BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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澤崎雄哉、ルーキーズ、おめでとう!

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 特別選抜B戦、佐藤博亮がフライングを切ってしまった。フライング後の選手は、いつでも誰でも沈痛な表情になるのだが、佐藤の痛恨にまみれ方はあまり見ないほどのものだった。一足先にピットに戻り、誰に向かってというわけでもなく、すみませんと一言。遅れて戻ってきた谷川里江のもとに駆け寄って、「里江さん、すみませんでした」と深く頭を下げている。
 そのあまりにも痛々しい表情は、団体戦というフィルターをかけると、その重みを感じずにはいられなくなる。9Rまでの団体ポイントは紅組19、白組26。佐藤のフライングでB戦の4ポイントは紅組に渡り、23対26とにわかに接戦模様となった。そして、この結果により、優勝戦が終わるまで団体優勝のゆくえはわからなくなった。優勝戦を獲ったほうが団体優勝、という状況になったのである。もし19対30にしていれば、次の特別選抜A戦で中田達也が逃げ切り、松井洪弥が3着に入った時点でルーキーズの勝利は決まっていた。実は、B戦の4ポイントが大きなカギを握る状況だったのである。

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 A戦を白組が獲って、23対34で迎えた優勝戦。まずは、澤崎雄哉、おめでとう! デビュー初優出で初優勝。1号艇でこの日を迎え、当然のことながら、おおいに緊張していたという澤崎。しかしその重圧に震えることなく、澤崎は逃げ切ってみせた。香川素子の差しが迫り、ヒヤヒヤもしたはずだが、その後もしっかりと先頭をキープして、ひとつの目標だったはずのVゴールを決めたのは、とにもかくにもめでたいことだ。

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 ウィニングランを終えて戻ってきた澤崎に、ピットにいた選手全員が拍手! やや神妙にピットに戻った澤崎が、仲間たちの祝福する姿を見るや、顔をほころばせた。そして深々と一礼。レーサーとなってから最高の瞬間だったことだろう。
 レース前もレース中も、澤崎を応援する声は多かった。同期の浜先真範や同支部の魚谷香織が出走していた中田達也も、彼らを応援する気持ちはもちろん持ちながら、「でも澤崎に頑張ってほしいなあ」と口にしていた。1マークを先マイしたときにも、男女問わずに歓声があがっている。女子のほうは、香川の差しが届くかどうか、という団体戦を意識したものもあっただろうが、しかし澤崎が先頭を走ると祝福ムードを醸し出していた。澤崎の優勝、みんなが嬉しい! 澤崎とはそういう男なのだろう。

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 ひとまず団体戦の枠を超えて、敗者たちがそれぞれ悔しそうにしていたのも印象的だった。香川素子は出迎えた女子選手たちに「惜っしい~~~!」と笑いかけていたが、エンジン吊りの間も何度も「惜しかった。本当に惜しかった」を繰り返しており、そう、本当に惜しかったからこそ悔しさも胸の奥にはあっただろう。魚谷香織にしても、逆転3着には満足などしている様子はなかった。浜先真範にいたっては、表情を硬くして首をひねったりしていた。スリットでやや後手を踏み、先に攻めはしたもののまるで及ばなかったレースぶりは、ひたすら不本意であろう。今泉友吾、栢場優子もレース後に笑顔はなかった。

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 そして団体戦。いったんは浜先が3番手を走り、今泉が猛追を見せるなか、魚谷が浮上しそうになったとき、中田が悲鳴をあげている。1着3着なら勝ち、ということを把握しているのだ。だから、3番手をレディースに獲られたくないわけだ。3番手に上がろうとしているのが同支部の魚谷先輩でも、やはりルーキーズの一員なのだ。
 それを横目で見ながら、なんだか嬉しくなりました。新企画として誕生した“団体戦”。その盛り上がりは、関係者もいろいろな手立てをしてきたわけだが、つまるところは選手がこのコンセプトを意識してくれるかどうかにかかってくる。もちろんまずは個人優勝が目標でも、チームの勝利も一丸となって声援を送ることで、団体戦がファンにも届いていくことになるはずなのだ。それをたまたま隣で観戦していた中田が体現してくれたのが、嬉しかったという次第(団体優勝の表彰式に10人以上のルーキーズが参加していたのも嬉しかった)。でも中田選手、3着を魚谷に獲られても大丈夫。3番手争いをしている3人のうち2人がルーキーズ、ということは1着4着5着で16ポイントなのです。

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 というわけで、ゴールを見届けてそれを中田に伝える。そしたら中田は、エンジン吊りの準備のために駆けだしたのでありました。そうですね、10万円で浮かれて仕事を忘れるわけにはいきません。ともあれ、紅組23点、白組46点でルーキーズが団体優勝! 三国に続いて、ルーキーズが連勝を果たしたのだった。

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 先述した通り、澤崎は嬉しいデビュー初優勝。ということは、そうです、水神祭!
 すでに薄暗くなった江戸川ピットで、同期勢+門間雄大が参加して、澤崎は冷たい冷たい水面に放り込まれた。そして仲間たちも一斉にドッボーン。
「やべえ!」
「寒い!」
「死ぬ!」
 と口々に叫んで大急ぎで陸に上がりながら、もういちどみんなで飛び込むという(笑)。澤崎は「ああっ、流される~」とフロートの端にしがみついていた。水神祭も江戸川ならでは、ですか。

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 澤崎雄哉、そしてルーキーズのみなさん、おめでとう。この勢いでルーキー世代にももっと注目を集める走りを見せてください! あと、澤崎は昨日なかなか眠れなかったようなので、今日は美酒を味わってからゆっくり寝てくださいね!(PHOTO/池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)