BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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トライアル1stダイジェスト&シリーズtopics

ド根性の先まくり!

11R
①前本泰和(広島)23
②菊地孝平(静岡)23
③西山貴浩(福岡)15
④徳増秀樹(静岡)12
⑤新田雄史(三重)15
⑥白井英治(山口)16

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 やはりグランプリは、ひと味もふた味もコクが違う。進入は白井が前付けを緩めての枠なり3対3。ただ、これはそんじょそこらの温泉気分の3・3とはワケが違う。特訓から白井がゴリゴリ動き、スタート展示では全員が抵抗して枠なりオールスローになり、最後の最後の外枠3艇のファイナルジャッジがこのシンプルな並びだった。新田も白井も仕方なく、ではない「これが最善」と考えたのだ。理由はひとつ。

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 まくり屋の徳増が伸びるから。
 これに尽きる。スタート展示後に発表された徳増の展示タイムは、異次元ともいうべき6秒56!! 下手に動いて外の徳増を敵に回すより、徳増を4カドにしてまくらせた方が絶好の展開が生まれやすい。そう考えたに違いないし、それはまた徳増の作戦勝ちでもあったはずだ。
 いざ実戦。自分を信頼してくれた外2艇を引き連れて、徳増は行った。スリットから覗くや、すぐに舳先を左に傾けた。

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 だがしかし、徳増の破壊力を肌身で感じていたのは徳増だけではない。カド受けの西山も腹を決めていた。西山はつい10日前の若松BBCトーナメントでも、伸びる徳増に叩き潰されている。ただ、あのときはいわゆる“敗者戦”。今日はまくられ惨敗したら大きな夢が潰える一発勝負だ。
 西山は内で踏み遅れた菊地には目もくれず、しっかりスタートを踏み込んだ。「菊地を超えたらフライング警報」という選手間の常識ものかわ、外の徳増に視線をロックオンした。そして、オラオラのシャクリ態勢に突入した徳増に艇をぶつける気合で徹底抗戦し、外へと張り倒しながら自ら先にまくりを打った。
「気持ちだけ、本当にもう気持ちだけでした」
 レース後のコメントまんまの“まくりブロックまくり”。これが見事に功を奏して、GP初出場にしてトライアル2nd入りを確定させた。ひとまず、おめでとう、ニッシーニャ!! 展開が展開だけに、西山に続いたのは新田、白井の外枠勢だった。道中での思いは「ありがとう、徳さん!」だったかも(笑)。白井は西山と同率の1・3着でフィニッシュし、選考順位の差でこのレースでのトップ当選を決めた。また、ともに2・5着の新田と菊地は首筋の寒い状況で12Rを待つ身となった。

縦長の明暗

12R
①平本真之(愛知)11
②瓜生正義(福岡)09
③松井 繁(大阪)14
④茅原悠紀(岡山)22
⑤岡崎恭裕(福岡)18
⑥井口佳典(三重)21

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 こちらは井口がスタート特訓から一貫して6コースダッシュを選択したため、本番の待機行動は微妙な押し引きがありつつ、やはり枠なり3対3に落ち着いた。茅原のスリット足は徳増には及ばないから、外の2艇は自力と他力の両面を胸に秘めてのコース選択だったと思う。
 11Rはセンター2騎が火花を散らす叩き合いを演じたが、同じく4号艇の1着勝負だった茅原がよもやのスタート遅れ。全速を意識しすぎたか、65号機の行き足が期待に反したのか。とにかく外の2艇もお付き合いでやや踏み遅れ、このレースはスロー3艇が完全に主導権を握った。

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 平本が逃げて、瓜生が差して、松井が握っての正攻法パターン。外からは岡崎が全速でぶん回したが、スタートの差が大きくまったく届かない。そして、ターンの出口でずるずると失速したのが瓜生だった。今日の試運転ではストレート足がアップしたように見えたのだが、2コースに必要な出足系統はやはりここではワースト級だった。好枠2戦を生かしきれなかった無念、推して知るべしだろう。

