7R発売中、グランプリ優出組のボートはすべて装着場に。対してシリーズ優出組のボートはすべて係留所に。この差はやはり、12Rと11Rという、単純に時間的な問題だろう。ともかく、まずシリーズ組の調整、あるいは準備はかなり本格化している印象だった。
1号艇の池田浩二も水面でエンジンを回して回転調整。終えた後は整備室へと向かい、また短時間で整備室を出ているので、調整用のプロペラを使用し、またそれを返却しに行ったものと思われる。
深川真二も係留所での調整を行なっており、ネックウォーマーをすっぽり鼻のあたりまでかぶって寒風をしのいでいる。ちょうどこの頃、北風(ホーム向かい風)が強くなっており、係留所での作業はなかなかツラそうだった。しかし選手たちは泣き言も言わずに調整に励むというわけである。
他の選手は、陸での作業というわけだが、姿が見えたり見えなかったり。前本泰和がペラを叩いていたのを見かけ、その数分後にはペラ室からいなくなって、といった案配。確認できたわけではないが、ペラ調整の合間に帰郷のための荷造りなどしているものと思われる(実際、優出組以外があちこちで荷造りしている様子は散見される)。
吉川元浩と会話を交わしながら、係留所から引きあげてきた秦英悟。足合わせをしていた様子で、優出果たせずとはいえグランプリ組との絡みは何かのヒントになるだろうか。今のところ、SG初優出のプレッシャーのようなものは感じられない。
7R発売中のうちに、松井繁、平本真之、そして峰竜太はボートを着水させている。いずれも回転調整を入念に行ない、ピットへ。8R発売中の試運転に備えてか、いったんは控室へと戻っている。峰は7Rの発送間際に喫煙所に出てきて、西山貴浩らと雑談。7Rのエンジン吊りでは深川、上野真之介と話し込んでいて、真剣な佐賀会議かと思いきや、「12月いっぱいで期限を迎える何か」を談笑しているのだった。どうもペラ調整を本格的に始める気配はまだ見えず、ほんの微調整程度で問題ないということだろうか。
寺田祥は白井英治と並んで、プロペラ調整室で叩いていた。SGのピットではいつだって、まるで二人一組のセットみたいに行動をともにすることが多く、今日も同様というわけだ。白井ももちろん順位決定戦に全力で臨むわけだが、しかし今日は寺田へのエールも胸に携えていることだろう。寺田にとって最高の援軍だ。
そして西山貴浩は、グランプリファイナリストにふさわしい顔つきになってきている。緊張感も垣間見え、しかしそれは今日という特別な日においては自然なふるまいだと思う。などと思っていたら、「黒須田さん、今夜“勢人”に集合」とか言ってくるんだけど。勢人とは西山行きつけの居酒屋で、僕も何度か足を運んでいるのだが、場所はもちろん北九州。行けるかいっ! 今まで体験したことのない一日を味わって、今夜の西山はどんな酒に酔うだろうか。(PHOTO/池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)