BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――気温上昇

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 湿度が高いままに気温が上昇している3日目。さらに回転が上がりにくいといわれる気象条件になって、やはりプロペラ調整室や係留所の人口密度は高まっている。その分、装着場に人っ気は少ない。1R発売中には、選手の姿は皆無となっていたりした。多くの選手が調整作業で散っているのだ。締切10分前くらいになって、ようやく山川美由紀があらわれる。ただし、手早くギアケースを外して整備室へ。ほんの数分だけ装着場に留まっただけだった。

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 整備室をのぞくと、金子拓矢がまたもやボートごと運び込んでの本体整備。初日も2日目も部品交換をしてレースに臨んでいるが、劇的に良化する気配がない。1号艇が回ってきた今日は必勝の思いでいるだろうから、なんとかパワーアップさせたいところだ。必死な形相での整備は、2R発売中まで続いた。願い通りの良化はあっただろうか。

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 係留所でエンジンを回していた江夏満が、いったん止めて整備室へ。手には白い塗装があるプロペラを持っていたので、これを整備室に戻しに行ったのだろう。白いプロペラは共用の調整用プロペラ。レースで使うものより小ぶりで、回転調整をする際に使用される。気候が変わったことで、これを用いての点検の必要性が出てきたということだろう。実際、江夏のほかにも数人の選手がこれを手にしているのを見かけた。白ペラを使おうが使うまいが、回転を合わせるのが大事な朝、である。

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 1R、寺田千恵が逃げ切り。明日の勝負駆けにつながる大きな1勝だ。寺田を出迎えたのはやはり山川。寺田は左手首のあたりを何度かバンバン叩いたりしながら、何かを訴えかけるかのように、山川に言葉を投げ続けていた。微笑みながら、ふんふんとうなずく山川。なんか愚痴をこぼしているようにも見えるのだが、頼れる姉貴分相手だからこそ語れる本音もあるのだろう。

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 4走連続6着となってしまった笠原亮は、遠目で見てもはっきりわかるほど、ガックリと肩を落としていた。その両脇で、菊地孝平と坪井康晴が苦笑しながらうなずいている。こちらは正真正銘、先輩に愚痴をこぼす瞬間だったか。この成績でテンションを上げろというほうが無理な相談かもしれないが、残り3日、なんとか一矢報いてほしい。良化すればいつでも一発がある選手だから、大穴を期待してるぞ!

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 2Rは峰竜太が前付けに動き、内よりは100mあたりの起こしとなったが、齊藤仁が見事に逃げ切り。齊藤も大敗なら終戦もあっただけに、明日につなげた逃走劇と言えた。レース後、コース動いた峰は他の選手に頭を下げて回っていたのだが、齊藤に対しては本当に申し訳なさそうな表情を見せている。前付けで最もアドバンテージを削られるのはやはり1号艇の選手。もちろん勝負なのだから、相手にビハインドを与えてナンボ、なのだが、気持ちとして、あるいは礼儀として、1号艇に対しての謝意は最も大きくなるものだろう。そんな峰に対して、齊藤は涼しい顔。深いインで逃げ切ってみせたのだから完勝、レースが終われば気に留めることではないのである。
 それにしても峰竜太は強いなー。足は多少上向いていると見えるが、しかしそこまでたいした足とも見えないなかで、6号艇から2着をもぎ取る。おかげで担当Gの「この選手を買う!」で初当たりが出ました。Gよ、峰に会ったらちゃんとお礼言いなさいよ!(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)