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 一方、しっかり握り倒して2番手を確保した松井は、昨日同様に冷静かつ的確な立ち回りが目立った。2マークはひとつでも着を上げたい後続艇がわらわら殺到したのだが、顔色ひとつ変えない余裕の抱きマイで楽々とクリア。トライアルの死闘を何十度も経験してきた男が、この程度の渋滞に引っ掛かるはずもなかった。昨日も今日も、何事もなかったかのように3着2着で第一関門を突破した51歳の王者。「流石」という表現が最適だろう。

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 さてさて、GPトライアル最終バトルの醍醐味は1・2着が決まったくらいで色褪せないものなのだが、このレースは2周1マークでその性質を失った。5・6着では危ないと見た岡崎がやや突進気味に切り返し、そこに小回り旋回した瓜生が追突する形で2艇ともに転覆。このまさかの福岡心中で、ほぼ絶望的だった瓜生のみならず岡崎まで脱落する結果となった(岡崎は不良航法)。
 平本~松井~茅原~井口、縦長になって粛々と走る4選手はその真ん中で明と暗に分断されていた。前の2艇は明日に思いを馳せ、後方の2艇はこの2日間の自分と向き合っていたことだろう。昨日の3コースまくり差しから2連勝の平本は文句なしのトップ当選。ソツなく着をまとめた松井も余裕の得点で2nd入りを決めた。そして、2艇の転覆の影響もあって、11Rで肝を冷やしていた菊地と新田が明日の6号艇を分け合うことになった。個人的には、2ndステージを初戦からヒートアップさせる魅力的な配列だと思っている。

アイアンソルジャー躍動!

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 一方、GPシリーズのV戦線の流れはひとりの男にぐんぐん傾いている。地元の石渡鉄兵! 昨日はイン逃げ&4カドまくり(最近、センターからまくるんです)で開幕2連勝。今日は10R2号艇の一走だったが、同期の天才にして選考トップ守田俊介の猛攻を全身全霊で受け止め、返す刀で最内をズバッと差し抜けた。あれよあれよの3連勝で、トライアル降格組をも寄せつけぬトップ街道まっしぐら!
 今シリーズはV候補の守田が待機行動違反などで停滞し、他の有力候補たちもエンジン出しに苦しんだり、抜群パワーを生かしきれなかったり(山口剛だ><)一進一退の選手がやたらと多い。鉄兵はまだ重い枠番を残しているとはいえ、地元ファンやスタッフの応援が間違いなく追い風になるだろう。

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 現時点でのライバルは古豪の深川真二と池田浩二、同郷の長田頼宗、村田修次。そして、明日になればトライアルで脱落した面々が高い得点を手土産に合流参戦することになる。鉄兵の明日は9R5号艇。とりあえず、1号艇で同居する池田に5コースからお歳暮替わりの挨拶をしておきたいところだろう(笑)。

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 さてさて、シリーズ戦のパワー相場は当然と言えば当然なのだが、前検から「ほとんど変わらない」「みんな一緒」「良くも悪くもない中堅」とどんぐり状態を主張するレーサーが多い。やはり、大半のモーターが“余りもの”なのだ。
 そんな中、明らかにシリーズトップ級の行き足~伸びを魅せているのが、山口剛25号機だ。残念ながら1マークや道中は踏んだり蹴ったりで266着と這っているが、その足色はどっからどう見てもシリーズ組では抜けている(断言!)。明日からはトライアル敗戦組も合流するが、それでも間違いなくトップ級(断定!)。予選の残りを真剣勝負で勝ち続けてくれれば、ミラクル予選突破とともに私の財布もふくふくと膨らむことだろう(笑)。とりあえず、明日の2R1号艇は影をも踏ませぬイン逃げを見せてもらいたい。(photos/黒須田、text/畠山)