BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

女子王座ファイナル 私的回顧

一撃更新

12R優勝戦

 

①田口節子(岡山)09

②池田明美(静岡)20

③横西奏恵(徳島)19

⑤日高逸子(福岡)16

④細川裕子(愛知)18

⑥向井美鈴(山口)15

 

 

 

 

f:id:boatrace-g-report:20171128154747j:plain

スタートで、9割がた現役女王の任期更新が約束された。

インの田口節子と2コース池田明美の差は1艇身近く。

外の4艇は明美と横並び。

つまり、田口だけが別次元の水面を走っていた。

 

明美が差しに、奏恵がまくりに構えるが、もう田口の姿はない。

1本の航跡だけが1マークに残っていた。

「1マークを回って、やったぁと思いました」 

田口本人もスタートから10秒で優勝を確信した、

それほどの圧勝劇。

 

 

 

 

 

 

f:id:boatrace-g-report:20171128154801j:plain

バック入り口で、焦点はすでに2着争いに。

女王の背中にいちばん近づいたのは、

5コースからなりふり構わず握り倒した細川裕子だった。

同体の日高を強引に叩き、

横西を二段ツケマイで引き波に沈めるド派手な全速マイ。

これが細川ターンだ。 

 

 

 

 

 

f:id:boatrace-g-report:20171128154811j:plain

が、それほど男前な絶品ターンであっても、

あくまでも脇役でしかないのだ。昨日も今日も、

細川は田口の快速インモンキーに屈した。

追いすがる3番手の向井に強ツケマイを連発し、

2着を取りきるのがやっとだった。

 

 

 

 

f:id:boatrace-g-report:20171128154821j:plain

田口節子、2連覇。前回は3コースから、

無心のまくり差しが突き刺さった。

プレッシャーのないハンドル捌きは軽やかだった。

だが、今回は違う。ディフェンディング女王にしてシリーズリーダー、

優勝戦1号艇。すべてが、追う立場から追われる立場に変わった

。しかも、追ってくるのは節イチパワー、絶対女王、

グレートマザー……。「準優の前夜は、ずっと吐きそうでした」 

誰だって、そうなる。そして、今まで数多くのレーサーが

そのストレスに耐えきれず、イン戦で敗れ去ってきた。

 

 

 

 

 

f:id:boatrace-g-report:20171128154834j:plain

今日の本番、第2代女王の日高が

当然のように揺さぶりをかけた。

スタート展示よりはるかに過激に、インを奪うようなスピードで攻めた。田口も応戦し、早めに枠番を主張する。

またひとつ、負荷がかかった。

 

だが、田口はそれらの重い荷物を、

わずか10秒の間にすべて

多摩川の水面に投げ下ろしてしまったのだ。

唯我独尊のトップS、女子界だけでなく艇界全体でも

高く評価されている高速モンキー。

「イン逃げ」は常に自力勝ちではあるのだが、

今日の田口は、絶対に負けないレースを自力で演出した。

最強のライバルたちに、何もさせなかった。

 

 

 

 

 

f:id:boatrace-g-report:20171128154907j:plain

「今日の勝利で、ひと回り大きくなれた気がします」 

一回りどころか、二回りも三回りも成長したに違いない。

4カ月後には、3連覇のかかる女子王座が待っている。

横西も日高も山川も、女子レーサーのすべてが、

さらに目の色を変えてそれを阻止しにくるだろう。

鵜飼菜穂子の大偉業に並ぶのは至難の業だが、

それを成し遂げるべき下地は完全にできた。

そう断言できる、真の女王のイン逃げだった。

 

 

 

あ、最後に……146を獲らせてくれて、

ありがとーゆーこりん(嬉涙)、これからも、買い続けるどー。

今度はアタマで、よろしくっ!!

 

(Photos/中尾茂幸、text/H)