BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

準優ダイジェスト

窮地の激差し!

9R
①平本真之(愛知)14
②茅原悠紀(岡山)18
③湯川浩司(大阪)13
④毒島 誠(群馬)15
⑤桐生順平(埼玉)12
⑥稲田浩二(兵庫)14

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 2コースの壁が薄いスリット隊形だったが、平本が冷静的確なインモンキーでしっかり逃げきった。1マークまでグングン伸び返した行き足(湯川とほぼ一緒だった)も見事で、パワー的にも盤石の仕上がり。明日のファイナルは2着でもGP当確だが、スッキリ勝ちきるだけのパワーを秘めている。

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 一方の2着争いは例によって大混戦。ターンの出口では4カドからシャープに最内を差した毒島が抜け出すかに見えたが、そこから押して行く迫力がない。外から連弾でまくり差した湯川と桐生が舳先を並べて追い抜き、内からは三番差しの稲田があっという間に毒島を捕えきったように見えた。初日からほぼ毎日何かしらの部品を換え、今日もセット交換とクランクシャフトを交換した毒島。それでもやはり、準優ではワースト級のままだったか。

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 だがしかし! 内外に挟まれて絶体絶命のサンドイッチ状態だった毒島が、2マークで凄まじいターンを繰り出した。完全に包まれる寸前にレバーを握って内の稲田にツケマイを浴びせ、そのまま握りっぱなしで湯川の舳先を掠める全速の切り返し!!!! 将棋で言うところの「盤上この一手」、あのタイミングであの戦術しか優出への道がなかったであろう、針の穴を通すような神業だった。SG3連覇へ首の皮一枚で希望をつないだブス君が、明日はピット&水面でどんな秘策を繰り出すか。しっかり見届けるとしよう。

危険な正攻法

10R
①濱野谷憲吾(東京)12
②井口佳典(三重) 14
③馬場貴也(滋賀) 15
④大山千広(福岡) 13
⑤徳増秀樹(静岡) 14
⑥中野次郎(東京) 12

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 美しいまでのスリット横一線。つまりは誰もが仕掛けにくい窮屈な隊形の中、濱野谷が鮮やかに逃げきった。さらに内から順番にサンドイッチ状態から解放され、井口が差して馬場が握って、バック直線はあっという間に123ダァーー隊形に。6人の的確なスタート勘と拮抗したパワー差が、3連単700円の大本命に直結した。
 実のところ、憲吾の足はあまり把握できないまま今日に至ったのだが、インモンキーからしっかり舟が返って井口をスッと突き放した出足はなかなかに強力だ。明日もこの出足ターン足が生きる展開になれば、11年半ぶりのSGタイトルとGPチケットを両取りも夢物語ではないだろう。

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 すんなり2着を取りきった井口の足は日替わりで伸びたり伸びなかったり、回り足が強かったり弱かったり、という気がしているのだが、バッチリ合った時の行き足~伸びは脅威。明日は「優勝ならGPトライアル2nd入り、2着以下ならさしたる変化はなし」というゼロサム状態の“勝負駆け”だからして、この勝負師は間違いなくアタマだけを狙う調整とレース戦略を組み立てることだろう。もちろん、パッと浮かぶのは4カド井口の正攻法=ストレートを特化してぶち込み勝負。これがハマったときのパンチ力は、もはや多くを語る必要もないだろう。

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 さてさて、ミーハーな私が舟券とともに応援していた大山千広は、なす術なく6着に敗れ去った。私の目には1マークの手前で一瞬だけ握ろうとしてから差しに構えたようにも見えたのだが、今日のスリット隊形で今日の機力では何をどうやっても内の2艇には届かなかっただろう。
 まあ、焦らずとも今日のようなチャンスは何度も巡ってくる。
 千広に対して、心の底からそう思えるような5日間ではあった。

危うい王手?

11R
①石野貴之(大阪) 14
②今垣光太郎(福井)14
③魚谷智之(兵庫) 17
④瓜生正義(福岡) 18
⑤田村隆信(徳島) 17
⑥篠崎元志(福岡) 18

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 風速ゼロ。鏡のようにナイター照明を映し出す静水面は、すべての準優戦士のスタートをコンマ12~18に収束させた。このレースもスリットほぼ横一線で、わずかに内2艇の舳先だけが覗く。
 ここも石野の逃げ圧勝か。
 即座にそう思ったが、直後に妙な違和感が押し寄せた。2コースの今垣だけがジリジリと出て行く。その不穏な違和感は、今度は既視感に変わった。3日目の12R、今垣が同じ並びから石野をジカまくりで沈めた光景。あのレースは明らかに石野が凹んでいたのだが、今日も今垣だけが伸びていく。

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 また、起こるのか。
 1マークの手前で、まさにそれは起こりそうに見えた。今垣が「まくるぞ」というムードを漂わせて石野に寄りはじめた。本気でまくるつもりだったのか、陽動作戦だったのか。一方の石野は早めに握ってまくりを牽制。今度は今垣が減速して差しハンドルを入れる。予定通りの陽動作戦だったのか、石野の挙動を見ての作戦変更だったのか(笑)。どちらにしても今垣の差しは入りきらず、代わりに5コースから田村がスピード満点のまくり差しで石野に追随した。この瞬間に最後の2議席が決定。それくらい鮮やかな差しハンドルだった。

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 さてさて、この石野のイン逃げをどう見るか。明日も同じような仕上がりだとするなら、スリットからの行き足に不安はないのか。濱野谷も平本も出足型で互角に渡り合えるとして、4カドから伸びを特化するであろう井口の猛攻を凌ぎきれるのか。現時点では何とも言えないが、とにかく盤石とは呼べないイン逃げだった気がしてならない。

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 今日の田村の足は軽快そのもので、6号艇でもなかなかに侮れないパワーだ。もちろん同体の6コースから勝ちきれるほどではなく、アタマ(=トライアル2nd)だけを狙うなら相応の展開の利か前付けなどの手段が必要になる。で、田村の前付けは常套手段だが、今節は「うっかりFを切ったら、またしても来年の鳴門SGをフイにしてしまう」という安全第一の思いが強いと聞いている。進入でどこまで無理をするか。明日のレース内容を左右するキーマンだけに、スタート特訓からこのトリックスターの動向を注視したい。
※追記/10Rの平本の1着=優出によって現在賞金ランク18位・原田幸哉に事実上の赤ランプが点った。あとは茅原悠紀、平本、濱野谷が2つの椅子を奪い合う。レディースの12位争いも含め、詳しくは明日の前半戦にアップします。(photos/シギー中尾、text/畠山)