恐るべきリハーサル
①鵜飼菜穂子(愛知)17
②田口節子(岡山) 11
③横西奏恵(徳島) 12
④池田浩美(静岡) 10
⑤細川裕子(愛知) 15
⑥守屋美穂(岡山) 21
節子様、V3に王手!!
本人もビックリしていたが、凄い2コース差しだった。珍しく、インの鵜飼が目一杯に握ったせいもある。それにしても、2連覇中の現役女王は、鵜飼を先に行かせたのと同時に舳先をバック進行方向に傾け、ターンマークを掠めるように旋回した。
その間、コンマ数秒か。その航跡はまるで、
正確無比なイン逃げのようだった。
回り終わった瞬間、3艇身差。
2コース差しなのに、バック中間で独走。
断じて言うが、これはパワー差しではない。
田口節子というレーサーの身体能力、
動体視力、ハンドルワーク、
それらがフル稼働して生まれた
圧勝劇だった。まいった。脱帽。
はるか後方の2着争いは、
準優らしい泥仕合となった。
鵜飼が必死に粘り、
そこに守屋が差しやらツケマイやら
あの手この手で肉薄し、
ふたりが競りになったところを
4番手の池田浩美が冷静に差し抜けた。
結果的に徒労ではあったが、
守屋の猛追は必ずや明日につながるはずだ。
水神祭、予選突破、優出への執念
……今節のミポリンは、「経験値を200上げた」
くらいの成長を遂げた。
1着・田口、2着・浩美。
田口の足は、上位レベルではあるが超抜にはほど遠い
。明日も同じ2号艇だが、
相手は「やまとの皇女」ともいうべき平山智加。
今日と同じ差しハンドルが入るかどうかは、
単なるスピードだけではない
頭脳プレー(駆け引き)の戦いになるだろう。
もちろん、平山にそれだけの余裕があれば、の話だが。
池田浩美の足は、初日・2日目あたりがピークで、
そこから急下降した感がある。
ただ、今日の逆転劇を見る限り、
再浮上の気配も少々。
まだまだ、6コースからでは苦しい気はするのだが……。
一瞬の差し
10R
①平山智加(香川) 09
②日高逸子(福岡) 07
③海野ゆかり(広島) 10
④山下友貴(静岡) 15
⑤廣中智紗衣(神奈川)14
⑥宇野弥生(愛知) 12
結果的に、田口が明日の予行演習(2コース差し)を
完璧に済ませたのに対し、平山のイン戦は
盤石には程遠いものだった。
差した日高の舳先が、一瞬だけ届いた。
つまり、平山は差された。そこから200mの直線で
抜けきったのは、明らかに伸びの差によるもの。
平山の伸びが良かったというより、
日高の伸びが弱かったというべきか。
今日の平山は、パワーの差に助けられて、
なんとか逃げ切ったのだ。
2着争いは、日高と海野の元女王コンビが、
若い4~6号艇を置き去りにした。
2周1マーク、海野が日高に渾身のツケマイを浴びせた。
艇を外に張ってギリギリこらえる日高。
どちらも、万全のパワーではないからもつれる。
もつれているのに、後続の若手たちは追いつけない。
修羅場を重ねた元女王のオーラが、
4000番台のスピードを封印した。
そんな風に見えた。
1着・平山、2着・日高。
パワーでは圧倒しているはずの平山が、
一瞬でも日高に差しを許したのは何故か。
現在の私にはわからない。
ターンが甘かったか、今日の回り足が一息だったか、
やはり元女王のオーラのなせる業なのか。
これを解き明かすのが、
明日の夜8時までの宿題になる。
平山本人にとっても。
明日は、日高に代わって田口との
マッチアップになるだろう。
足的にもスピード的にも、より厳しい攻めが飛んでくる。
それをどう凌ぐのか。宿題の答えを見出し、
その答えをインモンキーに応用できたとき、
平山は去年の三国のリベンジを果たすことになる。
飛躍のターンミス??
11R
①山川美由紀(香川)18
②香川素子(京都) 21
③西村美智子(香川)17
④角ひとみ(広島) 19
⑤寺田千恵(岡山) 19
⑥長嶋万記(静岡) 29
断然人気の山川が飛んだ。
比喩ではなく、1マークでターンマークを外し、
明後日の方向に飛んでいった。
同郷の後輩・美智子が握っていたとはいえ、
あんなターンになるほどの脅威ではなかった。
単に力が入りすぎたか、ナイターでの距離感が掴みにくいのか。
とにかく、回ってすぐに、差して突き抜けた
香川との差は逆転不能なものになっていた。
が、そこからジワジワモコモコと追い上げた
山川の足は、やはり節イチと呼ぶに相応しい。
他の4艇をどんどん引き離しながら、
何度か逆転を狙うターンで香川を脅かした。
準優は2着まで。
その意味では、今日の山川はミスをしただけで
敗れ去ってはいない。
ファンにとっては、優勝戦をより難解かつ
味わい深いものにする2着だったかもしれない。
1着・香川、2着・山川。
山川の足は全部が良い。
今日の2着によって、
明日の優勝戦の4号艇に
恐るべき地雷が埋め込まれた。
それが爆発するかどうかは、
平山VS田口の頭脳戦とは
まったく別の次元で考える必要がある。
ドカーーンがあれば、
他艇は一瞬にして吹き飛ぶのだから。
香川の足は、いちばんわかっていない。
前検から軽視し続けていたし、
今もまだ過小評価?している気がする。
毎回、優勝戦にはだいたい
1人こんな選手がいるのだが、
今回はこの滋賀支部のチーママ素子様だ。
これは、明日までの宿題ということで、ひとつ。
(photos/シギー中尾、text/H)