BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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浜名湖グラチャンTOPICS 4日目

THE勝負駆け①トップ争い

トップ通過はまたしても……!!??

 

 

 今日は、予選トップ争いに重きを置きたい。浜名湖水面は、普通にインが強い。SG賞典レースとなれば、なおのこと。予選トップ~準優1号艇~優勝戦1号艇の優先権利を握った選手が、どれほど有利なことか。48Rの予選を終えて、もっとも優勝に近づいた選手は……オールスターに続いて、またしてもあの“オッサン”だった!!

 

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 昨日まで暫定トップのミスター今村豊。11R1回走のミスターの勝率は、着順によってこう変動する。

①9・60②9・20③8・80④8・40⑤8・00⑥7・80

 2着以内なら、他の選手とは無関係に文句なしの自力当選。ただ、6号艇だけに取りこぼしもありえるところ。10Rまでに走る上位選手は、少なくとも7・80以上の勝率を取っておけば予選トップの可能性が残るはずだった。

 

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 が……7Rの服部幸男(3着)も、10Rの菊地孝平(6着)も、その最低ラインを超えられない。誰も7・80を超えられずに、11Rがやってきた。無事故完走で、ミスターの準優1号艇は確定する。あとはトップを死守できるか。2着でトップ確定、3着以下なら12Rの結果待ち。6コースのスロー発進から例によって握りっぱなし、フルッ被りでスリットを通過する。だが、浜名湖水面は広く、6コースは遠い。展開を突いてぐんぐん追い上げたが、3着が限界だった。勝率8・80。自力で決め切れなかったが、この3着の価値は低くはない。次の12R、1号艇の瓜生正義が勝っても8・00止まり。瓜生の逆転トップの可能性は消滅した。

 

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 ただひとり、逆転トップの可能性を残したのは、深川真二だ。1着でジャスト8・80、1着数の差でミスターを抜き、トップが確定する。ただし、艇番は6。もちろん、深川は動いた。グイグイ攻めて2コース奪取。初日のようにズブ差しが決まれば……だが、グラチャン3連覇を目指す太田和美の激辛まくり差しを喰らって、6着惨敗。トップどころか、準優1号艇の座からも滑り落ちてしまった。

 

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 予選が終わってみれば、オールスターに続いてミスター今村の独壇場だった。53歳。若い読者はピンとこないかも知れないが、同い年の私はただただ驚き呆れるしかない。50を過ぎたあたりから、私は「老い」を切実に感じるようになった。視力が衰え、酒が弱くなり、麻雀の引きも弱くなり、アソコに白髪が生え、身体の節々がミシミシと軋み、擦り傷切り傷がなかなか治らず、独り言が増えた。個人差があるとは言え、ミスターの心身にも何らかの衰えが出ても不思議ではない年齢なのだ。

 

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 だが、オールスターといい今節といい、ミスターは新鋭のように元気に水面を飛び跳ね、屈強な壮年レーサーたちを打ち負かし続けている。恐ろしい。ありえない。ワールドカップでナイジェリアの監督がメッシを「彼は人間ではない、宇宙人だ。おそらく木星から来たのだろう」と脱帽していたが、ミスター今村も宇宙人に違いない。おそらく、金星人だな、なんとなく。

 あと2回逃げきれば、安岐真人さんを抜いてSG最年長Vの記録が生まれる。オールスターでも同じことを書いた。それが菊地の差しに阻まれたとき「52歳(当時)のミスターは、千載一遇のチャンスを逃したのではないか」などと思ったりした。さらに正直に書くなら、「もうこれほどのチャンスは来ないのではないか」と。それが実に浅はかにして愚かな邪推だったと、今日は痛切に感じた次第である。何度も何度も何度も書いてきたが、ミスター、あんたは凄い、凄すぎる!! おっと、この後半の文面は、あさってのために取っておくべきかしらん?(笑)

 

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THE勝負駆け②ボーダー争い

不気味すぎる18位**

 

 続いてボーダー争い。こちらはド派手な大逆転劇といったエピソードはあまりなく、いつものSG4日目より穏当な1日だったと思う。要因のひとつは、すでに勝負付けの終わった面々が活躍したためだ。昨日まで這っていた選手たちが、次々と意地を見せた。紅一点の平山智加も、華麗なインモンキーでやっと一矢報いることができたな。これを弾みに、明日以降の奮闘に期待したい。

 

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 勝負駆けとしては……メイチの1着勝負だった森高一真が、3コースから鬼気迫るまくり差しを決めて6・00、15位突入。これが最大の“下克上”だったな。昨日までスタートが見えていなかった森高だが、ここ一番でコンマ08トップS。チャレンジカップを制してから勝負強くなったというか、「予選を突破しなきゃ恥」みたいな意地を感じさせるようになった。この男はまだまだ強くなる。

 

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 で、今日いちばん強運を感じさせたレーサーは……18位の山崎智也だ。10Rが終わった段階で19位。相手待ちの状況だが、11R・12Rともに「ほぼ完走当確」のメンバーが鈴なりで、このまま次点で終了というムードだった。が、11Rの2号艇・吉田拡郎が5着に敗れて同じ6・00まで落ちてきた。智也は節間1勝、拡郎は0勝。これでふたりの体が入れ替わったのである。ギリギリ滑り込みで生き残ったときの智也の勝負強さ、強運さは、今さら多くを語る必要もないだろう。今節の足は良くて中堅というレベルだが、6コースから開き直って全速でぶん回す姿が目に浮かぶなぁ。(photos/シギー中尾、text/畠山)

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