BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

丸亀レディースvsルーキーズTOPICS 3日目

やったぜ水神祭!

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 まずは、何はともあれデビュー初1着=水神祭おめでとう、『大村マトリックス』の弟・眞鳥章太クン!! 7Rの4カドから今日もコンマ12という質の良いスタートを決め、③遠藤エミのまくりに呼吸を合わせてのマーク差し。バック3番手から最内をグイグイ伸びて2マークを先取りし、そのままブッチギリで人生初の先頭ゴールへと突き進んだ。まくり想定だった私は4-5-全しか持ってなかったけど、引きこもりの自室で思わず激しく拍手しておりました。全国ボートレースファンの耳目が集まるこの「大運動会」での悲願達成、持ってる男の証と捉えておこう(昨日、「全国発売」と書いたが、リモート投票オンリーの現在はすべてのレースが「全国発売」なんですなw)
 これが現場なら『今日の水神祭』として笑顔溢れるドボンザブンショットを添えられるのだが、今日も同じオフィシャル写真で申し訳ない限り。近い将来のヤングダービーで、お詫びのスナップショットを大量にアップさせていただこう。デビュー1、2年のルーキーは「初めて3着を獲ったらその後は2・3着を量産→初めて1着を獲ったら間髪入れずに2勝目マーク」というパターンが多い。前者をしっかり踏襲してきた章太だけに、今節でふたつ目の金星を挙げても不思議はないと思うぞ。今後も要警戒!

団体戦パラドックス

 さてさて、団体戦ポイントの推移は紅組5勝vs白組3勝。今日も紅組が2ポイント突き放してしまった。今日は内枠シードが4レースずつ(6Rで紅組がブレイク)だったから、やはり紅組の完勝と言っていいだろう。3日間の総合ポイントは
紅組168白組
 はい、紅組がWスコアで断然リード! 昨日も書いたが、過去の大会からは想像もできないような紅組の台頭ぶりだ。現場にいないから選手たちの熱は伝わってこないが、これまで劣勢続きだった紅組の面々はさぞや……と、書いたところで、この大会でちょいちょい直面する疑問にまた突き当たってしまう。
 選手たちは、本当にこの団体ポイントで一喜一憂してるのだろうか。
 言葉を換えれば、48人の選手たちはそれぞれ「個人戦」と「団体戦」の意識をどれくらいの比率で重要視してるのだろうか、という疑問。選手たちがどこまで本気で団体戦を意識しているかは、まさに十人十色、千差万別だろう。

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 私の勝手な体感としては、「頭の中で10%くらいは団体戦を意識するけど、90%は自分の勝ち負けが大事」という感じの選手が大半だと思っている。だが、実は5回目くらいにもなると「個人戦と同じくらい団体戦も大事」などという選手が想像以上に増えている可能性もある(予選落ちした選手が団体戦側にシフトチェンジ、等も含めて)。でもって、ファンはそれぞれの選手の比重が分からない。分からないまま舟券を買うということは、かなりリスキーな大会ではないか、と思ったりもする。「個人戦」と「団体戦」では、有効な戦法が変わるから。

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 より簡単に書こう。たとえば「この大会は団体戦だから、チーム同士の大競りはない」と考えて舟券を買う人がいたとする。競輪からボートレースに転身したビギナーファンとか。そんな人が昨日の9Rの②遠藤エミの強烈なジカまくりvs①土屋南の猛ブロックを目の当たりにしたら「どこが団体戦じゃい!」と罵詈雑言を浴びせるだろう。
 逆に「団体戦なんちゅうのは名ばかり、結局ボートレースは個人戦でしかない」と決めてかかった人が、3コースのカド受けが外(敵チーム)の攻めをブロックするだけのレースを見たら「自分が勝つために走らんかい!」となる。
 ファンがどう考えるかはファンの好き勝手でいいのだが、どの選手が団体戦を意識し、どの選手がまったく頓着していないか、まるで分らないまま舟券を買うのは非常にリスキーな行為だと思う次第だ。

