Wの初優出!!
10R 並び順
①上野真之介(佐賀)07
②羽野直也(福岡) 15
③瓜生正義(福岡) 08
④坪井康晴(静岡) 21
⑥前本泰和(広島) 16
⑤福来 剛(東京) 09
準優1号艇を勝ち取った『ハイパー三銃士』の先鋒・真之介72号機が、危なげなく逃げきった。進入は地元・前本の前付けを内4艇がブロックしての12346/5。「スロー5艇が横並びで100m起こし×福来が目いっぱいに引いた単騎ガマシ」というスリリングな隊形に。その福来があわや大まくり!?という勢いでスリットを通過したが、その先は伸びて行かない(直前でアジャストしたのだろう)。
こうなればスタートを決めた内艇に有利な展開となり、インからしっかり伸び返した上野が瓜生のまくり差しを寄せつけずにたちまち独走態勢を築き上げた。上野のインモンキーを振り返れば、SG初優出へやや肩に力が入って握りすぎた感がある。その分だけ瓜生のシャープな割り差しがスパッと届いたようにも見えたのだが、そこはスーパーエース72号機。ターンの出口からシュッと加速し、届きそうに見えた瓜生の舳先を置き去りにしていた。やはり超抜。明日もインコースなら文句なしに優勝できる実戦足を見せつけて、11Rの予選トップ・徳増を待つ身となった。
SG準優では激戦になりやすい2着争いも、2マークの攻防で一気にケリがついた。バック4番手から切り返した坪井を先に行かせて、羽野が冷静的確な最内差しで突出。相棒の20号機に関して、羽野自身は初日あたりから「試運転ではあまり良くないのに実戦に行くと良い」と不思議がっていたが、今日もその不気味なレース足はピッカピカに輝いていた。ストレートはお世辞にも上位とは呼べないので、もちろん外枠の明日も自慢の回り足に磨きを掛けて、絶好の差し場を探すことになるだろう。伸び自慢の面々の隙間を、針の糸を通すようにクルクル回る羽野キュンの姿が目に浮かぶ。熾烈な空中戦になれば、SG初優出にして初優勝もありえる穴パワーだ。
楽勝。
11R
①徳増秀樹(静岡)03
②新田雄史(三重)10
③松井 繁(大阪)10
④岡崎恭裕(福岡)09
⑤守田俊介(滋賀)14
⑥西村拓也(大阪)14
『ハイパー三銃士』の大将・徳増(副将の峰に12Rは譲ったが、コッチが今節の大将でありますw)も、軽々と第二関門をクリアした。10Rの上野をはるかに凌ぐウルトラ大楽勝! 上記の通りスタートで突出するわ、さらにそこからひとりだけグングン伸びて行くわ、1マークまでに2艇身ほどの貯金を作り、くるりと回ったらば2コース差しの新田を4艇身ほども突き放していた。あっけないほどの強さでファイナル1号艇、確定。
前検から書き続けてきた徳増45号機のパワーに関しては、もはや多くを語る必要もないだろう。元より節イチ級の伸び足に、徳増流の不思議なスパイスを降り注いで出足まで超抜に。明日もスリット同体になってしまえば、よほどのターンミスがなければ負けない鬼足だ。ファイナル1号艇の常套句ではあるが、まさしく明日の徳増は「己との戦い」のみに集中することだろう(これは上野が1号艇でも同じだったはずだ)。
2着は2コースから最内をくるり小回りした新田。イン徳増があまりにも突出したため、その旋回は差しと呼ぶよりインモンキーのようなターンてはあった(笑)。その外を3コース松井や5コース守田がぶん回して肉薄したが、超経済コースを通った新田がわずかなリードを守りきって2着フィニッシュ。34号機のパワーは徳増らの鬼足軍団に比べるべくもないものだが、だからこそ「よくぞこのパワーで!」と今節の優出を賞賛したい。目立たないながらも捌きのテクニックが節イチ級だからこそのファイナル入り、とお伝えしておこう。明日もこのテクをフル稼働して、どこまで「進撃の巨人」の如き鬼足軍団の隙を突くか。大穴必至の6号艇だけに、その可能性を舟券戦略に照らし合わせてみたい。
勝負師と魔術師
12R
①峰 竜太(佐賀)13
②桐生順平(埼玉)16
③田村隆信(徳島)23
④菊地孝平(静岡)09
⑤篠崎元志(福岡)12
⑥松田祐季(福井)13
『ハイパー三銃士』の副将・峰がよもやの不覚を喫した。下克上をやらかしたのは韋駄天・菊地。戦前から「できる限り伸び型にしてスタート勝負」的な作戦を公言していたが、まさに有言実行のコンマ09!! 全速のロケットスタートから一気にインの峰まで叩き潰した。スリットを自在に支配できるこの男には、いつだってこの強襲がある。
相棒の51号機は前検からかなり軽快な足色に見えたものだが、シリーズ前半はその足を持て余す歯がゆいレースが続いた。菊地本人も初日から「成績にはつながっていないが、全部の足が凄くいい」と言い続け、成績も453113着と右肩上がりで予選ランキングを駆け上がっていった。
私も常にトップ級の評価をしてきたつもりだが、今日のまくり圧勝をもって「徳増に匹敵する節イチ級」などと引き上げるつもりはない。今日はあくまで菊地ならではの質の良いスタート、2・3コースがやや凹んだ絶好のスリット隊形が重なったからこその勝利で、カド受けの田村がもう1/3艇身ほど踏み込んでいればインの峰を脅かすには至らなかっただろう。明日の1・2号艇は節イチを争うウルトラハイパワーの徳増&真之介。たとえ菊地が3カドに引いてゼロ台全速のスタートを放っても、よほど凹まない限りこの連山を超えるのは至難の業だと思っている。
2着は松田や元志(菊地に連動したマーク差しは強烈無比! 回り足が足りずに惜しくも弾かれたがさすがの勝負手だった)との接戦を捌ききった峰。菊地にまくられるやいなや、すぐにレバーを握ってブイ際をありえないような鋭角ターンで旋回。あの「換わり全速インモンキー」みたいな咄嗟の勝負手がなければ、おそらく元志が一撃で突き抜けていた気がしてならない。
まあ、この天才の場合はどこまでがパワーでどこまでがターンスピードか、もっとも判別が難しいレーサーのひとりなのだが、今節の50号機のスリット足とレース足は間違いなく超抜の領域。今日の敗戦をもって「菊地より下」と見下すつもりはさらさらない。ただ、何度か書いてきたが、今節の峰のストレート足は純然な伸び型と言うよりスロー発進時のスリット足(セカンドの足)が最大の特長だと思っている。ダッシュからでもスーッと軽快に出て行くのだが、1マークの手前でやや売り切れるような。4号艇となった明日はそのあたりのミスマッチ?をどうアジャストするか、その方向性に注目したい。伸び型になるかどうかはともかく、今日の菊地と同じ作戦を模索する可能性もあるだろう。様々なペラゲージを生み出し続けている「ゲージの魔術師」が、多くの引き出しからどんな切り札を取り出すか。本人のコメントはもちろんのこと、特訓やスタート展示などでできる限り正確な足色を掴みたいと思う。今年の戦績は18節に参戦して14優出9V……言うまでもなく、現在のボートレース界でもっとも恐ろしいレーサーなのだから。(photos/チャーリー池上、text/畠山)