BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――目つきキリリ

●ニヤリ

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 9Rを逃げ切った寺田祥。平本真之のツケマイにも動じずに押し切ってみせた。寺田といえば、そのたたずまいからはクールなイメージがあるわけだが、勝利の凱旋ピットでも淡々と振舞っている。ただ、ヘルプした下出卓矢がやけにニコニコしており、ヘルメットの奥で何事か呟いていたのだろうか? そして、盟友・白井英治が声をかけると、意味ありげにニヤリ。白井も目を細めていた。ヘルメット越しの会話って、まったく聞こえてこないんだよなー。ただ、寺田が醸し出す雰囲気はなかなか痺れるものがありました。

●ニヤリニヤリ

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 10Rを逃げ切った深川真二。前付けありの枠なりオールスローではあったが、深い起こしはお手の物。堂々たるイン逃げであった。ピットに戻った深川は、これまた実に淡々としたもの。ヘルメットを取っても自然体の表情を見せており、歓喜も特に見えなければ、感情の動き自体あまり伝わってこないのであった。そんな深川に、原田幸哉が耳元で囁きかける。すると、深川はまっすぐ前を見据えたままニヤリ。そして原田を一瞥してニヤリ。カッコいいっす! 為すべき仕事をやってのけただけだ、というような、大人の男っぽい雰囲気がさすがです。

●本体整備!?

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 ピットの隅から整備室のほうに目をやると、本体整備をしている選手が小さく見えた。実はド近眼のワタシ、目を凝らすと長田頼宗のように見えるのだが、自信がない。そもそも長田のモーターは評判機。今日は1号艇で1マークでは後手を踏んだものの、2マークでは驚異的な逆転劇を見せている。本体整備するかな? さらに目を凝らすと、モーターの番号が見えた。えっ、72!? 長田だ!
 整備室に近づいて確認すると、長田が間違いなく本体整備をしているではないか。しばらく見ていると、部品交換をしている様子は見えなかったが(それでも明日の直前情報は要チェック)、本体を割って作業をしていたのは確かである。好機を割るのは勇気がいると耳にしたりもするわけだが、ポテンシャルを何としても引き出さんと手をつけたのであろう。これが吉と出るかどうか、明日の気配を確認したい。

●モテモテ!?

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 瓜生正義のルーティンの一つが、レース後に自艇を磨くこと。今垣光太郎もよくやっている、相棒をいつくしむかのような時間である。今日もやはりレース後には黙々と相棒との“会話”にいそしんでいた。

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 そこにあらわれたのは平高奈菜。瓜生に何事か相談でもするかのように、話しかけている。しばし会話を交わし、平高が去った後もボートを磨く瓜生。すると今度は守屋美穂が! 実は守屋は近くで自身もボート磨きをしていたのだが、それを終えて瓜生に話しかけたというわけだ。

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 瓜生モテモテ! と言ったら怒られるか。ようするに、他支部の女子選手たちでも話しかけやすく、しかも実になる話を聞ける頼れる先輩ということだろう。こんなシーンからも、瓜生の人柄というのはうかがい知れるわけである。

●良き行ないをしたのに……

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 11Rの展示準備を終えて、ピットにあらわれた西山貴浩。普段は賑やかな男も、レースを目前にすれば緊張感を漂わせる。目つきはきりりと鋭くなり、これがこの男のもうひとつの真実だと思わされるわけである。
 ふと、西山は床の一点に目を据えて立ち止まった。何かと思えば、ペラ装着の時などに出る鉄くずを拾い始めたのだった。通常、終盤の時間帯に新兵選手がマグネットを使って拾い集めるものだが、まだその作業がなされる前のこと。それでも目についたものは拾わずにはいられないと、西山はその周辺の鉄くずをいくつもいくつも拾い集めて、ピットの隅にある屑籠に持っていくのだった。
 そんな良き行ないをしたのに、11Rの西山は勇み足……。神様は時に無常である……。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)