BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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クイクラシリーズ戦TOPICS 初日

 1号艇=インコースが7勝、2号艇=2コースが5勝。イン7勝はともかく、2コースが大暴れしたシリーズ戦の初日だった。最大の要因は、終日吹き荒れた強めの追い風だろう。この季節の浜名湖は北風=ホーム追い風になりやすく、インの先マイか流れて2コース差しが届きやすい。今日も5Rの山下友貴、6Rの樋口由加里、9Rの富樫麗加、10Rの山川美由紀がズブズブと2コースから差し抜けた。

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 ある記者さんから聞いた話では「浜名湖は北西の風が吹くと、スリットラインは追い風なのに、1マークでは逆に向かい風になることが多いんです。で、それを知ってる選手はあえてまくりに行って穴を開けるんです」とのことで、今節はこの不思議な風の悪戯を脳内の引き出しに入れておきたい。その記者さんは「まあ、これを知ってる女子選手が、どれくらいいるかは疑問ですけどね」と付け加えてはいたが(笑)。

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 で、初日に唯一の「2コースまくり」が炸裂、レースも配当も大荒れとなったのが4Rだ。まず、波乱の布石は3号艇・高田ひかるのピット離れ。スコーンと出遅れた高田は大回りでスロー3コースを取り返しに行ったが、④堀之内紀代子が抵抗して1243/56の変則隊形となった。
 堀之内としては自力で攻める腹積もりだったはずだが、4コースの高田がスリットから伸びる伸びる! たちまち堀之内を叩き潰し、さらに内2艇をも呑み込む勢いで絞めまくった。この怒涛の猛攻撃を仕掛けてくれるから、高田のセンター戦は信頼できる。

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 ただ、玉突き状態で窮屈になった2コースの中澤宏奈が、この高田アタックに猛反発! まくられる寸前にガッツリ握って艇を合わせ、勢い握りっぱなしで先制のジカまくりを放った。宏奈の奇襲攻撃を浴びたイン櫻本あゆみは焦りが生じたか、小回り旋回がターンマークに接触してザバンと落水。そこに6コースから差した落合直子がドカンと乗り上げ、さらには回避しようとした堀之内紀代子がエンスト、で1マーク周辺は3艇3人が滞る悲惨な事故現場となった(後に堀之内がエンジン再始動、櫻本は妨害失格、レース後に櫻本と落合が負傷帰郷)。

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 早々に立ち去ったふたりは残念無念だが、やはりレースとして特筆すべきは高田ひかるのストレート足だろう。さらにひかるは後半10Rの直前にピストンリングを1本交換。「冬場のリング1本換えは、ここ一番のエンジン活入れ」としたものだが、強いホーム追い風を嘲笑うような6秒65という超絶な展示タイムを叩き出した(結果は事故などもあって伸びが不発の4着)。
 明日のひかるは8R4号艇&12R5号艇の2回走。今日まんまのストレート足が持続するなら(←リング交換による足タレはやや警戒)、明日も有無を言わさぬスリット一撃攻撃が見られるだろう。

 高田ひかるの伸び足も含め、初日12レースを終えてのパワー鑑定をタイプ別に記しておこう。

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行き足~伸びが強力
★高田ひかる【出C・直SS】=先に書いた通り、ことストレート足に関しては文句なしの節イチ級だ。出足・回り足が犠牲になるのは仕方がないところか。
★山川美由紀【出B・直S?】=前半はターンで滑るわあまり伸びないわで不安な面が多かったが、後半10Rは1マークの出口~スリット裏で三浦に追いつく迫力。「ペラを裏面だけ叩き換えた」とのことで、さらにペラを煮詰めれば下馬評どおりパンチ力溢れる19号機に変貌するかも? 明日の4R4号艇のスリット足に全員集合!
★塩崎桐加【出C・直A+】=前半2Rは「行き足◎伸び○」という足色に見えたが、6号艇の後半はおそらくストレート強化でアウトからまくりに行った。高田ひかると同様、伸びさえ来ればとことん自力でアタマを取りに行くタイプ。特に4カドはスタートからシャカリキ行って絞め込むレースが多く、4号艇で狙いたい。明日は1R5号艇(展示タイム注目)と8R1号艇。

