１Ｒ、２Ｒと６コースが連続１着！ １Ｒは６号艇・田村隆信がスタート展示では前付け３コースだったが本番で入れず、しかし６コースからきっちりと抜け出して１着。２Ｒは６号艇・峰竜太が最内を鋭く差して１着。２日目は出だしから強烈な展開が若松水面を彩った。
６コースからの快勝に、レース直後の田村と峰は大喜び！……かと思いきや、決してそうではない。田村も峰もあまり表情を変えることはなく、峰はときおり顔をしかめることもあった。意外とこういうものなんですよね。別に１コースでも６コースでもこの傾向は同じで、選手は目先の１着に単純に一喜一憂することはない。敗れた他の５人と同じ場所に戻って来るので、彼らへの気遣いもあるかも!? 言うまでもなく、最不利枠で１着をゲットできて、歓喜も安堵もあるのは間違いないが（勝利者インタビューに向かう峰に声をかけたら、満面の笑みだった！）、レースが終わった瞬間には、それが優勝戦なら別だが、淡々と動くのが選手の常なのである。
だからむしろ、表情の変化が目立つのは敗れた選手のほうだったりする。たとえば、前田将太は１Ｒ、１号艇で６着をとってしまった。初日は６コース６着で、この１号艇は巻き返しがノルマだったはずなのだが、もっとも大きな数字を２つも並べてしまう結果となってしまった。呆然として力が抜けてしまったかのような表情になるのも当然であって、それはなかなかに痛々しい光景であった。
２Ｒ２着の深井利寿は、水神祭にあと一歩なのであった。うまく展開を突いたと思われたのだが、その内に峰がいた。惜しい！ ＳＧ初出場だった総理杯では果たせなかったＳＧ初１着は、あと少しのところでこぼれ落ちた。これは悔しい。渋面になるのは当然。願っていたものにもっとも近い着順だからこそ、かえって悔しいのである。
その深井に、エンジン吊りに参加した吉川元浩が笑いかける。間嶋仁志も「惜しかったな」とばかりに笑みを投げ、深井の表情は苦笑交じりの笑みへと変わっていった。この走りっぷりなら、今節中の水神祭は充分にありうる！ 念願かなったときには、吉川も間嶋も最高の笑顔で称えてくれることだろう。
さてさて、今日の序盤のピットは意外にも閑散としていたのであった。レース間には試運転に飛び出す選手も少なくなく、エンジン音も響いてはいるのだが、試運転タイムが終了すると、係留所には選手の姿が一気に少なくなる。ペラ室も決して満員御礼状態ではなく、本体整備は今村豊のみ。整備室の片隅では今日も濱野谷憲吾がゲージ擦りをしていて、目立った動きといえば、その程度なのであった。装着場で作業をする選手も、池田浩二、山本浩次、吉田弘文など、ぽつぽつと見かけるのだが、それが大きな空気の流れを作ることはない。というわけで、やけに静かなピットなのである。
そんな空気を切り裂いたのが、整備を終えたミスター。今日も元気いっぱい！ モーター装着を点検する検査員さんや報道陣を相手に大声でジョークを飛ばしまくり、ピット内に爆笑を巻き起こしていたのだ。今日も今日とて猛暑なのに、ミスターにはなーんも影響なし！ 今村豊を見ているだけで、ちょっとした納涼気分が味わえるという次第なのである。（ＰＨＯＴＯ／中尾茂幸 黒須田＝田村、峰、今村 ＴＥＸＴ／黒須田）
