BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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平和島クイクラTOPICS 3日目

エースの明暗

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11R

①長嶋万記(静岡) 12
②山川美由紀(香川)12
③中谷朋子(兵庫) 07
④遠藤エミ(滋賀) 05
⑤竹井奈美(福岡) 08
⑥松本晶恵(群馬) 12

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 強い向かい風もなんのその、長嶋がインからソツのない好旋回で逃げきった。ここ半年のインコースは34戦33連対! 今日も安定感抜群のインモンキーで、その秀逸すぎる数字をひとつずつ加算させた。

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 2着には2コースから差した山川。こちらもバック中間で後続を寄せつけず、行った行ったの穏やかな決着となった。もっとも激しかったのは3着争いだ。4コースから差した遠藤エミがやや有利な態勢に見えたが、2周1マークで前の山川に接触しそうなターンになってしまい、竹井の逆転差しを許した。パワー負けではないと思うのだが、遠藤のリズムの悪さがやや気になるところだ。

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 そして、もっともっと気になるのが中谷10号機! 1マークのまくり差しが不発で大きく外に流れたのは仕方がないとして、その後の追い上げがまったく利かなかったのはどうしたことか? 1マークの接触で何かしらの異変があったか……そう思わせるほど、惨憺たる大差のシンガリ負けだった。10号機=しぶとい追い上げが持ち味とも思っていただけに、今日のところは残念でならない。うーーん、果たして明日からの巻き返しが利くのだろうか??

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 もうひとつのエース・松本56号機は1マークで致命的な不利がありながらターンマークごとに先団を追い詰めていたし、ストレート足にもらしい輝きが感じられた。こちらは明日以降のポイントアップが十分に見込めるパワーだったと思う。

大本命の失速

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12R 並び順

①小野生奈(福岡)09
②守屋美穂(岡山)18
④中村桃佳(香川)17
③日高逸子(福岡)18
⑤寺田千恵(岡山)16
⑥細川裕子(愛知)24

 今日イチの大本命と目された生奈が、よもやの不覚を喫した。大金星を射止めた“刺客”は2コースの守屋。余裕たっぷりの先マイに見えた生奈を、ものの見事に鋭角差しで捉えきった。

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 生奈の最大の敗因は何だったのか、ちょっと分からない。展示タイムは圧倒的な今日イチの6秒57、スタートも外を圧倒するコンマ09、そこからさらに伸びて1マーク手前では1艇身半ほどのアドバンテージがあった。ターンがやや内に寄り過ぎたとしてもさほど大きなミスには見えなかったし、強いバック追い風がしっかり背中を押してくれる水面でもあった。少なくとも、今日の強風とスリット~1マークの展開で生奈が2コースに差されるはずがなかった。それが、差されてしまった。

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 考えられる要素はふたつ、か。ひとつは生奈のターン出口のレース足がかなりお粗末だった。いまひとつは、守屋のターン&出口から押して行く足が凄まじかった。その両方が連結したのかも知れないが、とにもかくにも見事に差しきった守屋は絶賛に値する。レディースチャレンジカップを圧倒的な成績で制した勢いと自信が、丸ごと今日の差しハンドルに乗り移った。そう思うのがもっとも自然な激差しだった。

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 生奈が逆転の差しを狙った2マーク、今度は別の強敵が見えない所からやってきた。同県の大先輩・日高。3艇身ほど後方から内に切り返し、まさに差そうとしていた生奈に体当たりのスマッシュ・ダンプ! もう少しでも生奈に被害を及ぼせば反則になるほどの猛攻ではあったが、そのボーダーをギリギリ超えないレベルの老獪すぎる切り返し。先のGPトライアルならいざ知らず、女子戦で同県の後輩に肉弾戦を挑んだ日高はやはり「凄い」と言うしかない。今日の2戦でもっとも「トライアル」らしいヒリヒリ感を突きつける攻防だった。

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 さてさて、逃げ圧勝と思われたV候補・生奈が差されて2番手→切り返しを浴びて4着という大波乱。その流れを継続するように、明日の生奈は6号艇を強いられた。大混戦のシリーズ戦同様、こちらも下剋上の戦国模様になるのか。明日の12Rは、生奈の前付けも含めて大いに注目したい。それから、中村桃佳62号機のピット離れも要注意!!

 続いて、今日のシリーズのMVPはと聞かれれば、もちろんこの軍団っきゃないでしょ!

大阪、半端ないっ!!

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 10m以上の向かい風が吹き荒れる平和島の難水面を、浪速のド根性娘たちが縦横に駆け抜けた。いきなり1Rで⑤原田佑実が5コースから一撃まくり。2コースの森岡真希も握って応戦していたから、実質2段まくりと言ってもいいだろう。

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 続く2Rは③関野文がこれまた一撃まくり決着。ジカまくりを打った②平田さやかに全速のツケマイを浴びせた勝ちっぷりは、昨日に続く文句なしの2段まくりだ。今節の関野の気風のいい握りっぶりは「優勝」の2文字をチラつかせるほど気持ちがいい。後半8Rはアウトからのまくり差しが他艇と接触、5着に敗れたが13115着はまさに「台風の目」と呼んでいいだろう。

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 朝から後輩たちがまくり連発となれば、浪速のまくり姫・五反田忍も黙ってはいられない。2コースからスタートをバチッと決めて怒涛のジカまくり……ではなく、イン土屋千明がまくり警戒の握りマイで流れたところを冷静に差し抜けた。
 5Rの大阪勢もイケイケモード全開。4カドの原田がスタートで覗いて内を絞め込み、冷静にイン高橋淳美を回してからのまくり差し一撃。早々に大阪コンビのワンツー決着を固めるとともに、原田は昨日後半から3連勝で序盤の借金(564着)をキッチリ返済してしまった。

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 さらに9Rでは②高橋淳美が超抜パワーのイン茶谷桜をズバッと差しきり! 昨日から出足・回り足が強力に見えた高橋ではあったが、それにしても鮮やかな差し抜けだった。淳美の成績も右肩上がりの543221着。予選突破に大きく前進する1日となった。
★今日の大阪勢の成績=7戦5勝、2着1回!!
 なぜ強風の中でこれだけ大阪勢が活躍したのか、もちろん私にわかるはずもない。住之江は多摩川と並ぶ「日本屈指の静水面」だからして、正直、今朝の私は「今日の大阪勢はスタートから苦戦するのでは?」などと真逆に考えていたほどだった。まあ、風云々はともかく、今日の大阪4人衆は足色がかなりしっかりしていたので明日以降も軽視は禁物とお伝えしておこう。あ、今さら伝えるまでもないっすか。(PHOTOS/シギー中尾、TEXT/畠山)