THE勝負駆け①予選トップ争い
自力まくりでケリッ!
V戦線の鍵を握る予選トップ争いは、11Rまで予断を許さぬ展開となった。とは言え、常に主導権を握り続けたのは昨日までトップの小野生奈だ。今日の生奈は「2走を①②着以内で走り抜ければ、他者に関係なくトップ確定」という自力の勝負駆け。ただし5&3号艇というハードな枠番でもあった。
まずは5号艇の4R、4カドの中谷朋子が伸びなりに絞めると、それを5コースからマークしながら冷静沈着な根っこ差し。なんでもかんでも握りまくる昔の生奈とは一味も二味も違う。惜しくも中谷を捕えることはできなかったが、必要条件の2着をきっちり確保した生奈だった。この2着で、予選トップ争いは一気に引き締まる。天下分け目の一戦は11R。暫定2位・五反田忍との直接対決で、トップ確定条件はこうなった。
★3号艇の小野vs6号艇の五反田=②着以内で先着した方が予選トップ確定。
つまり、五反田にも自力トップの権利が発生したわけだ。で、もしも両者ともにその着順を守り切れなかった場合は、細川裕子(すでにレースを終えて8・00確定)、田口節子、山川美由紀、佐々木裕美、日高逸子らにもチャンスが生じる(あくまで4R終了時点)。
レースは進み、8Rの田口が2着、10Rの山川が5着でトップの可能性が消滅。トップ争いは11Rの小野vs五反田、12Rの日高vs佐々木、そして結果待ちの細川、この5人に絞られた。もちろんスッキリ自力でケリを付けたいのは11Rの小野と五反田である。
その11R、3コースからまさに自力でケリを付けに行ったのが生奈だ。内2艇がスタートでやや立ち遅れる中、まったく付き合うことなくコンマ08ほぼ全速! スリットから一気に舳先を傾けて2艇をまくりきった。うん、やはりここ一番では、豪快にまくってこその小野生奈だな。あまりの勢いの良さに?4カド樋口由加里にズッポリ差された生奈ではあったが、ことトップ争いに限れば「2着以内かつ五反田に先着されなければいい」のだ。そんな計算をしていたかどうかはともかく、生奈は伝家の宝刀・3コースまくり戦法で予選トップを鷲掴みにした(私も超久々に極撰的中。生奈ちゃん、ありがとーー! ミリオンにはほど遠いですけど……)。五反田もアウトから凄まじいパワーで3着まで追い上げたが、生奈との差を詰めることはできなかった。
小野生奈、予選トップ当選!
はてさて、これがそのまま待望の初GI制覇につながるかどうか、はもちろん断言できない。じわじわと近づく台風、「西暦の奇数年は1号艇が負け続けている」というオカルト的ジンクス、地元GIシリーズリーダーのプレッシャー……この2日間で生奈がクリアすべきハードルは高く多い。ただ、今の彼女の非凡なスピードと度胸と冷静な判断力、さらにはSGで揉まれに揉まれて培った逞しい精神力は、それらのハードルをクリアするのに十分すぎる、とも思っている。「やまと学校の劣等生だった女の子が、女子の頂点に立つ」というシンデレラストーリーが起こるや否や、明日からの姿も見つめるとしよう。
THE勝負駆け②予選ボーダー争い
ミポリン、奮闘!
まず、今日のMVPをひとり挙げるなら、ミポリンこと守屋美穂だろう。今日の守屋は5・6号艇で①②着(ボーダー6・17想定)という気の遠くなるような高いハードルが待ち受けていた。が、もちろん本人はまったく諦めてはいない。まずは5号艇の1R、運よく4カドに持ち込んだ守屋はコンマ01!!(外の宇野弥生はフライング)で内3艇にプレッシャーをかけつつ、シャープな差しハンドルで1着をもぎ取った。重量挙げで鍛えたド根性で、第一関門突破。
さらなる難関、10Rの6号艇はアウトからスタートでやや後手を踏んだが、4カド遠藤エミのまくりに連動して3着ゲット。首筋は寒いものの予選6・00で予選突破の可能性を残した。5・6号艇での1・3着は天晴れと言うしかない。
守屋18位・結果待ちという状況で迎えた最終12Rは、例によって多くの選手に残酷な勝負駆け条件が課せられた。まとめておこう。
12R勝負駆け条件
①平高奈菜…②着以内
②中谷朋子…④着以内
③中村桃佳…②着以内
④海野ゆかり…①着
⑤日高逸子…当確も準優1号艇勝負駆け
⑥佐々木裕美…当確も準優1号艇勝負駆け
それぞれがそれぞれのタイトな条件を抱えて、ピットアウトしたわけだ。客観的に見ると、結果待ちの守屋は風前の灯。さらに、たとえば1-3、4-1、4-3などで決まると節間6・33の17位・寺田千恵までが落選する可能性があるという大混戦ムード。
いざ本番、そんなタイトすぎる勝負駆け条件が、そのまんま水面に投影されてしまう。1周2マーク、是が非でも2着が欲しい平高が超無理筋の鋭角ターンを繰り出し、同県・中村に乗り上げて転覆(妨害失格)。その直後にいた海野も避けきれずに転覆し、メイチ勝負駆けのふたりが脱落した。この事故の影響があったかどうか、2着条件の中村も追い上げが届かず3着止まり。結局、ボーダー圏外から準優を狙った3人がことごとく失敗して、寺田はもちろん守屋も首の皮一枚で予選を突破したのだった。うーーん、いつものことながら、勝負駆けの最終レースは残酷すぎる。で、18位でギリギリ滑り込んだ守屋は、流れ的にもパワー的にも選手的にも準優のダークホースと言えるだろう。
さてさて、1Rでその守屋の差しを浴びて逃げきれなかったのが1年1組のあっきーだ。さらに8Rも2号艇の好枠を生かしきれずに3着まで。初日から大崩れはなかったものの、節間7・00=10位という成績に甘んじた。が、今節はセンター勢が大暴れしていることを考えれば、まったく悲観する必要のない順位でもある。明日の10Rは4カドから自在に捌いて優勝戦のチケットをゲットしてくれるだろう。さすがに、この2日間のレースっぷりを見る限り、もはや「49号機が節イチだ!」とは冗談でも言い切れないのだが……。(TEXT/畠山、PHOTOS/シギー中尾)