BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――粛々と牙を研ぐ

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 昨日までとは天候がガラリと変わって、雨がぽつりぽつりと落ちる最終日。気温は昨日から下がり、湿度は上がっていて、こうしたとき「選手は調整に忙しくなりそう」などと考えるわけだが、超抜・石野貴之はまったくもって落ち着いた様子である。ペラが外れてはいるけれども、調整所に姿は見当たらず、エンジン吊りになると控室からあらわれるという次第。3Rは北村征嗣が今節最終走、石野はモーター返納のヘルプに加わっていたが、終えるとそのまま控室へ。どうやら朝は試運転をしていたようだが、その感触をもとにしての調整はまだ始まりそうになかった。いいモーターは天候の影響をあまり受けない、とも聞いたりするわけだが、ようするにそういうことなのだろう。

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 もうひとり、守田俊介ものんびりと過ごしている。まあ、これは守田のルーティン。昨日の会見では、「明日は(モーターもペラも)放置します」と言っていたので、その言葉通りではある。まったくもって独特のスタイルであり、それで優出してしまっているのだから天才的なところがあるということだ。それにしても放置って(笑)。

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 精力的だったのは稲田浩二。優出メンバーに入ると足的にはやや見劣っているだけに、パワーアップは必須だろう。相変わらず表情や動きからはその内心がまるで読み取れないのだが、懸命さは伝わってくる。3R発売中にペラを装着していたので、水面に出るのは早いかもしれない。

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 毒島誠はいつも通りにペラ調整所に陣取って、コツコツと調整を続けていた。まだボートを下ろしてはいなかったので、しばらくは陸の上での作業が続きそうだ。午後には雨が上がる予報、湿度や気温も変わってくるだろうから、本格的な試運転と調整はそれ以降となるか。

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 湯川浩司もペラ調整。今日は整備室出入口の脇で作業をしていた。さまざまな種類のゲージを当てて、鋭い目つきで翼面を見つめる。次々にゲージを取り変えてはぎゅっと目を凝らし、時折ハンマーを振るって、また翼面を見つめる、という繰り返しであった。となりでは茅原悠紀も叩いていて、ときどき会話を交わす場面もあった。

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 篠崎仁志は、3R発売中にボートを整備室に運び入れた。今節、本当に何度も、仁志のボートを整備室で見た。最終日も見ることになるとは。仁志は手早くギアケースを外し、調整に取り掛かっていた。大きな作業を始める雰囲気ではなかったから、優勝戦に万全を期しての外回り調整、と考えていいだろう。
 というわけで、今年初のSG優勝戦に向けて、それぞれが粛々と牙を研ぐ。守田の場合は、放置もそういうことだ(笑)。ピットの空気も夕刻に向けてぐんぐんと研ぎ澄まされていくことだろう。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)