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出足・回り足が強力
★三浦永理【出S・行S】=やはり出足~行き足は軽快の一語! 10Rも起こしからスイスイ加速、あまりに突出し過ぎてうっかり伸びなりまくりに行ってしまったが「伸び」の部分は売り切れた感がある。スロー起こしではアタマから、外のダッシュ戦では2、3着で狙うのが本筋か。明日は7R5号艇と12R3号艇だ。
★土屋実沙希【回S・直B】=9Rのイン戦は2コース富樫麗加に差されたが、ホーム追い風の影響大。その後の追走足はかなりしっかりしていて、ターンごとに水を噛んでいる力強さがあった。外枠での2、3着ヒモで穴を狙いたい。明日は1R6号艇(⑤は塩崎)と10R3号艇。オープニング勝負!?
★樋口ゆかり【回A+・直B】=展示タイムは重いが「レースでは数字ほど悪くない」とのことでストレートは水準レベル。でもって出足、回り足は軽快そのもの。くるくる回って敵を振りきる実戦的なパワーを誇る。今日は風の手伝いもあって2コースから差し抜けたが、基本的に2・3着のヒモで狙いたい粘り足ではある。明日は狙って面白い5R4号艇と11R6号艇。
★水野望美【出A・直B】=スリットのパンチ力は感じないが、今日は接戦になるたびしぶといレース足で難敵に先着。引き波でへこたれない馬力があって、今後も枠番を問わずに舟券に絡んできそうな出足系統だと思う。一見地味な足色だけに、人気の盲点になったら迷わずヒモに加えたい。

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均整のとれたバランス型
★山下友貴【出A・直A】=昨日は「出足よりストレート」と見ていたが、今日は2コースから差しきった足色も含め、全部の足が強めのバランス型に見えた。とりあえず控えめのオールAに置きつつ、実際にはオールA+くらいの破壊力も頭の片隅に想定しておきたい。明日は2R6号艇と9R3号艇で一発注意!
★渡邉優美【出A・直A】=今日の2コース2着・5コース3着の足色は「これぞバランス型!」という抜群の安定感を感じさせた。欠点が見当たらず、大崩れが考えにくい好脚。一方、スリット付近のパンチ力はなさそうで、しっかり着をまとめて準優好枠から優勝を狙いたいパワーだ。明日は4R3号艇と9R4号艇でノルマは14点あたりか。
★角ひとみ【出A・直B+】=9Rの5着(最下位)は案外だったが、3Rのイン逃げは鮮やかだったし、道中の足色にも余裕を感じさせた。後半の敗因を踏まえつつ、しっかりエンジンと向き合えば外コースから穴を演出する可能性のあるパワーだと思う。明日は5R3号艇と9R5号艇。もちろん後者が面白い。
★中川りな【出B+・直A】=3Rで山川19号と互角以上に渡り合ったレース足に魅力を感じた。山川が調整途上だったとしても、出口からの押し足~その後の加速感は軽視禁物だろう。実績的に人気の盲点になりやすいだけに積極的に舟券に絡めていきたい。明日は4R2号艇と10R6号艇!
★金田幸子【出B+・直B+】スリットも道中もまったく派手さは感じないが、くるくる回って押し上げる実戦足の強さを感じた。本人は「とにかく乗りやすい」とのことで、そのあたりのフィット感がレースに反映されているのだろう。レディチャン覇者の底力とともに、不気味な存在とお伝えしておく。明日は6R4号艇と10R1号艇。

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残念ながらワースト級
★岸恵子【出C・直C】うーーん、昨日の前検ワースト時計がどうかと思っていたが、やはり実戦でも厳しい足色だった。懸念したストレートのみならず、旋回するごとにズルズル滑る感じで2番手争いから5着まで後退……かなりの重症と言わざるをえない。

 で、昨日はA級に指名した宇野弥生は、6R5着&12R6着と這い回ってしまった。ともにスリット付近の行き足だけは五分以上に見えたが、そこから1マークまでの伸びが売り切れ。さらに回り足~出口の押し足もスカスカで、出足系統には見るべき何もなかった。見立て違いを詫びるとともに、A級リストから削除しておきたい。(photos/黒須田、text/畠山)