BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――穏やか勝負駆けモーニング

 

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 朝から大デッドヒート! 2R、深川真二と長田頼宗が、3周びっしりと競り合って、併走したままゴールした。勝ったのは深川。わずか1mの差で、長田を競り落とした。今朝の大村ピットはめちゃくちゃ寒いが、見ていた誰もが寒さを忘れるホットなレースだった。

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 負けた長田はもちろんガックリ。顔をゆがめて、僅差の敗退を悔しがっていた。いちばん悔しい負け方だよなあ。長田が優勢の場面が多かっただけに、取りこぼしたという気分でいっぱいだろう。一方の深川は、激戦の余韻をあまり感じさせず、淡々とピットに戻ってきていた。長田が歩み寄っても、軽く左腕をあげて応えるのみ。同期の海野ゆかりと訥々と会話を交わしていた。勝者の余裕、ですかな。それとも、足に不満あり? ともかく、朝からいいものを見せてもらったぞ。ナイスファイト!

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SGは勝負駆けデーだが、それほどピリピリとしたものは感じない朝のピットだった。6号艇で勝負駆けに臨む田村隆信も、表情は柔らかい。機歴を確認している最中の難しい表情を見ていただけに、ちょっと意外ではあった。

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 同期の井口佳典も、同じように穏やかな表情だった。痺れるような気合をほとばしらせることもある井口だが、今朝の井口にその様子は見えなかった。もっとも出番が12R1回乗りだから、朝からバッキバキになっているわけはないか。午後になればまた違った顔を見せるかもしれない。

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 これまた同期の森高一真も、同様であった。1Rを“アリーナ”で観戦していた森高は、まだ通勤服姿だった。えらい余裕だなあ。足にも手応えがあるのだろうし、得点的にもメドが立っているから、あわてる必要はないのはわかる。その後は銀河系ジャージに着替えて作業を始めているが、その姿にも余裕がうかがえた。出番の10Rに向けて、徐々にピッチを上げていくのだろう。

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 その頃、整備室には瓜生正義。本体が整備テーブルに乗っていた。本体整備か? そうではない。瓜生のルーティンとも言える、点検作業である。何度も書いているが、どんなに出ていても本体を割って、点検をしたり数値をチェックしたりするのが瓜生流。青山登さんが「何か換えたん?」と問いかけると、やっぱり「見ただけ」と返しているのだった。この作業は瓜生の強さの象徴でもあるだけに、さらなる上昇を期待してもいいだろう。

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 整備室には谷村一哉も。ちょうど本体を割り始めたところを目撃した。着はまあまあ獲れているが、足的にはもうひとつということか。準優は無事故完走で当確でも、まだ上積みを求める谷村だ。と思ったら、青山登さん情報によると、新品のピストンリングに交換したら、まるでよくないので元に戻すところ、とのことだった。なるほど。それでも、新品リングに交換したのは、やはり上積みを狙ったもの。上を目指すべく試行錯誤は続けているわけだ。

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 その隣でやはり本体整備は魚谷香織。昨日のコメントに「リングを交換したらよくなかった。戻す」とあって、その作業だろう。谷村と似たような作業をしていたわけだ。ピストン周辺以外の場所も、慈しむように丁寧に点検していた魚谷。相棒に対しての情のようなものが感じられる。

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 女子といえば、1Rで枠なりが崩れた。山川美由紀が前付けに出たのだ。スタート展示はオールスロー。展示を終えてピットに戻ってきた2号艇の佐々木裕美が、長嶋万記に「見てた? 全員100切ってた~」とおかしそうに笑っていたのを目撃している。本番も、山川は決意をこめて動いた! 結果、日高逸子の回り直しなどもあって4コース。着順は5着に終わってしまったが、ナイスファイトだった!

 レース後は重成一人、森高ら香川勢に囲まれて、首をひねったりもしていたが、男子以上に枠なり至上主義化が激しいように見える女子戦で、これを見せてくれただけで嬉しいというもの。今節は日高も前付け策に出ているが、こうして闘志を見せてくれるのはやっぱり百戦錬磨の猛者たち。得点的にはやや厳しい状況となってしまったが、山川美由紀に拍手だ!(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)