BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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若松オーシャンカップ 準優ダイジェスト

節イチパワー決定戦!?

9R
①吉田拡郎(岡山) 19
②飯山 泰(東京) 18
③田村隆信(徳島) 16
④魚谷智之(兵庫) 12
⑤岡崎恭裕(福岡) 09
⑥田中信一郎(大阪)14

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 パワー勝負の一騎打ちから、田村が鮮やかに抜け出した。吉田の直接的な敗因はスタートだろう。コンマ10前半まで踏み込んでいれば、田村のまくり差しをギリギリ封じて逃げきった可能性は高い。本番はもっとも遅いスタートになったため、早めにターンマークに寄って先マイせざるを得なかった。そこで流れたロスを、田村が的確に咎める1マークとなった。

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 2艇がビッシリ競り合う白熱の展開は、優勝戦へのパワー比較という意味でも非常な有意義だった。行き足~伸びの部分は、わずかに田村に分があった。回り足を含めた出足系統は、どっこいイーブンの足色に見えた。トータルでは田村がやや上だろう。

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 そしてこれは非常に重要なのだが、ふたりの足は(優勝戦の中でも)やっぱりかなり強力だと確信した。このレースは飯山も魚谷も明らかに抜群レベルだった。こっちはこっちで3着争いをガンガンやり合っていて、残念ながら私が節イチと見ていた魚谷よりも飯山が上だった(あくまで今日は、だ)。おそらく飯山は田村、吉田とも遜色ないだろう。残る岡崎と田中がターンマークごとにどんどん千切れて行ったことでも、上位4強のパワーは推して知るべしだろう。ビッシリ競り合っての1分49秒1というレース時計も秀逸だった。
 さて、結果から記すと、明日の優勝戦でこのふたりはセンター枠を分け合うことになった。田村は今日と同じ3号艇、拡郎はその外の4号艇。大波乱の末のファイナルだけに、シリーズ屈指のパワーを誇るこのセンター両者は、実に怖い存在だと思う。

勝負手、連発!

10R 進入順
①中田竜太(埼玉)13
⑥徳増秀樹(静岡)12
③毒島 誠(群馬)05
②土屋智則(群馬)05
④羽野直也(福岡)05
⑤坪井康晴(静岡)14

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 9Rのパワー勝負に対して、こちらはスタート&展開&気合の勝負になった。立役者は毒島だ。まずは得意のピット離れで同県の土屋と入れ替わり。そこからの立ち回りが憎らしい。2コースも獲れるところ、外からするすると前付けに来た徳増をすんなり受け入れた。そのまま真横に艇を流し、外の3艇が舳先を翻した直後に自らも意を決したように艇を反転させた。気合の3カド攻撃!

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 16/3256。
 戦前、誰がこの進入隊形を予想できただろう。そして、毒島は行った。コンマ05、全速。ダッシュの利を活かして、2コース徳増を一気に突き放す。そこからさらに伸びて行ったのは、直前のキャリアボデー交換が当たったためか。内から強力に伸び返す中田を、迷うことなく一気にまくりきった。

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 今日の毒島が放った勝負手は、いくつあったか。大一番の前のキャリアボデー交換、初日から持ち合わせていたピット離れの活用、それで得た2コースの権利の放棄、土屋と羽野の伸び足に対抗するための3カド選択、それを最大限に生かすためのコンマ05全速スタート、整備でのパワーアップを活用した一撃まくり……すべての勝負手を密に連動させて、ひとつの勝ち星につなげた。非凡と呼ばれたパワーを克服してみせた。素晴らしい。今日の毒島の勝利を、私は諸手を挙げて絶賛したい。

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 一方、2着争いは土屋vs徳増のてんやわんやの混戦になった。バック直線で毒島-土屋の群馬コンビが完全に抜け出したと思いきや、1周2マークで土屋がターン漏れ&徳増の好旋回で大逆転。2周バックでは5艇身ほどの大差になったものだが、今度は2周2マークで徳増が派手な振り込みで2艇身差まで接近、3周1マークは土屋が絶妙の切り返しで舳先を揃える大激戦となり、最後の最後に土屋が徳増を競り落とした(徳増は再び振り込んで4着に)。両者ともにミスターンと好旋回を繰り出し合う、なかなかにスリリングな3周の殴り合いではあった。そして、羽野直也と節イチの伸び足を争う土屋が生き残ったことは、明日のファイナルにも大きな影響を与えるかも?? 一撃の飛び道具としては、田村&拡郎よりもパンチ力を秘めているとお伝えしておこう。
 それにしても毒島、うすうす感付いてはいたが、やっぱあんたは稀代の勝負師だあっ!

解読不能の1マーク

11R
①峰 竜太(佐賀)18
②丸岡正典(大阪)17
③石野貴之(大阪)17
④馬場貴也(滋賀)16
⑤山田康二(佐賀)13
⑥寺田 祥(山口)14

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 9Rは①が2着で約80倍、10Rは②が3着に飛んで約110倍。そして、11Rにはさらなる大波乱が待ち受けていた。あのグラチャン準優(1900倍)に続いて、まさかまさかの①峰リューぶっ飛び!!??

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 1マークを旋回するまで、波乱の要素はなかった。少なくとも、私にはまるで感じられなかった。まくりきるだけの直線足が見当たらないパワー構成、寺田祥が前付けを自重した穏やかな枠なり3対3、ほぼ横一線のスリット隊形、そこから峰が少しだけ抜け出しての早めのハンドル初動、腰をピョンと跳ね上げての豪快かつ独創的なインモンキー……その一連の流れを見た以上、あとは異次元のスピードで一気に突き抜ける峰竜太を見守るだけ。それしか連想できなかった。

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 が、そこからの光景は、その脳内レースをすべて蹴散らした。2コースから差した丸岡、3コースからまくり差した石野の舳先が、どこからどう見ても峰の内フトコロに突き刺さっていた。うーーーーん、峰が差された理由は、私には特定できない。
 ①峰のターンミス、②峰のパワーが予想以上に悪かった、③大阪コンビの峰ターンを超えるほどの好旋回、④大阪コンビのパワーが予想以上に強かった。この4点のどれか、またはいくつかであることは間違いないのだが、それが特定できない。レース後、このリプレイを中道善博と鑑賞したところ、かの『ターンの魔術師』も「峰はそんな悪いターンはしとらんけどなあ、うーん」と呻いていた。おそらく、①~④の要素がちょっとずつすべて入り混じってあの光景が生まれたのか……わからん。
 今ここでいくら考えても結論は出ないので、これは明日までの宿題にしておこう。現場の記者さんの情報、当事者のコメント、明日の一般戦での峰の足色、大阪コンビの特訓の気配、などなどを突き合わせれば、今日の波乱の真相がいくらかでも浮かび上がるだろう。そして、それが明日の大阪コンビ(特に1号艇・丸岡)の信頼度にも直結すると思う。

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 嗚呼、それにしても峰竜太。バック直線で大阪コンビにしてやられた峰は、それでも冷静に2マークを捌こうとしていた。開いて差して、先に回った2艇を脅かすほどの初動に見えた。が、その内から馬場と山田が大競りしながら突っ込み、馬場が振り込んで峰に接触。そこで峰の優出の可能性は完全に絶たれた(馬場の不良航法)。謎の1マークを除いて、今日の峰に大きな落ち度はなかった。それでも、今日の全レースで舟券から消えた1号艇は、「記憶に残る男」峰だけだった。どんだけ持ってるのか、持ってないのか。今日の峰の1マーク&2マークも、全国のファンの脳裏に深く強く刻まれたことだろう。(text/畠山、photos/シギー中尾)