BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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蒲郡メモリアルTOPICS 初日

 

地元の利

 

 

 

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いやあ、とんでもない水面だった。前半は風速8m前後、後半戦に入ってからは10m前後。水面はボコボコ、至るところに白浪が立ち上がっていた。もちろん、台風15号の影響なのだが、こんな超難水面で1号艇と5・6号艇を授かった選手の多くは不運だったとしか言いようがない。1号艇はインからのスタートで悪戦苦闘し、5・6号艇はあまりにも1マークが遠かった。

 

 

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 で、ほとんどの選手が苦しむ中、さすがの立ち回りを見せたのが地元・愛知支部の6人衆だ。3Rの平本真之のイン逃げにはじまり、4Rの柳沢一は怒涛の4カドまくり。その後もしっかり着をまとめて、12Rドリーム戦の池田浩二までまったく崩れることなくすべて舟券に絡み続けた。着順を羅列すると①①③②②③②③③。風に煽られながらもターンマークをほとんど外さなかったのは、やはり地元の利と言うべきだろう。

 

 

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特に印象に残ったのは、豪快なまくりを決めた柳沢だな。おそらく「選んでくれた蒲郡ボートに恩返ししたい」という思いは、立場的にもいちばん強いのではないだろうか。この錚々たるメンバーに入れば人気の盲点になりやすいだけに、5・4号艇の明日も注意が必要だ。

 

度胸試し

 

 パワーもへったくれもない大荒れ水面だっただけに、度胸満点の旋回をした選手が鮮明に脳裏に焼きついた。たとえば、紅一点の遠藤エミだ。

「百戦錬磨の猛者たちの中に、たったひとりの女の子。精神面でゴンロク状態になってしまうのでは……?」

 などと心配したのだが、まったくの杞憂だったな。5RではじめてSGの舞台に立った遠藤は、4カドからコンマ07のトップS! すぐに舳先を左に傾け、迷うことなくインの川上剛まで攻め潰しに行った。うーーん、気持ちいい。老獪な男子レーサーなら「この強い追い風なら、まくり差し主体」みたいな皮算用をするものだが、エミは新米らしく真っ直ぐに突き進んだ。もちろん、流れる。バックでは川上、原田幸哉に次ぐ3番手。

 

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 ハイライトは1周2マークだ。そのバック3番手で大外に付けていたエミは、外から外へ全速でぶん回した。今日の2マークは①好旋回で順位を上げた者と②風にビビッて?着を落とした者にはっきり二分されたのだが、エミのこの全速ターンは①も①、今日一番の大胆不敵なターンに見えた。

 結果、原田を捕えきっての2着発進。SG初参戦で水神祭という快挙こそ逃したが、非凡なターンセンスと男前すぎる性格を、いっぺんに余すところなく全国のファンに魅せつけた。凄いぞ、エミちゃん。ここ半年ほど、「SGにもっとも近い女子レーサーは?」と聞かれれば、迷わず「エミ!」と答えるようになった。まさかまさか、それが今節とはまったく思ってないけれど、「予選突破レベルなら……」とマジで期待させる男前ターンだったなぁ。エミちゃん、最終日の最終レースまで、ひたすらアタマ極め撃ちで買い続けまっせ~!!

 

 

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男前といえば、天下無双の穴男・森高一真も凄かった。スターが勢揃いしたドリーム戦で、しかも誰もが苦戦した6コースで、ズバズボズッキューーーン!!の一撃差しだ。最近のインタビューの口癖が「また、穴を開けてここに来たい」なのだが、有言実行、外枠で人気がなければないほど激走するレーサーに“成長”している。まあ、彼の人生そのままに、度胸満点というより八方破れに近い気もするのだが。嗚呼、今日も私の小市民的な穴・極撰予想(センター狙い)を嘲笑うようなアウト一撃400倍決着。この男には、いろんな意味でかなわんなぁ、とつくづく思う今日この頃である。涙。

 

 

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 あ、今日の真の主役は素晴らしい立ち回りでピンピン連勝した峰竜太なのだが、今日はあえて何も書かない。宮島グラチャンでも初日ピンピンだったし、これくらいの芸当は当たり前の子なのだ。うん、3日目を終えたあたりで予選トップだったら、またキーボードを叩くとしよう。頑張れ、峰リュー。(photos/シギー中尾、text/畠山)