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 で、選手に団体戦の意識を植え付けるモチベーションは何かと言うと、「勝利チームの選手に10万円のご褒美」という実に微妙な“飴”のみ。政府が給付してくれる10万円を喜ばない国民はいないが、人それぞれの経済状況によって有難みはまったく違う。同様に、本気で欲しがるルーキーもいれば、歯牙にもかけない銘柄選手もいるだろう。
 モチベーションの格差。
 待機行動作戦やフライングスタート方式という特殊な形態を持つボートレースは、他の公営競技の乗り手よりも個々のモチベーションが激しくレースに反映される競技だと思っている。10万円という成功報酬がどれだけ「団体戦」の意識を強め、どれだけチームを結束させ、どれだけチーム戦術として水面に反映されるのか。個々の選手の内面を覗けない限り、その見えない格差は舟券推理を混乱させる不確定要素でしかない。ただでさえ「この選手は勝負駆けだから」とか「フライング2本持ちだから」などと選手のモチベーションを推し量るだけでも大変なのに……(笑)。

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 あれこれ余計な妄想を楽しむ癖がある私は、この大会をけっこう気に入っている。今日も「4カドの岡本はちょいと覗いたのに直進して外を止めて、団体戦なんかまるで考えてないなぁ」とか「逆にこっちの4カドの薮内は一気に絞めまくって外を活かして、ちゃんと団体戦を意識してるんかなぁ」などと勝手な妄想を膨らませていた。それはそれで楽しいのだが、同時に「個々の選手が個人戦か団体戦か、どっち付かずのレースにまとまったカネは絶対に張れないな」などとも思う。まとまったカネなんかまったくないけれど(笑)。真に勝負に辛いギャンブラーは、おそらくこの大会(特に団体戦)に1円も張り込まないのではないだろうか。

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 結論。「個人戦」と「団体戦」の理想的な両立はありえない。両方を組み入れているこの大会は、舟券推理のパラドックスに満ち溢れている。すべての選手と舟券を買うファンが、ともに「団体戦」をしっかり意識して参加させるためには、この大会だけは「個人戦」を撤廃するしかない、と思うのだがどうだろう。
【一例】レースごとの着賞金もなく団体ポイントのみとし、準優も優勝戦もポイント争奪戦。総合ポイント上位の勝利チームの選手全員に賞金100万円を配布。
 そうすれば、ブロック戦の3人が待機行動で入れ替わる、カド受け選手は外のブロックに徹する、それ以上に守りの3カドに引く、外枠チームは敵を混乱させるため前付けに動く、4カド選手は覗いたら徹底的に絞めまくる、などなど真の意味での「団体戦」が成立し、舟券を買うファンもそれら様々なチーム戦略を推理しながら場合によっては大金を張ることもできるだろう。男子競輪のように。現行の「団体戦」は、誰が本気で誰がそうじゃないか、舟券を買う側を疑心暗鬼にさせる中途半端なお祭りでしかない、と言わざるをえない。
 在宅引きこもりリモートワークのなせる業か、なんだか面倒な思考迷路に入り込んでしまったが、今日のところはこんなんで許してくださいませ。

明日のブライトホース
4968宮崎光基(徳島・120期)1R3号艇・5R1号艇

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 うーーん、スランプと呼ぶほど過去に活躍していたわけではないのだが、今年に入って未勝利どころか舟券にも絡めないまま丸亀に足を踏み入れた。シリーズ成績もほとんど見せ場すらない6665着。これだけ聞いたら「明日も用なしじゃん」で片づけられてしまうが、去年は4勝してるし、3連対率も11・1%でちょいちょい穴も演出していたのだ。何かのキッカケひとつで大きく変わる可能性を秘めている選手だと思うのだが……。
 デビュー前後、安井瑞紀とともに「120期のエリートレーサー」と言われた宮崎クン。安井が立命館大学で、こちらは同志社大の法律学科卒。凸版印刷からレーサーに転身したこの個性派は、やまと学校の卒業式の日に私にこんな頼もしい言葉を投げかけてくれた。
「すべてを投げうってココに来たので、根性と気合だけは誰にも負けないつもりです!」
 あれから3年、残念な成績をここで記すのはつらいのだが、この初心をしっかり肝に銘じて明日の好枠2走に臨んでもらいたい。誰にも負けない根性と気合で逃げきれば、おそらく配当もそれなりに跳ね上がるだろう。昨日の眞鳥章太ほど自信満々には推せないけれど、とにかくスタートをビシッと決めて一目散に1マークへ向かってほしい。2020年の水神祭を目指して。(text/畠山)