ボートレース児島で開催される「GⅡレディースオールスター」のファン投票にあわせて設けた、「レディースコラム」。VOL.1では「まくり屋レディース」をご紹介したが、今回は「差し巧者レディース」。まくりの次は、やはり差しだろう。
ここでの「差し」の定義は「差し+まくり差し」。まくり差しも差しに含んでいる。すなわち、内の艇を先に回してもしっかり展開を捉えられる、という意味で、まくり差しも差しに含んでいるのだ。外から豪快に内を沈めていくのがまくりなら、最内だろうが艇団の間隙だろうがしっかりと割っていけるのが差し。言ってみれば、技巧に優れたレディースをここでは取り上げようというわけだ。
下記は、1年間(2017/9/14~2018/9/13)に差し1着18回以上の女子レーサー。平均で月に1・5回は差しまたはまくり差しで勝ち切っている、テクニシャンたちだ。
中谷朋子(兵庫) 31回
松本晶恵(群馬) 29回
落合直子(大阪) 26回
長嶋万記(静岡) 25回
中村桃佳(香川) 25回
海野ゆかり(広島)24回
佐々木裕美(山口)22回
津田裕絵(山口) 22回
藤崎小百合(福岡)21回
守屋美穂(岡山) 20回
竹井奈美(福岡) 19回
寺田千恵(岡山) 18回
田口節子(岡山) 18回
遠藤エミ(滋賀) 18回
女子きってのテクニシャンたち、ということで、さすがにレディース戦線における銘柄級の名前がずらりと揃った感じだ。トップは中谷朋子の31回。今期適用勝率で女子トップに立った中谷の、その原動力が鋭い差し、まくり差しだというわけだ。コース別でみると、2コースはもちろん差し1着が多くなっているが、センターから外ではまくり差しがぐっと増える。まさに硬軟自在のハンドルワークで抜け出してくるわけだ。
2位は松本晶恵。第1回レディースオールスターでは優出している実力者だ。松本の場合、4コースではまくり1着も多いのだが、3コースでは鋭いまくり差しを決めてくる。そして2コース差しも得意で、九分九厘枠なり2コースに入っている2号艇時の成績もかなり良好だ。
A1級の名前が出揃うなか、現A2級の落合直子が3位となっているのが興味深い。落合は果敢な攻撃もイメージとしてあるが、近況は自在性に富んでおり、差しやまくり差しの1着が増えている。5コースからのまくり差し1着も増えており、配当的な妙味を求めるなら5号艇(5コース)が面白そうだ。やはりA2級の佐々木裕美も上位にランクインしており、得意なのは2コース差し。2コースの1着率が40%にもなっており、枠なりであれば2号艇時は差し切りに注目するべきだろう。
ボートレースの展開というのは、まくりと差しがセットになることも多い。内の選手がまくって、その外に構える選手がマーク差し、というのはひとつのセオリーである。それだけに、VOL.1で取り上げたまくり屋選手が3コース、今回取り上げた選手が4コース、などという組み合わせになれば、まくり一撃が決まるのか、鋭い差しが突き刺さるのか、とレースのイメージがおおいに興奮を呼んでくれる。レディースオールスターでは、今回取り上げた差し巧者も欠かせない存在。彼女たちの戦いぶりにはおおいに注目したい。(PHOTO/池上一摩)