BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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レディースvsルーキーズ優勝戦 私的回顧

初優勝とWスコア

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12R優勝戦

①澤崎雄哉(東京)13
②香川素子(滋賀)16
③浜先真範(広島)27
④魚谷香織(福岡)19
⑤今泉友吾(東京)28
⑥栢場優子(東京)32

 江戸川が誇る不動のエース64号機を駆る地元の澤崎が、トップスタートから鮮やかに逃げきった。デビューから3年半、初優出にして初優勝。プレッシャーを跳ねのけてのコンマ13~隙のないインモンキーは天晴れの一語。伸び盛りのB級ルーキーにとっては何よりも大きな自信になることだろう。おめでとう!

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 このレースで唯一、澤崎を脅かしたシーンは1周2マーク。香川のスピーディな差しハンドルが、ものの見事に突き刺さったかに見えた。香川27号機も準エースとも呼ぶべきメーカー機。並みのパワー相手ならば瞬時に入れ替わるほどの激差しだったが、出口からの64号機のレース足の凄まじかったこと。貫いたはずの香川の舳先をすぐに振り払い、スタート地点では1艇身近いアドバンテージを保っていた。うーん、なんという超抜!!

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「すべてモーターのおかげです。ほとんどのレースでミスをしたのに、ぜんぶエンジンが連れてってくれました。僕の名前じゃなく、64号機を覚えてってください」
 表彰式、澤崎はこう言ってファンを笑わせたが、この優勝で全国の多くのファンが澤崎雄哉の名前と顔を脳みそにインプットさせたことだろう。今後の澤崎の成長、活躍を見守るとしよう。

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 ここからは団体戦も含めたレース回顧へ。
 3着争いは魚谷vs今泉の接戦になったが、魚谷が絶妙なターンテクで今泉の猛追をシャットアウト。これで団体戦のポイント争いも混戦模様になった。上位4人のポイントは白組、紅組ともに14点。つまりは後続の浜先vs栢場で5着を取りきった方が勝利=団体優勝というスリリングな展開ではあったのだが、栢場がはるか後方に千切れていたため白組の優位が約束された。紅組の団長として優出のノルマをきっちり果たした栢場だったが、なんとも悔しい結末になってしまった。団長、残念でした、そしてお疲れさまでした!

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最終ポイント

紅組2346白組

 大量点が加算される最後の2レースを白組が連勝したため、総合ポイントはぴったりダブルスコアの大差となった。前回の三国では優勝戦(12ポイント)のマジックで1ポイントの僅差だったが、今回の23-46というスコアが今シリーズ全体の実力差をありのまま象徴している気がしてならない。

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 スピードの差。
 三国同様、それはシリーズを通じて歴然としていた。A2のルーキーのターンスピードに張り合えるレディースは、平高奈菜や魚谷香織など数えるほどしかいなかった。その較差=予選のポイント大差を補修するため、4日目からは「紅組3艇が内枠、白組3艇が外枠」という番組が数多く採用された。それが功を奏して最後まで白熱したポイント争いになったわけだが、「ガチバトル」と謳っている以上、今後はこうしたいささか不公平な番組で釣り合いを保つのではなく、できる限りチーム全体の質をアジャストして均衡化してもらいたい。

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 たとえば白組の平均勝率が5点とするなら、紅組のそれは6点前後まで跳ね上げるべきだろう。この1点ほどの差は、「オール女子戦ばかりで戦っているレーサーたちの勝率の較差」をそのまま反映している。そんな男女の勝率のジレンマを、この企画シリーズは浮き彫りにしているわけだ。穿った見方かも知れないが、この全国発売の紅白バトルは男女の真の実力差を是正させる起爆剤になる可能性がある、と私は思う。ルーキーに負けないスピードのある女子レーサーを育成するためにも、今回の23-46(ハンデ戦がありながら、だ)というスコアを業界全体で肝に銘じるべきだろう。この一点に限って言うなら、今日の優勝戦は白組が勝って良かったと思う。(photos/チャーリー池上、text/畠山)