BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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津マスターズTOPICS 初日

六甲の風、止まず。

「目に見えないパワーが……」
 先月、吉川元浩をクラシック連覇に導いた“天のパワー”が、今日も津の上空から兵庫支部の面々に降り注いだのか。

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 口火を切ったのは、2R1号艇・芝田浩治。このレースの6号艇には前付けの鬼・江口晃生がおり、背筋の寒いポールポジションだった。例によって鬼は容赦なく襲い掛かったが、巧みな大回りブロックで100mの助走距離をキープ。さらにはスタートもコンマ05まで踏み込み、外の攻撃をシャットアウトして鮮やかに逃げきった。

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 2走目の6Rがまた素晴らしい。枠なり3対3で4カドに引いた芝田は、ここでもコンマ04のトップS! スリットから伸びなり一気に絞めまくり、舳先ひとつで抵抗するカド受けの飯島昌弘を頭から叩き潰すような猛攻でそのまま先頭に躍り出た。まさに「目に見えないパワー」が背中を押したような勝ちっぷりではあったが、「目に見えるパワー」も相当なレベル。2Rでは1マークまでに他艇を1艇身以上突き放していたし、この6Rもスリットからの行き足~伸びが際立っていた。気力&機力の充実を感じさせる連勝発進は、今日のMVPと呼ぶに相応しいだろう。

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 連勝ではなかったが、金子龍介も見事なロケットスタートを決めた。5Rは3コースから狭い隙間をこじ開けるようなまくり差し。惜しくもイン岡瀬を捕えきれなかったが、しっかりと2番手を取りきって後続の追撃を振り切った。
 後半10Rのイン戦はスリリングな攻防に。2号艇で3コースに押し出された吉川昭男(2コースを奪った江口のピット離れは今後も要注意)が、たっぷりの助走から強烈なツケマイで金子に襲い掛かる。クラシック準優を彷彿させる若々しい全速戦が決まったかに思えたが、ターンマークを舐めるように旋回した金子がギリギリ艇を合わせて凌ぎきった。

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 続く1周2マークも昭男が握って攻めたてる。ルーキー戦かと見紛うような早くて速い強ツケマイ! おそらく、昭男さんはクラシック準Vを機に20年ほど若返ったに違いない。この鬼気迫る全速マイをギリギリ受け止めた金龍のターンも迫力満点だったな。この緊迫の一騎打ちで競り勝った金子は2・1着で初日をクリア。去年はフライング多発の余波で「最強のB2レーサー」の名をほしいままにしたが、今節は完全復活を全国のお茶の間のファンに知らしめることだろう。

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 それからそれから、長きに渡って妖しい強さをキープし続けている安田政彦も7Rを抜け目なく逃げきった。「妖しい強さってナニ?」と聞かれると答に窮するのだが、派手さはないけど全国津々浦々のレースでしっかりと上位に食い込み、人知れず7点前後の高い勝率を維持している、みたいな。私が勝手に10年ほど前から『艇界のぬらりひょん』と呼んでいる安田は、明日からも随所に妖しい技巧を魅せてくれるはずだ。

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 ってな感じで、今日のこの3人は時系列で12111着という準パーフェクトの成績を残したのである。え、兵庫支部にはもうひとり、重要な男がいるじゃないか? はい、ドリーム戦3号艇の吉川元浩ですな。今日の元浩はスタートで後手を踏んで叩かれまくって4着敗退。この兵庫支部の素晴らしい門出に水を差す締めくくりとなってしまった。正直、この原稿を11Rくらいから書きはじめていた私は、ゲンコーも2着あたりに入って「兵庫支部の4人でオール2連対!」などと〆るつもり満々だったのだが……あざとい予定稿、すいません!!

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 さてさて、今日はインコースが12戦10勝・2着1回。マスターズらしからぬ1日のようでもあり、昨今の記念戦線まんまとも思える1日だった。で、インで敗れたふたりのうち、舟券からもぶっ飛んで唯一の万舟を演出してしまったのが……私と黒須田が推奨する石川真二58号機!(号泣) よりによって、と嘆いても何の実入りもないので、しっかり前を見据えたい。
 今日の実戦自体はまくられ捌かれ潰されて観るべき要素はなかった石川58号機だが、スタート展示の開始直後にハッと息を呑む光景に出くわした。ピットアウトから、明らかに2艇身ほど他艇を出し抜いたのだ。本番はおそらく「ヤラズ」でまったく飛ばなかったものの、6号艇&3号艇の明日はぴょんと飛び出して無理なく絶好のコースを奪うはず。ならば、今日の6着惨敗が美味しい「撒き餌」となるのではないか。58号機のパワーを信じて、明日こそは石川アタマの万舟をゲットするとしよう。ヨコシマな腹づもりを吐露するなら、できればピット離れは「スタ展ヤラズの本番ヤリ」であってもらいたいw(phtos/シギー中尾、text/畠山)