BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――4日目も慌ただしい

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 ふと水面に目を向けたら、竹井奈美がパドルで漕いでいるのであった。養成所では最初のほうに行なう訓練と聞いているが、実際のレース場ではなかなかお目にかかれない。いったい竹井に何があったのかと思ったら、そのままボートリフトの真横にある係留所にボートを着けるのであった。リフトからあまりに近い場所なので、エンジンを始動させずにパドルで移動したということだろうか。それを見た原田佑実と守屋美穂が、接岸のお手伝い。先輩のヘルプを受けて、恐縮する竹井なのであった。

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 竹井はそのままエンジンを始動させて、回転調整を行なっていた。係留所の反対側の端っこでは、小野生奈が同様の調整。2R発売中のことだが、締切が迫った頃には係留所にいたのはこの2人だけになっていた。小野はその前にリードバルブを装着する作業もしており、その調整による反応を確認していたということか。

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 一足先にエンジンを止めた小野は、竹井のもとに歩み寄って「どうだった?」と声をかけた(そう聞こえた)。返答は聞こえなかったが、竹井の言葉を受けて、小野は拍手! 調整だか整備だかが当たったということか? 数10m離れた規制線の外から見かけた光景なので、それ以上のことがわからないわけだが、小野の様子からは竹井に好転が見られたという雰囲気はあった。

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 4日目の朝になっても、かように係留所には選手の姿が鈴なりで、2マーク奥の屋根がない係留所に至るまで満艇状態。ゆっくり過ごしている選手も、よくよく探せばいるのかもしれないが、雰囲気的には52人全員が今日も調整や試運転に慌ただしく動いているという印象だ。初日後半から3連勝の日高逸子も、ペラ室にこもって懸命に調整しており、さらにエンジンを出したいという執念すら感じさせる。

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 田口節子は本体整備をしていたようで、1R発売中に岡山勢の手を借りてモーター装着を行なっている。着ているTシャツの背中には、「そろそろ本気出します」と大書。去年のレディースオールスターの開会式での言葉だったか。6号艇で迎える勝負駆け、節ちゃんの本気はどんな形にあらわれるか。

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 土屋南も本体を整備していた様子。ボートに本体が外された状態でモーターが装着されていたのだ。土屋は昨日の午後にも整備を行なっていたようで、今朝の試運転を受けて、さらに整備となったか。それとも何かを元に戻したか。勝負駆けのノルマはそれほど厳しいというわけではないが、予選突破のさらに上を目指すための調整を施しているのだろう。

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 2Rに登場した今井美亜は、まさしくギリペラ。1R発売中の、けっこう締切が迫った時点でようやくペラ室を飛び出し、係留所へと走り展示ピットにボートを移動させた。レースでは、道中2番手争いになりながら、2周2マークでキャビっている間に5番手に後退。その後も前を走る後輩の西橋奈未に迫ろうとするが、5着のままゴールしている。今日は2着3着勝負だったから、これで準優は遠ざかることに。ピットに戻った今井はやや意気消沈気味なのであった。佐々木裕美や新田芳美など、他地区の選手たちが、今井らしくないレースだったということなのか、眉にシワを寄せながら声をかけている。後半の7Rまであまり時間はないが、さらに調整を加えていくことになるか。

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 佐々木裕美と言えば、1Rは松本晶恵のエンジン吊りに加わっているのであった。地区的には若狭奈美子のエンジン吊りに参加するのが自然ではあるのだが。多摩川のボートリフトは3艇しか乗ることができず、4~6着の選手はまず試運転用の係留所で艇番艇旗を外したりと準備を行ない、1~3着の選手が先に陸に上がることになる。このレースで若狭は5着、準備は岡山勢に任せて手薄だった松本のもとに駆け付けたということだろう。

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 このレースには平田さやかも出ていて3着だったから、東京勢はそちらに集結。群馬はほかに土屋千明だけだから、松本を出迎える選手が少なかったのだ。そこで、中谷朋子、宇野弥生もこちらに参戦。テキパキとエンジン吊りを終わらせるのであった。中谷はその後、6着の落合直子のもとへ、宇野は4着の長嶋万記のもとへ。状況をさっと見極めて、臨機応変に動いたということですね。こういうシーンを見ると、ボートレーサーは実に気が利く人たちだといつも思うのである。(PHOTO/池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)