BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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多摩川グラチャン準優ダイジェスト

招かれざる大波乱

10R
①白井英治(山口)+02
②萩原秀人(福井)04
③新田雄史(三重)+01
④原田幸哉(長崎)04
⑤徳増秀樹(静岡)07
⑥吉川元浩(兵庫)07

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 英治ィィィィ、新田ァァァァ!!!!!
 大一番で、やらかしてしまった。このレースに波乱の余地は少ないと踏んでいたが、別の意味で大波乱となった。SG準優でのWフライング……昨日の12Rよりはるかに低い気温が、エンジンを噴かせ過ぎたのか。とにもかくにも、自己責任。白井も新田も斡旋が決まっていたオーシャンカップ、メモリアルが取り消しとなり、その後もF休みや記念戦線の除外などなど重い罰則を背負うことになった。残念無念にもほどがある!

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 レースは白井が鮮やかに逃げて、一番差し萩原vs二番差し新田のガチンコ直線勝負という緊迫のバック中間で……忽然とお開きになった。これもまた残念。明日につながる一騎打ちだっただけに、あの先の攻防を見たかった。遡って1マーク出口までの出足勝負は二番差しで2本の引き波を超えた新田が上回り(やはり節イチ級の出足だ!)、そこから先はジリジリと萩原が出て行ったように見えたのだが、どうか。だとするなら、今日の萩原は予想欄の【出A+・直B+】よりもバランス型の【出A・直A】が相応しい気もする。何にしても、あれだけの出足を誇りながらFに散った新田(だからこそ、とも言える)は「明日の7R6号艇でも要注意!」と声を大にしてお伝えしておこう。

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 最終的に優勝戦の権利をもぎ取ったのは、萩原と徳増だった。白井と新田が去った水面でも一度だけ徳増vs吉川のせめぎ合いがあったが、あれをもってパワー鑑定するのは難しい。徳増の暫定パワーは据え置きの【出A・直A】にしておきたい。

逃亡、危機一髪!

11R
①太田和美(大阪)01
②木下翔太(大阪)03
③中野次郎(東京)06
④田村隆信(徳島)09
⑤桐生順平(埼玉)08
⑥寺田 祥(山口)07

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 うーーん、恐ろしい。10Rであれだけのスタート惨事が起きたというのに、↑御覧のスタートタイミング!!! もっともプレッシャーがかかったであろう太田、よくぞキワまで踏み込んだものだ。おそらく4カドの田村は内がどうであれこのタイミングで行ったはずで、スロー勢がビビリスタートだったらダッシュ勢の上位独占もありえただろう。脱帽。

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 レースを振り返ろう。まず、太田のインモンキーは握り過ぎ&ターン漏れで、差されても不思議のないミスターンに見えた。すかさず、木下がシャープな差しハンドルを繰り出す。優勝戦のトライアルという意味ではこの出口、木下の差しが入るかどうかが最大の焦点だった。一瞬だけ入ったかに見えたが、そこから伸びたのは外の太田の方だった。強く握った分だけ伸びたのだろうし、行き足でも木下を上回っていたか。鑑定は据え置きの【出A+・直S】。

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 木下の足はバランスが取れた上位~抜群レベルのパワーだが、セカンドの足がわずかに物足りない気がする。ダッシュ戦の横一線から自力で攻めきれるだけのパンチ力はなく、スタート勝負か何かしらの展開の利が必要だろう。据え置きの【出A・直A】で、あるいは出足がA+かも知れない。
 敗者からひとり取り上げるなら桐生で、ほとんどすべてのターンマークで的確かつ精緻な旋回を繰り返していた。おそらく、もう一足あればどこかしらで十八番の逆転優出がありえただろう。今節はあまりにも相棒が頼りなさすぎた。

ファイナル・ピン・カウント

12R
①柳沢 一(愛知)09
②毒島 誠(群馬)17
③坪井康晴(静岡)17
④峰 竜太(佐賀)16
⑤池田浩二(愛知)14
⑥守田俊介(滋賀)15

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 それにしても峰人気の凄まじさよ。ファンファーレから「峰!」「ミネ!」の叫び声がこだまし、道中も3番手の峰が坪井にアタックをかけるたびに大歓声→悲鳴が繰り返された。この男、どこまで上り詰めるのか??

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 レースはシリーズリーダー柳沢のイン逃げ圧勝だった。スリット隊形は穏当というか準優らしい1艇身の横並びで、柳沢だけがゼロ台、半艇身ほど抜け出していた。これまでSGの優勝戦と準優は6回チャレンジしてすべて3~6着。ここ一番ではどこかしら頼りない気がしたヤナピンだが、徐々にハートが強くなっているのだろう。

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1マークのインモンキーも落とし過ぎず握り過ぎずの完璧で、坪井のツケマイをシャットアウト。出口を過ぎて、優勝戦の1号艇がほぼ確定した。明日もスリット~1マークの出口まで、今日とまったく同じレースができればSG初制覇の可能性は高いだろう。それがなかなかに難しい“作業”ではあるのだが。圧勝すぎてパワー鑑定は難しく、据え置きのB+【出A・直B】かもう一枚上のA【出A+・直B+】あたりか。

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 柳沢には届かなかったものの、バック直線で力強く2番手に抜け出したのが坪井だった。今節の坪井の足は日替わりで変化する印象があるのだが、基本的には「伸びが強烈で、その分だけ出足・回り足がちょっと非力」という坪井パターン(湯川パターンとも呼ぶ)。3日目あたりは【出B・伸S】などという極端な鑑定をしたものだが、今日は気温の低さもあってしっかり手前側にシフトできていた。峰の猛追にも余裕のあるレース足で完封していたから、今日の足がもっともバランスが取れていたと思う。【出A・伸A+】が妥当か。ダッシュ戦の明日はどちら側に寄せるか、気象と相手関係を踏まえて調整を進めるだろう。

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 私が期待した池田は、実に惜しかった。1マークは峰の上をぶん回す全速のまくり差しで肉薄したが、毒島に押っつけられる感じで失速。さらに2マークでも坪井vs峰の競りでズッポリの展開が生まれかけたが、守田と毒島が切り返し気味に殺到してその水面が閉ざされた。これも準優、今節の池田はわずかに運が及ばなかった。(photos/シギー中尾、text/畠山)