BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――昭和!

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 烏野賢太がグレートな笑顔を見せた! 2R、5コースから差して突き抜けたのだ。58600円の大マンシュウを演出した鋭いターンは、まさに烏野の真骨頂! 仲間に囲まれれば、そりゃあ顔がほころぶに決まってる。仲間たち(というかほとんど後輩たち)ももちろん、笑顔で称えるというわけである。レース直後の勝者というのは、意外と淡々とふるまったりもしているものだが、この快勝は笑顔を生み出す。烏野をベテランというにはどうにも抵抗があるんだけれども(僕も同世代だからですかね)、しかしそこにはたしかにくぐり抜けてきた修羅場の多さを物語る、素敵な表情があるわけである。

 

 

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 このレース、展開を作ったのは服部幸男だ。4カドから攻めたのだ。内をなで斬りにするかのように叩き切り、自身も2着。「調子悪いです。ワースト機引きました」のダブルパンチを一気に払拭する「ベストを尽くす」走りである。これで2着2本ということで、まずは順調な序盤戦。それだけに、服部の表情も柔らかく見えた。

 

 

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昨日も書いたが、三角哲男が「昭和登録が6人」と開会式で口にし(服部は平成登録です)、しかし昨日の序盤は若き力が活躍したのだが、年長組だって負けていない! その三角も、昨日は6Rを快勝(服部とのワンツーでしたね)。力を見せつけているのだ。今朝も三角は入念に調整作業を行なっており、その凛々しい表情にはやはり年輪も浮かんでいる。そう、刻み込んできた年輪は年長組の武器! 若者が今望んでも決して手に入らない経験というスキルをもって、彼らは後輩たちに立ちはだかるのである。

 

 

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  などと書いていたら、川﨑智幸が4Rで見事なレースを見せた。平山智加に勝利を許しはしたものの、1マークではまくり差しで迫り、2マークでは差して舳先をねじ込んでいる。その後は、全速連発で攻め込んでくる石渡鉄兵を捌いて2番手死守。こうした立ち回りがまた、渋いわけである。昭和登録の選手たちというのは、一時代を築いた野中和夫や中道善博らに戦いを挑んで、時代を切り開いてきた面々。鬼のように強く、進入も道中ももっと激烈だったバトルを乗り越えてきたのだから、その経験値は巨大である。川﨑の走りからも、そういうものを感じたなあ。ちなみに今朝、装着場で貼り出されている出走表をじっと見つめる川﨑を目撃している。百戦錬磨のコンピュータが、この4Rの戦略を導き出していたのだろうか。

 

 

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 そうしたなか、江口晃生が苦戦している。2Rは1号艇で、初日の6着2本という悪い流れを断ち切るチャンスだったのだが、まさかの6着に敗れてしまった。ピットに戻った江口は「あぁぁぁっ!」と悲鳴のような声をあげており、無念さを表現していた。昨日、「ああ、あかんあかんあかん」と呟きながらピット内を小走りしていたりもしていて、相棒はなかなか言うことを聞いてくれないようだ。昨年の名人は、賞金王シリーズで優出したように、まだまだ第一線の猛者である。予選突破は早くも厳しい状況だが、名人らしい不屈の闘志を見せてほしいぞ!(PHOTO/中尾茂幸 黒須田=烏野、川﨑 TEXT/黒須田)