BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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トライアル第1戦ダイジェスト

夜叉たちの興亡・PART1

11R
①平高奈菜(香川) 12
②守屋美穂(岡山)  24
③小野生奈(福岡)  14
④平山智加(香川)  15
⑤寺田千恵(岡山)  13
⑥海野ゆかり(広島)13

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 私が2コース差しを期待していた2コース守屋だけがドカッと凹み、他は5艇はきれいな横一線! 私の悲鳴が皆さんの耳にも届いたはずだ(笑)。
 しかも、地元の夜叉と化した3コース生奈の絞め込みの早いこと! 1ミリの迷いもなく守屋の舳先をトンカチで叩くように攻め潰し、あっという間に“2コース”のポジションを獲りきっていた。SGで培ったスキルと言うべきか、おそらく身体が勝手に反応したのだろう。

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 そこから生奈は「2コースのような3コース差し」を繰り出したが、イン平高には届かない。おそらく平高は伸びなり生奈の絞めまくりを警戒していたはずだが、握り過ぎず落とし過ぎず、完璧なインモンキーで独走態勢に持ち込んだ。ツボにハマったときの唯我独尊ターンは、男子のトップ級にもヒケをとらない。そんな平高の持ち味がフル稼働した1マークだった。

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 2マークでさらにブッチギリの高速旋回を見せた平高。続いて、迷いのない全速握りマイで後続を寄せつけなかった生奈(これも記念戦線で揉まれたからこその旋回だ)。早々にワンツー態勢が固まり、逆に後ろの4艇は「トライアル名物・血で血を洗うデッドヒート」に突入した。

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 ターンマークごとに順位が入れ替わる熾烈な攻防の中で、ちょっとちょっと機力に余裕があるように見えたのは守屋だった。特に、ターン出口の押し足~スリット近辺までの行き足が強めで、あれよあれよと攻撃の主導権を握ってしまう見え方。もちろん、守屋もここ何年かSGで揉まれ続けていて、そのスキルを生かしきったという見方もできるのだが。とにかく、1マークで死に体=惨敗必至の展開から3着まで返り咲いた利益は小さくないだろう。機力的にも私の見立てが正しいとするなら、有力なV候補だとお伝えしておきたい。

夜叉たちの興亡・PART2

12R
①遠藤エミ(滋賀) 05
②田口節子(岡山)  05
③渡邉優美(福岡)  09
④細川裕子(愛知)  05
⑤西村美智子(香川)06
⑥大山千広(福岡)  05

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 おお、↑なんというスリットライン!! 「トライアルがはじまった」と実感させる美しくも危険な横一線スタートだったわけだが、サプライズはこの数秒後。2コースの田口だけがグングン出て行って、1マークの手前で遠藤を攻め潰してしまった。おそらく遠藤がアジャスト、田口がほぼ全速みたいな差はあったはずだが、それにしてもの行き足の差! ジカまくりで難敵を引き波にハメた田口は、そこからやんわり落として1マークを先取り。外敵の攻撃を封じて1着を確定させた。

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 もちろん、トライアル組でもトップ級(おそらくトップ)のこの行き足は、明日以降も絶大なる破壊兵器になりそうだ。正直、レース中に「明日も2~4号艇くらいでアタマ舟券を買いたいなぁ」などとヨコシマなことを考えていたのだが、この勢いに乗って1号艇GET!! スリット同体のインから圧勝しそうなパワーだけに、穴党としてはちょっと残念な1号艇になりそうだ。明日11Rの田口が不覚を喫するとしたら、6号艇の生奈がゴリゴリ前付けに動いたとき?? などと思うのは、私だけだろうか。

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 さてさて、数あるまくりの中でも、「2コースからの絞めまくりがインに与えるダメージは最大級」が定説。実際に今日のエミもなす術なく田口に切り刻まれ、バックでは2番手の優美からも離された4、5番手あたりという見え方だった。

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 だがしかし、レースはスタート~1マークだけでは成立しない。2マークで優美、西村、細川らがターンマークに殺到する中、遠藤だけは慌てず騒がず艇を外に開いてやや減速し、そこからエゲツないスピード差しで最内を突き抜けていた。本当にあっという間の2番手、大逆転劇!!

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 その絶品ターンもそうだったが、その後の遠藤の回り足、出口の押し足も実にしっかりしており、「こと出足系統に関しては、トライアル組でも水準以上に仕上がっている」という印象を受けた。田口にやられた行き足~伸びはまだ中堅レベルかも知れないが、明日の1号艇ではそのあたりの課題に的を絞って正解を探すことになるだろう。遠藤エミがイン戦で2回連続負ける姿は、ちょっと想像できないのだがどうだろうか。

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 そして、私がヒモ軸に推した千広の足は、明らかに弱かった。1マークの攻撃が不発だったのはともかく、道中でずんずん先行艇に置き去りにされて大差のシンガリに。そこから細川×西村の大競りもあって5着になったのはラッキーだったが、どこをどう取っても威張れる部分のない見え方だった。明日は自力攻めが見込める3号艇を得たが、今日のままのパワーでは「2戦目にしてほぼ終戦」という最悪の事態もありえるだろう。緊急の大手術が必要、とお伝えしておきたい。(photos/シギー中尾、text/畠山)