暗雲セブン
11R
①石野貴之(大阪)10
②桐生順平(埼玉)17
③井口佳典(三重)08
④毒島 誠(群馬)16
⑤松井 繁(大阪)18
⑥森高一真(香川)23
やはり……石野7号機はこのメンバーでは劣勢だった。
スタート展示で動いた松井が本番は手控え、進入は枠なりの3対3。インの石野にとってはスタ展よりも有利な待機行動だったし、そこからしっかりと起こしてスタートは絶妙なコンマ10。
だがしかし、ほとんど同体に見えた3コース井口とは明らかに行き足が違った。井口だけがグングン伸びて、1マークの手前で軽々とまくられてしまった。あまりの足色の差に、石野がアジャストしたのかと思いきや、聞けばスリット全速だったとのこと。全速であれだけ千切られたとなれば、彼我の行き足が違い過ぎた。井口10号と石野7号のパワー差は、“ケタチ”だった。
1マーク、まくられた石野はさらなる災難に遭遇する。スタートで凹んだ2コースの桐生が、まくれた直後に全速で握って井口に追随したのだ。実に珍しい2コース選手の「換わり全速」(VTR必見)!! この航跡が、石野にとっては強烈なツケマイパンチになってしまった。井口と桐生が作ったWの引き波に乗って、石野の艇は小刻みにバウンドしながら推進力を失った。
バック直線、独走する井口の後方では桐生と毒島が舳先を揃えていた。が、そこから2マーク前後までの足色がまた違う。あっという間に桐生が抜け出し、毒島はワンパンチで置き去りにされた。1st組では部品交換で対等に戦えた毒島だったが、次なる舞台はパワー面でもワンランク上だった。
井口~桐生~毒島と縦長になった3周1マーク、その後方では4番手の石野と5番手の松井が交差旋回して両者の体が入れ替わった。ここにもまたパワー差が介在したか。スリットからゴールまで、石野7号機の非力さが目立つレースだった。明日は追い討ちをかけるような6号艇……どこまで立て直せるか、大整備はあるのか、進入争いで勝負するのか、その動向と気配に注目したい。
奇麗すぎるインモンキー
12R
①峰 竜太(佐賀)10
②白井英治(山口)14
③寺田 祥(山口)13
④菊地孝平(静岡)13
⑤茅原悠紀(岡山)12
⑥原田幸哉(長崎)10
11Rの大本命はふたつの引き波に敗れ去ったが、こちらの1号艇は危なげなく逃げきった。スリット隊形はほぼ横一線。しかも、怖い怖い4カドの菊地がわずかに凹んでいて、スリットから伸びきるだけの勢いもない。代わって3コースの寺田が気風のいい握りマイで襲い掛かったが、その時にはもう峰は1マークを回り終えていた。速い、巧い、強い。さすが、インコース最強の男。
「ああ、奇麗なターンっすねぇ」
勝利者インタビューでVTRを見ながら峰本人も自画自賛していたが、自分で言うかっ!!??(笑)。とにもかくにも華麗なインモンキーで1着は確定。2番手も迫力満点の握りマイでぶん回した寺田がきっちりと取りきった。
「真剣にグランプリ獲りに来ました。本気の走り、しっかり見ててください!」
開会式で宣言した「本気の走り」は、2マークでも見られた。3艇身ほど前を行く峰に対して、外から内へ凄まじい迫力で切り返しで迫ったのだ。峰はスピーディーな抱きマイでこの奇襲を交わしたが、並みの選手なら大逆転もあっただろう。初日から泣いていた機力にも完全に目途が立ったようで、明日以降も「本気の走り」に刮目するとしよう。
一方、パワー的にちょっと首を捻ってしまったのが白井12号機だ。このエース機はスリットの行き足で負ける相手がいないはずなのだが、今日は峰、寺田のそれより微かに劣勢に見えた。道中の追い上げもあまり迫力がなかったし、最後の最後に茅原(3周1マークはターンミスだろう)を捕えて3着を取りきるのがやっとこさという感じだった。前検では文句なしに見えたが、やはり直前のペラ交換の影響があるのかも……寺田とは別の意味で、明日の白井12号機にも目を光らせるとしよう。
今日のトライアルを見ての感想。1st組と2nd組のパワー差は予想以上だった。そう思うと同時に、石野7号機だけはトータルでかなり劣勢に見えた。明日の第2戦も「6号艇の石野以外の2nd組が総じて好枠を引く」という皮肉な結果になったが、石野&1st組がどれだけ巻き返すことができるか。王者・松井や菊地などなど“下剋上軍団”の奮起に期待したい。
兄弟弟子がワンツー独占!
一方のシリーズ戦は、今日から「シリーズ組×1st組」の交流戦という趣だ。毎年、どちらがシリーズの主導権を握って優勝するか、がちょっとした話題になるのだが、3日目を終えての予選トップは1st組の田中信一郎。そして、同2位はシリーズ組にして信一郎の弟弟子の湯川浩司!というなんとはなしに複雑なワンツーになっている。
今日の信一郎は、逃げて捌いての1着2着。湯川もまた2着1着と地元コンビの息がぴったりシンクロしていた。明日はそれぞれ外枠のハードルが待ち構えているが、このまま予選を突っ走って優勝戦でもワンツー決着となるのか。そんな下世話な興味も含めて、交流戦の行方を楽しみたい。
ちなみに3位以下は新田雄史、前本泰和、今村豊、深川真二とテレコで並んでいる。1st組の点増しが功を奏して?予断を許さぬ激戦と言えるだろう。果たして最後の最後に笑うのは「傷心のリベンジ軍団」か「生え抜きの雑草軍団」か??(text/畠山、photos/シギー中尾)