうという姿勢に見えていた。

 しかし、レースは一筋縄ではいかない。2コースの中島航が気合のジカまくり。高憧はこれに抵抗して先マイに出たが、その間隙を勝浦真帆に差されてしまった。どれだけ超抜パワーでも、万端の準備をしても、自身もきっちりスタートを決めたとしても、相手がいることである。しかも、不運なことに中島はフライング。不条理であると言ってもいい結果だが、これもまたボートレースだ。さすがにレース後の高憧の表情はカタく映ったが、団体戦の表彰式に向かう際には柔らかな表情も見せていた。悔しい結果ではあるが、今節の強さは素晴らしいものだった。きっと、今後につながっていくことと信じよう。

 展開を突いたものだったが、勝浦の優勝も素晴らしい! なにしろ、この大会でついに、2人目の個人優勝レディースが誕生したのだ! 中島が攻めていく展開を冷静に差した判断もそうだし、また高憧の追撃を振り切ったエース機73号機の仕上げも間違いなかったのだろう。

 とはいえ、レース後は歓喜爆発とはいかなかった。勝浦がそこまでレース後にはしゃぐようなタイプではないというのもそうだが、やはりスタート事故が出てしまったレースでは、それが優勝戦であればなおさら、誰もが沈痛な面持ちになる。ピットの空気はやはり重苦しかったし、この大会の優勝戦後に沸き上がる、団体優勝チームの選手たちの大騒ぎみたいなものも起こらなかったのだ。
 勝浦がピットに戻ってくると、藤原菜希が遠慮気味に拍手を送った。勝浦に見えるように、両手を上に掲げて、あまり音を立てずに。それが合図となったかのように、レディースの面々も拍手を始めたが、長くは続かなかった。致し方のないことだ。

 団体戦はレディースが優勝! そう皆で歓喜を分かち合いたいところだっただろうが、その後も静かに解散という態になっている。真っ先に帰ってくることになった中島の様子はとにかく痛々しいものだった。それをみな見ているだけに、その心中に思いを致してもいただろう。

 それでも、勝浦の個人優勝とレディースの優勝を称えよう! 優勝戦前までタイスコアという大会史上最大の接戦となった今大会。高憧の快進撃や、最後は残念だったが中島、仲航太の地元勢の奮闘、また濱野斗馬や前田翔ら格上勢の戦いぶりも見事であった。これで団体戦はレディース7勝、ルーキーズ9勝となった。来年度ももちろん続行されるレディースvsルーキーズ。一気にレディースが追いつくのか、ルーキーズがまた引き離すのか、来年度の2大会も楽しみに現地に向かうぞ。(PHOTO/池上一摩 TEXT/黒須田)