BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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トライアル第2戦 ダイジェスト

白の悲劇

 

'11R

①金田幸子(岡山) 17

②高橋淳美(大阪) 23

③三浦永理(静岡) 23

④海野ゆかり(広島)17

⑤山川みゆき(香川)14

⑥日高逸子(福岡) 22'

 

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 4カド海野が伸びなりまくりきった。最大の勝因は、スタート展示から山川&日高の前付けを完封したことか。「取らせてくれないか」と観念した2人が、本番では海野にカドを託した。そして、ご覧のスタートタイミング。起こしから高橋と三浦がやや放った感もあり、カドの海野があっという間に1艇身伸びきった。

 

 

 

 

 

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大先輩から託された4カド、もちろん一気に締める。インの金田まで呑み込んで、そのままバック突き抜けた。隊形が有利だったとはいえ、2日連続でスリットから飛び出し自力で攻めた気合は高く評価できる。展示時計も水準以上で、気持ちと機力が噛み合えば明日も強攻策が見られるだろう。

 

 

 

 

 

 

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 2着は山川。トップSから完璧に海野に連動し、申し分のない割り差しで2着を確定させた。昨日といい今日といい、まったく緊張を感じさせないハンドルワーク。百戦錬磨の捌きで、役者の違いを見せ付けている。今日、海野に4カドを授けたのも、昨日に続く「頭脳プレー」だったかも。陰から後輩たちを操り人形のように自在に動かす魔女、みたいなイメージも浮かんでくるな。とになく、この連続2着で、第3戦に「完走当確」の権利も得てしまった。さすがの一語。

 一方、2戦連続で白カポックを羽織った金田は……まさかの転覆失格。海野にまくられて3、4番手に甘んじた金田。おそらく焦りが働いたか、2周2マークで力任せの強ツケマイを打って出た。2マークは向かい風なので戦法としては正しかったが、スピードとハンドルのコントロールを逸した。選手責任で節間勝率4・00。ファイナルへの道が、ほぼ閉ざされた。

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 他の面々では、三浦の足が要所要所で強めに見えた。が、昨日も今日もその足を持て余している気がする。乗り心地なのか、単にリズムが悪いのか。3着条件の明日、その潜在パワーをすべて引き出してもらいたい。

 

 

 

 

 

 

赤の逆襲

 

'12R

①平山智加(香川)16

②守屋美穂(岡山)19

③長嶋万記(静岡)15

④鎌倉 涼(大阪)19

⑤寺田千恵(岡山)25

⑥谷川里江(愛知)31'

 

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 スタート展示では谷川が激しく動いたが、本番は穏やかな枠なり3対3。これで平山がかなり楽になったかと思いきや……昨日と同じ艇番、コースに構える選手がもうひとりいた。長嶋万記。昨日はスリットのはるか手前からテンパッて、放りっぱなしだった万記ちゃん。が、同じ過ちは犯さなかった。コンマ15のトップSから、ズーーーンッと伸びる。展示タイムは、12人の中で突出した6秒75。どんな整備をしたのか、前検より行き足~伸びの破壊力が倍増していた。

 

 

 

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 伸びなりに一気にまくる万記。守屋が艇を合わせて抵抗したが、勢いが違いすぎる。ミポリンをズルリと引き波にハメて、イン平山まで呑み込んだ。ただ、守屋の飛びつきと強いホーム追い風とで、万記の艇がわずかに流れる。そこに、4カドから満を持して差し込んだのが鎌倉だ。万記を追い抜き、1艇身のアドバンテージを奪って2マーク先マイ。が、今度は万記がお返しの差しハンドルを突き刺し、鎌倉を捕えた。伸びだけではなく、回り足、レース足もいい。間違いなく、今日の12人の中でトップ足。この勝利で成績もトップに躍進だ。明日も赤カポックの万記ちゃんは、今日と同じレースを心がければいい。そうすれば、最後の最後に白いカポックを手にする可能性は高い。

 

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 一方、まくられて4着に敗れた平山は、もう気持ちを切り替えているだろう。今日は万記のパワー&仕掛けが完璧すぎた。3戦連続の1号艇は精神的にも楽ではないが、2度の経験を積めたアドバンテージもでかい。明日の11Rでしっかり逃げきれば、4戦連続1号艇という珍事も十分にありえるだろう。

 

 

 

 

 

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 このレースは3着以下がくるくる入れ替わる激闘になったため、それなりに足色を計ることができた。私の評価は、鎌倉も含めてほぼどれも大差なし。とにかく、万記ちゃんの足だけが燦然と輝いたレースだった。(photos/シギー中尾、text/畠山)