BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――いざ、最終関門

 

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 今日も山川美由紀は本体整備だ。毎日毎日、なかなか答えを出してくれない相棒と根気よく向き合う。第1回大会を思い出す。あのときも、山川の姿は毎日、整備室にあった。結果、得点19点でギリギリ優勝戦の6号艇に乗った。今日勝てば19点。第1回と比べれば、これで優出できる可能性はとことん低い。しかし、何が起こるかわからないトライアル、可能性はゼロではない。それを意識してかどうかは別として、山川は今日も全力を尽くしている。さすがと言うしかない。

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 整備室には中谷朋子もいた。70号機を割った! 一時は絶対的エースと目されていた70号機である。これまで、少なくとも部品交換は1回も行なわれていない。そのモーターを割るというのは、なかなかに勇気がいることだ。中谷は今日勝って20点。相手待ちの立場である。しかし、勝たなければ道は開かれない。そのために70号機だろうが何だろうが、自分を信じて整備をするのである。プロペラ調整が主体の中谷だけに、その決意が強く伝わってくるというものだ。

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 大きな動きを見せていたのは、おおむねその2人くらいで、それ以外では日高逸子も整備室で顔を見た程度だった。日高は3R発売中にはボートを水面に下ろしているが、その表情は猛烈に鋭かった。これまで見た日高の顔つきのなかでも、特に厳しい表情だったように思う。また、2R発売中にはすでに遠藤エミが係留所で作業をしていた。着水する姿は見逃したが、トライアルメンバーのなかでその時点で水面にいたのは遠藤のみ。早めの始動ということができる。

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 プロペラ調整室には、やはりトライアル組の顔がいくつも見える。長嶋万記は今節の定位置、装着場からの入口にやや近い位置で、熱心に調整を行なっていた。エンジン吊りにはもちろん出てくるのだが、終われば駆け足でペラ室に戻る。焦っているとか急いでいるふうではないものの、時間を惜しんでいる様子がトライアルを戦う者らしさか。竹井奈美は装着場から見て奥のほうで調整中。3R発売中にはペラ室を飛び出て、走ってボートに向かったから、このあと試運転を始めるに違いない。非常にリラックスした表情に見えたのも、印象的だった。

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 装着場で何度か見かけたのは、98期コンビ、平山智加と松本晶恵が話し込む様子。装着場の真ん中で長く話していたかと思えば、控室のほうから肩を並べて出てきて、話しながら整備室へと向かったり。得点的にも足的にも不安が少ないからか、二人とも実に穏やかな雰囲気で、時に笑顔がこぼれたりもしていた。トライアル最終戦、苛烈な一日にもっとも余裕がうかがえたのはこの二人だ。

 

<シリーズ組>

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 渡邉優美は、あとわずかのところでクイーンズクライマックス出場を逃している。一時はかなり出場濃厚のところにいたのだが、チャレンジカップF休みが痛かった。結果、賞金ランクは14位。シリーズ回りとなった。

 今節を通して(と言っても前検日と初日は見られていないが)、渡邉の雰囲気からはそれに対する何かは感じ取れない。モチベーションが下がっている様子もないし、いつもどおりに爽やかにハツラツと戦っている。来年こそという思いはあるに決まっているが、今いるステージで全力を尽くそうとしているのである。まずは準優進出。ここに力を注ぐため、早い時間から調整に励む朝だった。

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 あと、準優組でいい雰囲気だったのは角ひとみ。スポーツ紙などでコメントを見ると足は上々のようだが、それもあるのか、非常に柔らかい表情だった。今日は4号艇だが、内に攻め屋の堀之内紀代子がいる。展開を突くのはお手の物だけに、少々怖い存在と思えてきたぞ。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)