パワー4強
イン4勝、2コース4勝、3・4コース4勝。今日の鳴門は強い追い風が吹き荒れ、その影響がしっかり成績に反映された1日だった。スタートがバラけやすく、特にイン選手の立ち遅れが目立ち、そこを2~4コースの選手が厳しく攻めたてた。で、その2~4コースから自力で攻めた選手は、Aスタート勝負、Bパワー駆けに分類することができる。より重要なのはBで、今後もそれらの選手は風や潮流とは関係なく自力でレースを作る可能性が高い。それをマークする選手が人気薄なら、もちろん高配当も期待できる。そのBタイプの選手は……ほぼバレバレだが、改めて記しておこう。
★松田祐季
やっとやっと、伸びーる12号機の片鱗を見せてくれた! 2Rを観戦した方は、誰もが納得するだろう。3コースのスロー発進から、スリットはちょいと覗いた程度。そこからターボが掛かって伸びる伸びる。1マークまでに伸びきり、内2艇の舳先を軽々と超えてまくりきった。見てくれこの足、これが12号機だ! と叫びたくなるような伸び足だったな。
後半10Rは5コースからやや後手を踏んで、差しを選択。まくり連発とはならなかったが、バック直線の伸び足は痛快の一語。あっという間に2、3艇を抜き去り、2番手の大瀧明日香を捕まえてしまった。明日の3Rは4号艇の1回走で、③着勝負駆け、しかもタイトなダービー勝負駆けの身の上でもある。内に強敵が並んだが、だからこそ配当的な妙味も十分とお伝えしておく。
★石野貴之
毎日毎日エコ贔屓なくらい書いてきたので、今さら多くを語る必要もないか(笑)。今日の6Rは4カド一撃まくりを期待したものの、コンマ21のしょっぱいスタートで内3艇に出し抜かれた。が、そこからの伸び足はゴキゲンそのもの。100mほどで舳先を並べ、1マークの手前では覗き加減の態勢から差しハンドルを入れた。
特筆すべきは、その直後のパワーだ。3本の引き波がたぷんたぷんしているところを直角に横切ったわけだが、そこをギュインッと力強く突き抜けた。バウンドを味方にしてさらに加速したようにも見えた。そのままぐんぐん伸びて、前にいる2、3番手をバック中間で捕まえ、2マークの手前では1艇身以上も突き放していた。そう、73号機はこの引き波を超える力も半端ないのだ。初日とは雲泥のパワーを見せつけた石野の明日は、2走で①②着というハードな勝負駆け。ただし、1・2号艇という絶好枠でもあり、軽々とクリアしてくれるだろう。クリアしてくれよ、石野!
★新田雄史
今朝の特訓で、いちばんビックリしたのが新田のストレートだった。平高奈菜の外に合わせて、キッチリ息の合った2艇旋回。ほぼ同時に上体を伏せ込んでの直線勝負、外の新田だけが伸びる伸びる。普通、遠近の法則によって内の方が優位に見えるものだが、外の新田の舳先が平高のそれを置き去りにしていた。唖然呆然。「新田のパワー出し」と言えば出足特化型で伸びはチョボチョボというイメージが強い。だから、初日に自力でまくりに行ったときも、「あれはパワーでしょ、新田、伸びるでしょ」と力説する黒須田に対して「単なるスタート勝負、パワーじゃない!」と一蹴してしまった。すまん黒須田、やはり今節の新田はめちゃくちゃ伸びますっ!!
特訓の驚嘆パワーそのまま、今日の新田は伸びなりに攻めたてた。7Rは2コースから一撃ジカまくり圧勝。11Rは4カドから豪快に握ってイン中島孝平怒りの?ブロック玉砕。悲喜こもごもの1日ではあったが、これほど獰猛に握りまくる新田は珍しい。しかも、玉砕した後の追い上げ足にも鬼気迫るものがあり「例によって出足系統は強力」という印象も受けた。つまり、なかなかにモンスターっぽい新田81号機なのである。明日の新田は5号艇の1回走で完走当確。が、準優好枠狙い&ダービー勝負駆けで緩めることなく攻めるだろう。石野貴之との直接対決も楽しみだ。
★峰 竜太
峰については昨日いろいろ書いた。今日はさらにダントツの予選トップに立ったわけだが、はい、V戦線に関してはゴタクを並べませんよ。パワーのみを記すとしよう。やはり峰36号機は行き足~伸びが素晴らしい。今日もインの松井繁を2コースからひとまくり。F持ちの王者がやや慎重だったとは言え、スリットからぐんぐん抜き去っていく様は迫力満点だった。回り足もそれなりに良さそうで、後方から追い上げた松田を寄せつけずにクルクル回っていた(ほとんど圧勝のレースばかりで、競ってどうかは謎です)。
さあ、明日はこの頼れる相棒とともに5・6号艇の「予選トップ勝負駆け」。机上の計算では②③着で相手とは無関係にトップ確定となりそうだが、そのポテンシャルは十二分にある、と私は思う。うん、ここからの先の敵は選手ではなく……以下、略!!
以上、この4選手が私の勝手なパワー4強であり、以下、丸岡正典や赤岩善生などが続く。前検の番付は
SS級…石野貴之
S級…松田祐季、峰竜太
A級…坪井康晴、中島孝平、丸岡正典、赤岩善生
で、これに新田が仲間入りといったところか。さらに行き足で加えるなら、大瀧明日香、寺田千恵、篠崎元志あたりだろう。
ちなみに「Aスタート勝負レーサー」の筆頭はもちろん菊地孝平なのだが、明日あたりからそろそろダービー勝負駆け選手のS一撃も警戒しておきたい。名前を列挙しておくと
――菊地孝平! 中島孝平、深川真二、赤岩善生、西村拓也、池永太、齊藤仁、松田祐季、重成一人、秋山直之、杉山裕也、新田雄史、中野次郎。
この13人は道中の競り合いでもガンガン攻める可能性が高いので、常にマークしておいたほうがいい。でもって、5日目の敗者戦からが、本格的な勝負だ!(photos/シギー中尾、text/畠山)