BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――混沌勝負駆け

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 速報にあるように、得点率トップのゆくえは混沌とした。3日目終了時点でトップだった毒島誠が今日、着を落としたのがその端緒だったか(あるいは石野貴之のフライング?)。結果的に、毒島は8R3着でよかっただけに、大敗は痛かった。

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 9R、ここでは平本真之が勝てばトップ確定という状況。しかし4着に敗れてしまう。平本がその状況を知っていたかどうかはわからないが、レース後の悔しがり方はなかなか激しかった。もっとも、平本は敗戦後には決して悔しさを隠さないタイプ。思い切り顔をゆがめて悔恨をあらわにするのが彼のスタイルだ。トップうんぬんがなくとも、たいそう悔しがってみせたに違いない。

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 このレースでは白井英治もまたトップの目を抱えて登場していたが、5着。得点率をぐっと下げてしまっている。白井は、そうした状況にほとんど関係ない雰囲気で、眉間にシワを寄せているのであった。

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 この9Rでは、瓜生正義が1着。得点率5・83としてギリギリ予選突破の目を残している。瓜生が3号艇で1着なのに、2連単マンシュウ、3連単5マンシュウ。「僕も人気がなくなってきた」と笑っていたが、安堵の様子はうかがえるのだった。瓜生は早々に通勤着に着替えていて、それを見た原田幸哉が「まーくん、帰るの?」と訝しがった。10R終了後の1便バスに乗るのか、ということだろう。瓜生はこれを否定。最後まで残っている。つまり、結果的に18位に滑り込んだ瞬間をピットで知ったというわけなのだ。

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 10Rが始まる前、ピットではトップが猫の目のように変わる状況をささやき合いつつ、「でも仁志が有利だよね」という話が持ち上がっていた。ここで篠崎仁志が勝てばトップの座がぐっと近づく。10Rと11Rでトップの可能性が残っていた選手では、ただ一人の1号艇だ。枠的にはたしかにアドバンテージがある。
 仁志はこの状況を知っていたかどうか。見事に逃げ切って戻ってきた仁志の表情は、ひたすら充実感にあふれていた。仮にトップではなくとも、準優1号艇をこの勝利で確定させている。それだけでも、優勝を狙うには大きなことなのだ。

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 で、実は準優への勝負駆けに臨んだ西山貴浩は大敗で予選突破ならず。今日は序盤の時間帯から、キツい番組に組まれたとブー垂れていたのだが(笑)、敗れて帰ってきたらやっぱりブー垂れまくり。まあ、機力的にも分が悪かったから致し方ないだろう。明日明後日も、篠崎兄弟を足したのと同じくらいの投票をしてくれたファンのため、水面を賑わしてくださいな。

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 11R、トップ争いについては、徳増秀樹が勝つかどうか、に絞られている。徳増が勝てばトップ。2着以下なら仁志がトップ。結局、徳増は2着で仁志のトップが確定! 徳増はおおよその状況は把握していたと思われるが、レース後は粛々と控室に戻り、粛々とモーター格納に向かうのみであった。それでも予選2位で、準優は1号艇だ。濃い逃げ切りを見せるのみ、であろう。

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 逃げ切ったのは桐生順平。桐生は1着条件の勝負駆けで、見事に成功させたことになる。また、ボーダー付近にいた中田竜太も、このレースで今垣光太郎と大山千広が大敗したことで予選突破確定。レース後は二人で笑顔を交わし合うことになっている。肩を並べ、和やかに控室に戻っていく桐生と中田からは安堵の様子もうかがえた。埼玉二人そろっての予選突破、心が軽やかになって当然である。

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 3着で予選突破だった大山千広はシンガリ大敗。バックでは3番手並走だったが、2マークで揉まれて一気に後退した。SGのレベルの高さを突き付けられるような展開だっただろう。レース後、大山は瓜生正義と並んで控室へ。瓜生が身振りを加えて話しかけるのを、大山はうなずきながら聞いていた。まさにレース後の瓜生教室。おそらく控室ではリプレイを見ながらのアドバイスもあったことだろう。今日はたしかに残念だった。しかし瓜生先輩とともに戦うことで、またSGで勝負駆けに持ち込んだことで、今日の敗戦を栄養たっぷりの糧にできる。今日も間違いなく、大山千広はステップアップしたのだ。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)