夏の日差しが広がり、気温が30℃超。たしかに暑い。
しかし、湿度が下がり、風もいい具合に吹き込むせいか、
昨日よりピットはずっと快適に思えた。こんな暑さなら、悪くはない。 などと言っているのは、もちろん外野の気楽さ。
アロハシャツでふらふらしているおっさんとは違って、
選手は長袖、ケブラーズボンの重装備。
水面に出るにはカポック、ヘルメットがさらに加わる。
罰ゲームかというほどの格好で、選手は奮闘しているわけだ。
試運転から帰ってきた赤岩善生とすれ違ったら、
額には汗の粒が大量に吹き出していた。
選手にとって快適な気候のわけがないのである。
敗者にとっても、この暑さは苛立ちを増幅させるものだろう。
1R、1号艇の湯川浩司が2着に敗れた。
オープニングで回ってきた白カポック、
何としてもモノにして幸先のいいスタートを切りたいところだったが、
かなわなかった。ヘルメットを取った湯川の顔は、
真っ赤に上気。どれだけ大変な状況で戦っているのかを
物語っている。そのうえで敗戦。
湯川は真っ赤な顔をがくりとうなだれて、
ふーっとひとつ溜め息をついた。
もちろん、笑顔のかけらも見当たらなかった。
一方、まくり差しで快勝した服部幸男は爽快な笑顔!
選手に快適を運ぶのは、気候などではなく、
やはり勝利だ。湯川とはあまりにも対照的な表情で、
これがボートレースの宿命でもある。
服部も敗戦後には表情を硬くしているわけだから。
そのギャップの大きさもまたボートレース!
で、2Rでは弟子の笠原亮が差して1着。
穴を叩き出している。師弟がオーシャンカップのオープニングを
立て続けに飾ったわけだ。笠原を出迎えた服部は、
実に柔らかく優しげな笑顔を向けて、勝利を祝福。
それを見た瞬間に笠原の顔は嬉しそうに緩み、
勝利の喜びを改めて実感していたようであった。
笠原とはレース後に話をしたが、足は悪くないようだ。
しかしまだまだ満足しているふうもなく、
しかし調整することでゾーンを外してしまうのではないか
という不安も抱えているようだ。
それでも、この幸先よく初戦を終えられたのは大きい。
いいときはコース不問の爆発力をもつ男なので、
まだまだ穴を出してくれるかもしれないぞ。
さて、丸ちゃんにキムタクと言われていた森高一真。
伊達メガネをかけていたレース場入りの際には
かなり違和感があったが、メガネを外し、ピットで作業をしていると、
あら不思議、それほどでもないな。
ただ、顔がとにかく怖かった今朝。
レースが始まれば、表情がぐっと引き締まって、
時に他を寄せ付けないような雰囲気を醸し出すのは、
まあよくあることだ。ちょうど目の前を通ったので挨拶をしても、
その表情は崩れず。気合が相当に高まっていると見受けられた。
ところが。 すれ違いにこちらの肩をパチーン!
気持ちよく平手打ちがヒットした。
こんなことをする森高は、もちろんゴキゲンな証拠。
気配上向いたか? などと書いていたら5Rを快勝。
舟券買っとくんだった……。
(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)