BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――充実と呆然

f:id:boatrace-g-report:20200626122839j:plain

 1R、前田将太のまくりに抵抗して差されたものの、2番手を追走していた平本真之が2周2マークを回って突然の失速。エンジン吊りのためボートリフトのほうに向かっていたほかの選手たちも「ひ、ヒラっ!?」と声をあげて対岸のビジョンに見入った。終わってみればなんと5着。誰が見ても不可思議な後退であった。

f:id:boatrace-g-report:20200626122910j:plain

 ピットに引き上げて「んもぅっ!」と吠える平本。展示を終えて戻ってきた菊地孝平が「巻いたか?」と問いかけた。力なく「ビニール」と平本は答える。どうやら浮遊物をプロペラが巻き込んでしまっての失速だったようだ。もちろん不可抗力であり、平本自身は不完全燃焼もいいところ。そりゃあ吠えるしかない。選手たちはそのやるせない思いをよく理解しているから、着替えを終えた平本には多くの選手が慰めの声をかけていた。まあ、こんな不運もあるのがボートレース。鬱憤晴らすチャンスは必ず来る。

f:id:boatrace-g-report:20200626122946j:plain

 この1Rを勝ったのが前本泰和。地元グラチャン、ようやっと初白星が出た。それでも特に表情を緩めたりしないのがこの男。淡々と引き上げ、淡々と勝利者インタビューに向かっている。5号艇から2コースを奪っての差し切りだったが、後半も2号艇で2コース濃厚。連続の差し切りがあるか!?

f:id:boatrace-g-report:20200626123015j:plain

 2Rは菊地孝平が4カドまくり一撃! 今日は2着3着という条件だが、この1着で後半は4着がメドとなる。自力で後半の条件を楽にしたわけだ。2着に連動した毒島誠と並んで引き上げてきた菊地、その表情の力強いこと! 狙った通りのレースができたと言わんばかりの、充実感あふれる雰囲気だった。後半は2号艇。超抜・上野真之介が4号艇に控えている一戦だ。気分がさらに乗った“菊地コンピュータ”はどんな対抗策を導き出すのか、要注目!

f:id:boatrace-g-report:20200626123042j:plain

 2R発売中のこと、スタート練習を終えてあがってきた西山貴浩が、深川真二と顔を合わせて呆れるように笑った。上半身を折り曲げて、「もう、スゴすぎる!」と。深川も同調して笑う。「足の違いを見せつけられただけですよ!」とぼやく西山。そのスタート練習は、1号艇の西山がインで、4号艇の深川が前付け2コース。それはもちろん、お互いに想定内だっただろう。そして、2号艇の徳増秀樹が3コース。そうです。スタート練習でも、徳増が自慢のパワーを発揮して、内に構えた二人を呆然とさせたわけだ。

f:id:boatrace-g-report:20200626123236j:plain

 本番、その通りになりました(笑)。一気にまくり切った徳増! 西山もこれは笑うしかないだろう。その徳増、もちろん超抜パワーに気を緩めることなく、朝からしっかりと調整に励んでいた。油断なし、である。このまま予選トップを死守して、悲願達成に近づけるのか。上野真之介の動向とあわせて、今日の大きな注目のひとつである!(黒須田)