紅白エースの協演
12R優勝戦 並び順
①上條暢嵩(大阪)11
②今井美亜(福井)14
③三浦敬太(東京)13
④日高逸子(福岡)18
⑥竹井奈美(福岡)17
⑤梅木敬太(福井)18
大本命の上條が、トップスタートから鮮やかに逃げきった。
「3(同期の三浦)の足が凄いので、正直、今日は逃げれる気がしなかった」
レース後にこう振り返ったが、今日の三浦はどうしたことかスタート展示から出て行く雰囲気がなかった。ならば、怖いのは2コース今井美亜団長の差しなのだが、今節の上條の仕上がりは完璧に出足寄り。例によって出口からシュッと抜け出し、危なげなく逃げきった。まあ、上條の一般シリーズ優勝を声高に讃えるのもなんなので、“個人戦”についてはこの程度にしておこう。ドリーム戦1号艇レーサーが実力通りに勝ち、シリーズの精神的支柱だった地元の今井が2着。一般戦としては大団円のフィナーレだった。
さて、今回の目玉企画である「団体戦=ボートレース界の大運動会」の結果はというと……。
最終ポイント
紅組30-31白組
なんと、予選では大差がついていたというのに、最後の最後は紅組が1ポイント差まで肉薄していた。史上初の企画シリーズの結果としては、なかなかに迫力のある“記録”が残されたわけだ。
ただ、実に残念だったのは、直前の11Rを白組が勝った時点(13ポイント差)で「白組優勝」が確定していた。つまり、優勝戦がこと団体戦としては消化試合のような存在になってしまった。うーーん、惜しい。これが11点差であれば、三国スタンドも全国ファンも選手のいるピットも、違う雰囲気を醸し出したかもしれない。私個人としては、それがどれくらいの盛り上がりになるのか、通常の優勝戦とどれだけ違ったのか、を目撃(検証)したかった。来年2月の江戸川の第2回大会でき、ぜひとも手に汗握る「紅白の最終決戦」を実現してもらいたい。
シリーズ全体を通じての感想としては「同じレベルの級数、勝率の選手をほぼ均等に集めたら、ルーキーズの方が総体的に強いという現実を目の当たりにした」だな。私はオール女子戦を主体に走っているレーサーの勝率を勝手に1点引きで考えているのだが、このアジャストがかなり正しいと改めて感じた。双方のスピードの違いには、如何ともしがたい較差が感じられた。第2回大会で予選から白熱したバトルを期待したいなら、レディース組には山川美由紀や中谷朋子、海野ゆかりなどの銘柄級を組み入れるべきだろう。もちろん、大山千広などの若手を多用する手もあるが、そうなるとヤングダービーのバチモンみたいになっちゃうし(笑)。
さらにあれこれ。今節の「団体戦」で私が事前に興味を抱いたのは、「選手がどれだけ結束するか?」と「舟券予想にどれだけ影響を与えるか?」の2点だった。で、この2点は緊密に絡み合うファクターでもある。選手たちが自分の成績だけでなく同じチームのレース展開まで“忖度”するなら、レースの質が変わる。ほぼすべてのレースがチーム戦である男子競輪のように。ならば、舟券を買う側はそれぞれのチームの心理(戦略)を読み取ることが、舟券的中の近道になるはずなのだ。
果たして、シリーズを通じてそうした「共闘」の意識が選手に芽生えたのか。現時点では「わからない」だな。すべてが初物づくしで、選手の心中に「団体戦」の意識が浸透するには時間が足りなかったはずだ。今日の優出インタビューでも上條は「初めてなのでよく分かりません。いつもと同じようにやらせてもらってます」と素直に吐露している。
ただ、この企画シリーズが来年の江戸川~びわこ~津と定期的な開催によって浸透すれば、選手の心理にも大なり小なりの影響を与えることになるだろう。
最後に、この企画をよりドラスティックにするアイデアを黒須田とともに考えたので、忘れないうちに提案しておきたい。
★6日間開催に固定して3日目までは予選、4日目に準優(紅白ともに上位12人の2個レース)、5日目に紅白チーム別のW優勝戦(今回の準優に相当)、最終日に紅白混合の頂上決定戦。
つまりはトリプル優勝戦(賞金は75万円×3、両方獲った選手は150万円+団体賞)にすれば、全国のファンもさらに注目するし、参加レーサーの目の色も変わってくるのではないか。バトルトーナメントがそうであったように、シリーズに入る前から「たかが一般戦、されど!!」というユニークなオプションを付けてもらいたい。(text/畠山、photos/チャーリー池上)