BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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超ホット!な最終決戦ピットから!

 さあ、団体戦の剣が峰、賞典レース。9R終了時点でレディース20-ルーキーズ25と、ルーキーズが5ポイントリード。もし特別選抜B戦、A戦の両方をルーキーズが獲ってしまえば、その時点で団体優勝は決定。つまり、レディースは少なくとも選抜戦のどちらかを獲らなければならないという状況だ。
 10R、1号艇の高憧四季がイン先マイ。4号艇の山崎祥が最内を差して2番手に浮上するも、藤堂里香が並走し、その後ろには落合直子がつけていた。この順位をキープしさえすれば、レディースが4ポイントをゲットする。
「よしっ!」

 装着場モニターで観戦していた岩崎芳美が力強い雄叫びをあげた。団長としては、ここで獲っておけば自身も走る優勝戦に優勝の行方を持ち込めるのだから、ここは快哉をあげたくなるというもの。さらに2マークでは山崎と藤堂の競り合いの内を巧みに突いた落合が2番手に浮上。レディースの4ポイント獲得を確固たるものにした。岩崎の表情に力強さが漲る。優勝戦への気合がもう一丁、入った瞬間だったか。

 例によって走った面々は、モーター返納に走っていて、その時点での歓喜や悔恨は感じられず。とにもかくにも、高憧と落合の大阪コンビがレディースの首の皮をつなげた! 団体優勝ともなれば、この10Rが大きなキーだったということになるだろう。

 11Rは西橋奈未が逃げ切り、西岡成美が2番手追走。さらには喜多須杏奈が3着と上位を独占。レディースが8ポイントを奪って、この時点でルーキーズを逆転! 32-25でレディースのリードとなった。といっても、優勝戦を獲ったほうが団体優勝となるので、実は団体戦の趨勢には影響しない勝利なのであった。
 といっても、やはり団体戦なのだから、勝てば嬉しい! 真っ先に帰ってきた西橋と西岡に、西村美智子が右手を出して祝福。ふたりは可憐にハイタッチ! 勝利を喜び合っている。

 そして、負ければ悔しい! ルーキーズ最先着の木下雄介は、3番手の目もありながらの4着だったこともあるのだろう、ピットに戻るや顔をしかめて、悔しさをあらわにするのであった。とにもかくにも、男女ともに12Rメンバーに団体優勝の行方を託して、さあ行こう、優勝戦!

 …………アツすぎ! 優勝戦、とにかく熱かった。優勝戦メンバー以外は、男女それぞれ分かれてボートリフト近辺に陣取った。水面が見え、さらには対岸のビジョンもしっかり見える場所。まずは、濱野斗馬が先マイ決めて先頭に立ち、ここでおおいにルーキーズたちが沸き立った。特に喜んでいたのは山崎祥だ。今日もまた、レース前の濱野に寄り添い、緊張をほぐそうと心を砕いていた好漢。濱野の緊張ぶりを間近でありありと感じていただろうから、それを乗り切っての優勝に、我がことのようにはしゃいでいるのだった。もちろん他のルーキーも、濱野の初優勝に笑顔で拍手だ。

「ちょっと待て!」
 直後、ルーキーたちの中からそんな声があがった。2番手に細川裕子、3番手に海野ゆかり、そして岩崎芳美が4~5番手を走っている。そう、このままでは12点はレディースのもの! それに気づいたレディース陣営が今度は沸き立った。よーし、よーし! きゃーーーーっ! ルーキーたちは小林孝彰や為本智也に声援を送るものの、しかし岩崎が粘る。最後は岩崎と為本の5番手争いで、岩崎が先行する展開に。レディースはありったけの声で、岩崎団長に届けとエールを送っていた。

 しかし……嗚呼、為本が逆転! ルーキーズ、一気に大歓声! 1着-4着-5着で12点ゲット! ルーキーズは手を叩き、諸手を掲げ、飛び跳ねて熱狂している。一方のレディースは意気消沈。でも、この大接戦、団長の頑張りを楽しんでもいたようで、残念がりながらも笑顔を見せてもいた。うん、全員ナイスファイト! 全員ナイス応援!

 ピットに戻ってきた岩崎は、係留所でしばし動けず。対岸に映し出されたリプレイを、最後の最後まで見つめていた。そして、装着場まであがってくると、全員に「すみませんでした!」と腰を90度に折ってお詫び行脚。堀之内紀代子の前では土下座の素振りまで見せていた(笑)。いやいや、今節の岩崎はおおいにレディースを牽引した。とびきりの気合で奮闘した。それをみな知っているから、誰もが笑顔で岩崎を迎える。ただひとり、海野ゆかりだけクレーム(笑)。仲のいい同期生、これが海野なりの労いだっただろう。今節の岩崎良美は本当に魅せてくれました。お疲れ様でした!

 そして、濱野斗馬、デビュー初優勝おめでとう! 祝福の雨を浴びながら穏やかな笑みを浮かべていた濱野。まさに10万馬力のスマイルルーキー。あ、10万はとうまと読みます(笑)。あと、ルーキーズ勝利の歓喜のなか、フライングがあった飛田江己が「俺だけ10万もらえないのか~」と嘆いていたのをお伝えしておきます(笑)。大豆生田蒼にも愚痴っていたが、あっさり「うん、そうだよ」と突き放されてました。でも飛田くん、フライングのあとも舟券に絡みまくってルーキーズ勝利に貢献したのを我々は知ってます。本当によく頑張った! 10万円はあげられないけど、敢闘賞を我々から贈ります。

 さて、濱野はデビュー初優勝だから、もちろん水神祭! 表彰式後にルーキーズや地元&香川支部のレディースも居残って濱野をお祝いしました。岩崎芳美も素直に祝福し、そして参加したかったようなのですが、ボートリフトを下ろす係となってしまい、「あーあ、投げ込みたかったなあ」とぼやいておりました。

 というわけで、岩崎さんがリフトを頃合いまで下ろして、さあ行こう水神祭。ウルトラマンスタイルでドボンと投げ込まれた濱野に続き、ずっと付き添った山崎、あとは香川颯太、同期の島川海輝、香川支部の谷口知優、門田栞らが次々とドボン。大賑わいの水神祭と相成ったのだった。今節は比較的暖かったとはいえ、2月上旬の水面は冷たく、若者たちはキャッキャと悲鳴をあげる。みんな、風邪ひくなよ~。
 で、後方で黄昏れつつ眺めていた木下雄介に、香川颯太が「何やっとるん!」と猛ツッコミ。一緒に飛び込む約束だったんでしょうか。たしかに、飛び込まなかった選手たちはみな着替えを済ませていたのに、木下は乗艇着のまま。西村美智子が「飛び込まないんなら、なんでその格好なん?」と鋭く的確なツッコミを入れて、みな木下を突き落とそうと画策! 木下は大慌てで控室へと超抜の出足と伸び足で逃げていったとさ。主役より目立ってどうする!

 とにもかくにも、おめでとう、濱野斗馬! これを機に上の舞台でも活躍できる選手へと飛躍してください!(PHOTO/池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)