BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――勝負駆けの顔

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 きのう書いた、「朝一発目の接触」、やっちまいました。

 1Rのスタート展示の最中に記者席を出て、ピットへ。徒歩数分で辿り着き、装着場に足を踏み入れた瞬間に、今井貴士に出くわした。「おはようございます!」と声をかけて、そういや記者席で「5号艇・今井貴士」というアナウンスを聞いたのを思い出す。や、ヤバッ! 展示から戻ってきた選手に声をかけてしまったのだ。カポックをいったん脱いだあとだったから、一瞬見分けがつかなかったのだ。

 ところが、今井は「おはようございますっ!」と元気いっぱいに返してくれた。別にそんなことで集中力は切れませんよ、とばかりに笑顔も向けてくれたのだ。いや~、好青年すぎるっ! 以前からそういうお方ではありましたが、改めて再認識した次第。モーターが厳しく今節は苦戦しているが、残りのレース、頑張れ!

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 今井はそんな様子だったが、勝負駆けの日ということもあって、厳しい表情を見せている選手も少なくない。その後にすれ違った重成一人は、ペラに目を向けながら鋭い目つきをしており、それでも頭を下げれば返してくれるように、この人もまた優しいお人柄なのではあるが、出番が3Rと近いこともあってか、迫力ある雰囲気を醸し出していた。ペラを叩いた直後で、思考中ということもあったのだろう。ちょっと声をかけづらい空気ではあった。

 

 

 

 

 

 

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 井口佳典、新田雄史の師弟コンビも、闘志を感じさせる顔つきだった。肩を並べてペラ室へと向かうところに出くわしたときには、ペラの方向性なのか整備の方向性なのか、新田が井口に何かを問いかけていた様子。井口がそれに熱心に応えるわけだが、両者の顔に笑みは浮かばない。明らかに「仕事中の師弟」という雰囲気で、その仕事が戦うことなのだから、視線に力がこもるのも当然であろう。

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 整備室には、秋山直之がいた。ボートを持ち込んで、本体整備だ。秋山の本体整備、あまりに記憶にないのだが。今節はそんな光景を何人かが見せているな。秋山は1R後に整備を終えて、速攻でボートを水面に下ろしている。そのまま、指定席の「いちばん端っこの係留所」にボートをつけて、ニードル調整を始めた。これが、実に長く続いた。2Rの直前までまずは続け、いったんエンジン吊りで休止。終わるとふたたび係留所に駆け下りて始める、といった具合なのだ。ざっと30分ほどもやっていただろうか。ものの数分で終わる作業でないのは確かだが、その入念な様子は印象に残る。

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 同じようなタイミングで着水したのは、佐々木康幸だ。佐々木は12R1回乗り。まだまだたっぷりと時間は残されている。これはかなり早い始動である。連勝発進ながら昨日は着順を落とし、そして勝負駆けは6号艇。佐々木にしてみれば、時間が残されているなどという感覚はないのだろう。この動きは、気合のあらわれ。コースも含めて、12Rの佐々木には注目してみたい。

 

 

 

 

 

 

 

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 さて、朝から田中信一郎、丸岡正典の勝負駆け組が連勝し、意気上がる大阪支部である。田中は6コースからの1着! 鮮やかだった。丸岡は3コースからきっちり展開を突くかたちで1着。これを嬉しそうに出迎えたのが、田中だった。丸岡もピットでは目を細めて嬉しそうな表情。にゃはは~という笑いが聞こえてきそうな、素敵な笑顔でありました。丸ちゃんスマイルもまた、今井スマイルと同じくらい、見る者を癒してくれるのであります。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)