BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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準優ダイジェスト

パワフル2コースまくり

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10R
①毒島 誠(群馬)08
②吉川元浩(兵庫)10
③池永 太(福岡)10
④上平真二(広島)13
⑤馬場貴也(滋賀)15
⑥柳沢 一(愛知)11

 穏やかな枠なり3対3から、スリットは↑御覧のとおりのほぼきれいな横一線。しかもインの毒島だけがゼロ台となれば、通常なら鉄板の逃げきりモード隊形だ。が、今日の毒島はちと相手が悪かった。

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 はい、自慢しちゃいますよ! スリットからの行き足はほぼ一緒に見えたものだが、そこからじわりじわりと出て行ったのは2コースの元浩13号機。今節のゴルゴ13号は往年のモンスター行き足にはほど遠いものの、中堅レベルの毒島55号機とはモノが違う。1マークまでに半分近く覗いた元浩は、毒島が落として先マイの初動を入れた瞬間に上から叩き潰すようなツケマイを繰り出した。一撃決着。

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 この1着で明日の内枠(スロー起こしが濃厚)が約束された今、私から元浩13号機に付けるべき注文はひとつもない。今日のままでも互角以上に戦えると確信しているし、明日は微調整でさらなる上積みがあれば鬼に金棒。優勝できるかどうかは時の運だが、絶大なる信頼を置いて舟券&レースに臨むつもりだ。

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 2着は1周バック5、6番手あたりから凄まじい追い上げで2番手・池永まで追い抜いた柳沢。この43号機のパワーも天晴れの一語だ。戦前から三島敬一郎が「出口の押しが抜群の実践型」と絶賛(←モーター抽選記事)し、私も初日のドリーム戦を観て「回り足A」と鑑定したが、柳沢の調整で日に日にストレート足もアップ。今日の猛追パワーは、もはや「全部の足が強力なバランス型」としてSを授けてもいいだろう。もちろん、明日もたとえ大外でも軽視禁物とお伝えしておく。

魂の3コースまくり

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11R  並び順
①稲田浩二(兵庫)25
②守田俊介(滋賀)19
⑥吉川昭男(滋賀)09
③永井彪也(東京)05
④大峯 豊(山口)06
⑤田村隆信(徳島)06

 吉川フィーバーは続く。『湖国に育む雑草男』(←横断幕)の昭男さんが大仕事をやってのけた。ピットアウトから全速の?モンキーターンで3コースを奪い、100mを切る深い起こしから一撃のまくり圧勝!

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 その大きな勝因のひとつはスリット隊形だ。インの稲田と2コース守田が踏み遅れ。昭男さんはスリットから舳先を左に傾けるだけで花道ができあがったのだが、だからこそ昭男さんの覚悟の踏み込みを絶賛したい。内2艇の動向は歯牙にもかけず、唯我独尊の早仕掛け。常に「一発勝負」と言い続けた決意が、そのままスリットに反映された。左隣にならって少しでも躊躇したら、スロー3艇は永井の4カドまくりに跡形もなく吹き飛ばされたことだろう。

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 もうひとつの勝因は、やはり15号機のパワーだ。特に出足!! 100mを切った昭男さんの起こしからの飛び出しは、とてもスローとは思えなかった。うまく言えないが、ポンッとすぐに出てからスーーーッと伸びて行った。あの軽快な加速がなければ、同じスタートタイミングでもやはり永井に叩き潰されたはず。戦前から「超伸び型で出足はチョボチョボ」とされた15号機は、昭男さんによって別人格に変貌した。その変化が、間違いなく今日のサプライズな前付けまくりを実現させたのだ。レース後のインタビューは、ダミ声の昭男節が炸裂した。
「いやぁ、昭和のまくりですわ」
「(SG初優出は)現実かなぁ、夢ちゃうんかなぁ、起きたら(今日の)朝やったらどないしよ」
 ひとしきりジョークを飛ばした昭男さんの顔がキリリ引き締まった。
「ここまで来たら優出だけでは満足しません。明日も一発勝負!」
 今までSGに3度参戦して3度とも予選落ちした昭男さんとは違う。初日から「これが最後のSGのつもりで戦う」と宣言した“雑草”の魂がモーターを変え、自分自身をも変えた。そんなことを思わせるキリリだった。明日の「一発勝負」も侮れませんぞ!

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 さて、2着争いはバック中間で恐ろしい隊形に。内から順番に②⑤①③④で真一文字の横並びとなったのだ。一抜けした昭男さん以外の再スタート!? で、横一線だからして有利なのはもちろん最内の2号艇。その利を得た守田があたかもイン速攻のようなスピードで2マークを先取りし、そのまま他艇を置き去りにした。なんとなんと、40代の滋賀支部コンビのワンツー決着で3連単は120番人気の596倍! うーーん、心情だけで買える舟券だったなぁ(涙)

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 俊介27号機の足は、お世辞にも「上位」とは言えない。言えないはずなのに、レースの要所要所をしっかり回って着を奪い、のらりくらりとここまで来てしまった。本人がもっとも重視している「乗り味」が良いのはターン回りでわかるのだが、それ以外の足は中堅ど真ん中。うーーん、きっと明日の私も【回A(乗り味)、直B】という鑑定を支持するだろう。正直、センター筋から到底優勝できる足ではないと思うのだが……。

瞬殺の4カドまくり

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12R  並び順
①石野貴之(大阪)09
②市橋卓士(徳島)10
⑥前本泰和(広島)10
③坂口 周(三重)04
④村松修二(広島)11
⑤福来 剛(東京)10

 イン受難は続く。最後の砦として本命党の期待を一身に浴びたであろう「石野信用金庫」も、痛烈なまくりに屈した。10Rが2コースで11Rが3コースで最後は4カドまくり! 鮮やかにそれを決めたのは、「伸び足が抜群」と日に日に評価を高めた坂口33号機だ。前節に阿波勝哉が乗っていたから、という訳ではないだろうが、確かに2日目あたりから彼のストレート足は妙に気になっていた。

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 前本が3コースに潜り込み、スロー勢がほぼ横並びの126/345。100m前後の起こしになったイン石野は、持ち前の気の強さでしっかりゼロ台まで踏み込んだ。市橋も前本も同じくらいまで張り込み、絶好の壁ができたはずだった。が、さらにコンマ04まで突っ込んだ4カドの坂口は、内に連なる3枚の壁を軽々と踏み越えてしまった。畏れていたとおりのストレート足。ちょいと質は違うかもだが、ファイナル組ではこの坂口と柳沢の伸びがツートップと思っていいだろう。2号艇となった坂口が、この強力な兵器をどこからどう生かすか。単に2コースから、と思い込むのは危険な気がするのだが、どうか。

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 2着争いは、まくられてから瞬時に握る「換わり全速」を見せた石野と、6コースから坂口の攻めに連動して差した福来の一騎打ち。石野のあの手この手の追い上げは見るからに絶妙な勝負手だったが、地元の福来がそれらをすべて的確に防御してSG初出場にして初優出を成し遂げた。

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 福来21号機も「スリット付近の足は上々」と戦前から三島が評価していたモーターで、初日あたりは確かにスリット足がゴキゲンに見えたものだ(A+評価)。そこからわずかに手前に寄せて、質のいいバランス型に仕上がったと考えている。つまりは展開ひとつでどこからでも勝ち負けできるパワー。鳴門レディースオールスターの岩崎芳美に続いて、「選手班長のビッグ連続優勝」があったとしても、私はちっとも驚かないだろう。(photos/シギー中尾、text/畠山)