BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――好メンバーが勝ち上がった!

10R W初優出!

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 準優一発目は、SG初優出の競演だ! 勝ったのは上野真之介。1マークは差されたかのように見えたものだが、そこから一気に突き放して、先頭に立った。やはりエース機パワーは本物だ。昨日は調整にやや失敗していたとのことだが、それが上野に方向性を示し、まさに「いい失敗」(上野談)となって、準優に生かされた。勝利とその調整の成功が、上野のテンションをアップさせる。笑顔でピットに戻ってくると、カメラマンたちの前ではピース! 衒うことなく、喜びを爆発させている。

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 上野には2つの夢があるそうだ。ひとつは、全場でドリーム戦1号艇。「あ、一般戦ですよ」だそうです(笑)。そしてもうひとつが「師匠と一緒に記念の優勝戦に乗ること」。12Rを走る師匠を、先に待ち構えるかたちになった上野。なにしろ記念のさらに上、SGですからね。そのことが上野の気持ちをさらにアゲていたようだ。「一生の思い出になるでしょうね」と言うが、もちろんその上のずっと大きな思い出を本気で狙っている。

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 2着は羽野直也。ヤングスターがついにSGの優勝戦に辿り着いた。現時点ではもちろん登番が最も若いSGファイナリスト。また、ルーキー世代でのSG優出ももちろん彼一人である。
 そんな羽野をさまざまな選手たちが祝福した。福岡勢はもちろん、他地区の選手も。上野とも喜びを分かち合うシーンがあった。そうしたなかで、羽野は素晴らしい笑顔を見せていた。今節、羽野の笑顔を見たのはこれが初めてじゃないかなあ。いや、最近のSGでもほとんど笑顔を見た記憶がない。なにしろ初日の1着が約1年10カ月ぶりのSG勝利だったとのこと。今日のような笑顔が消えているのも自然なことだった。

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 昨年のオーシャンカップで少し話した時、羽野はこちらが振ったわけでもないのに「今、迷ってるんです」と切り出したのだった。また、その迷いを味わうというか、答えが出るまで迷っていこうと決心しているようであった。この世代のフロントローを独走してきた羽野は、一時成績をかなり落としていた。そりゃあ迷いも生じるだろう。あれから約1年が経ち、とにもかくにもSG初優出を手にした。迷いは消えただろうか。答えは出ただろうか。今日の笑顔がそれを肯定するものであるとしたら、羽野はふたたび勢いを増していくだろう。もしかして一気の初優勝も!?

11R 王手!

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 レース後にスリット写真を覗き込んだ新田雄史が、遅れてやってきた松井繁に向かって「消えましたよね!」と勢い込んで話しかけた。松井も、本心からかどうかはわからないが、2、3度うなずく。続けてスリット写真を覗き込んだ松井は、信じられんというような呆れた表情を浮かべた。松井も新田もコンマ10のスタートを切っているのだが、徳増秀樹はコンマ03! 消えたというのは、スリット手前から一気に前に行かれてしまった、というような意味だったか。
 徳増秀樹、圧勝でSG初戴冠に王手だ! エンジン吊り後は粛々と帰ってきた徳増は、しかしさまざまな選手たちに祝福されると、弾けるような笑顔を見せた。カメラマンに向かってポーズまでしてみせるサービスも! 徳増のレース後としてはなかなか珍しい光景だが、大きな大きなチャンスを迎えたことは、徳増の頬を簡単に緩ませたわけだ。

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 徳増は45号機を「本物のエンジン」と表現した。合わせ切れば全部のアシが抜群になり、気候にも左右されることがないという。それがまた、徳増の気持ちを強くさせる。今日は一日じゅう緊張していたというが、エンジンを本物と信じ切っていたからこそ、集中力を保ってレースに臨めたのだ。あと、「思い出に残るエンジン」とも言ってました。
 明日はもちろん最も緊張する一日だろう。徳増はそれを認めながらも、「リラックスしすぎないように」と口にした。昨年のグランプリ、優勝戦1号艇だった石野貴之は、自分でも驚くほどリラックスして当日を過ごしていたという。だが、「これはアカンやつだ」と思い直し、あえて自分を追い込んでいったという。そう、優勝戦1号艇、緊張しないほうがおかしいのだ。リラックスしていたとするなら、むしろどこかに異常を来している可能性があるということだろう。それにすでに気づいている徳増だ。明日、震えて失敗するというような場面は考えにくい。

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 2着は新田雄史。スタートは放ったというから(同じタイミングの松井がずいぶん前に出て行った)、徳増が消えたように見えたのも自然だったか。あるいは自分が消えたという意味? 1年前を思い出す。多摩川グラチャン準優、新田は白井英治とともに勇み足を犯してしまった。あのときの哀愁あふれる背中。当然、SG4つ、GⅠ3カ月を棒に振ったのも痛かった。今年は絶対に切れない。そんな思いが左手を動かしたのだろう。
 ただ、遅れ差しのようなかたちで2番手を獲り切り、それが奏功した可能性はある。つまり、それが可能なほど、出足が来ているということだ。優勝戦は6号艇。前付けも考えるというが、果たして。伸びは明らかに分が悪いというから、黒とか赤とか青とかに譲られたりしたら、あっさりまくられるかもしれないし。とにかく明日は、さらに自信を持てる出足を磨くことになるのだろう。

12R 会心!

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 エンジン吊りを終えて、真っ先に歩き出した菊地孝平は、その先にカメラマンのレンズがずらり並んでいるのを見て、右拳を突き上げた。これもまたサービスショットを提供してくれた場面のわけだが、菊地もまたテンションマックス! 今日の勝者はみなテンションが高かったな。
 4カドまくりで峰竜太を撃破! 会心の一撃を決めたのだから、そりゃあ気分が高揚しまくるというものだろう。今日はやや伸び寄りに調整し、実際に出足が怪しい感じだったそうだ(悪いというわけではないとも)。もし競り合いになったら分が悪いかもしれないというリスクを取りながら、練った策がハマったのだ。こんなに嬉しい勝利もそうそうないだろう。
 明日はどうするか。枠なりなら3カドは? これについては「宮島はスタートが難しいから、全速で行けるかわからないのに3カドにするなら、スローからしっかりダッシュを乗せる」と否定。ただ「ダッシュにするなら、4より外になるでしょうね」だから、新田次第では……と期待も高まる。とにかく、艇界きっての聡明な頭脳をもつ男が明日、何を仕込んでくるのかがレースのカギを握ることになるだろう。今頃宿舎でも策をめぐらせているかも。

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 峰竜太は1号艇ながら2着で、さすがに淡々とした表情で引き上げてきている。ただ、カメラマンたちの前では「笑顔はいかん」などと言って笑わせており、あえて悔しい表情を作ったか。いや、実際に悔しい思いはあったはずだが、それでも最低限のノルマである優出を果たした安堵のほうが強かったか。
 そう、上野の思いにこたえることができたのだ。会見にも淡々とあらわれながら、「こう見えて喜んでるんですよ」と笑わせている。やはり愛弟子と優勝戦を戦えることは、師匠にとっても特別なことなのだ。ただし、「僕が勝って、まだまだだというところを見せつけたかった」とも言っていたから、なかなか厳しい師匠ですな(笑)。それでも、「僕がいちばん勝ちたいですけど、それと同じくらい真之介に勝ってほしいという気持ちもある」そうです。明日は師弟で真っ向勝負だ!(黒須田)