BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット@クライマックス――勝負駆けの匂い!

 

 

f:id:boatrace-g-report:20171220183027j:plain

 小野生奈が整備室から駆け出てきた。小野がペラを叩いている“屋外”調整所は目と鼻の先だが、その短い距離を小野は駆けた。表情はやや悲壮感が見て取れる。時間の余裕をまったく感じていない様子で、コンマ15秒の時間も無駄にしたくはないという雰囲気だ。

 勝負駆け! 小野の様子は、それを象徴しすぎるくらいに象徴している。今日はもはや、短期決戦とかそんなことは関係ない。今日の1走に、ただただ懸けるのみなのだ。優勝戦に駒を進めるためには、1着しかない。11R出走の小野はいずれにしても12Rの結果を待たなければならないが、2着で寒い待機はしたくない。絶望的とも言える3着以下の着順は絶対に獲りたくない! そんな決意がうかがえる。

 

f:id:boatrace-g-report:20171220183040j:plain

 カタいとは言わないまでも、滝川真由子も神妙な顔つきでプロペラを叩いていた。この3日間、ペラ調整所ではよく滝川の姿を見た。12人のなかではペラに専念していたほうだと思う。滝川も今日は1着しかない。枠番は遠いが、先頭でゴールするしかないのだ。幸いセンターに攻め手が揃っているので、絶好の展開が転がり込んでくる可能性はある。そこを的確に突くためにも、調整は万全にしなければならない。きっとギリギリまで、滝川は今日も調整所で姿を見ることになるだろう。

 

f:id:boatrace-g-report:20171220183053j:plain

 1着しかないのは、山川美由紀も同様だ。エース65号機を引きながら、それを活かし切れていない今節。初戦2戦とも3号艇だが、攻め切れずに終わっている。今日も3号艇。同じ轍を踏むわけにはいかないだろう。これは整備状況表示盤で確認したことだが、山川は今朝、ギアケースを調整したようである。そのうえで、山川はペラ調整に励んでいる。エース機の底力をしっかり引き出すため、山川は一日奮闘する。2R後には岸恵子と話し込む姿もあった。山川が話しかける時間が長く、むしろ山川のほうが相談事を話しているようにも見えた。

 

f:id:boatrace-g-report:20171220183106j:plain

 結局、4日連続で整備室にいる姿を見た。日高逸子だ。今日はギアケース調整。本体にも整備を加えながら、勝負駆けの今日は外回りをしっかりと仕上げにかかっている。なんだかんだでグレートマザーはすごい。完全に機力劣勢と思われたものが、今日は3着勝負というところにつけている。「福岡でのクイーンズクライマックスは最後かも」なんて言っていたが、いつ開催されるかわからない次のクイクラにまた日高は出ているような気がしますな。それが何年後であっても。今日は進入も見どころ。あ、それを想定してのギアケース調整、ということだったのだろうか……。

 

f:id:boatrace-g-report:20171220183119j:plain

 同じ3着勝負の大瀧明日香も、整備室で姿を見た。ボートごと持ち込んでの作業で、本体が外れているのが確認できた。最後の最後に本体整備か! 1号艇で枠有利、逃げるだけ、なんてことは考えていない。ただただ万全を期してイン戦に臨み、さらにその先のファイナルも見据えて整備をする。ピットではちょっとのほほんとして見えるときもあるのだが、いやいや、しっかりやるべきはやる明日香なのである。

 

f:id:boatrace-g-report:20171220183135j:plain

 さて、昨日の件があって気になる平高奈菜だが、表情自体はスッキリとしており、きちんと切り替えて今日を迎えたと思われる。厳しい勝負駆けであるのは間違いなく、それに対する緊張感はあるかもしれないが、妙な引きずり方でトライアルに臨むはめにはならないだろう。すべてを脳裏から拭い去ることはできないにせよ、それを気合の種火にはできそうな雰囲気。渾身の勝負駆けに期待しよう。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)