この足、狂暴につき。
9R
①原田幸哉(長崎) 14
②瓜生正義(福岡) 15
③松井 繁(大阪) 09
④金子龍介(兵庫) 07
⑤今垣光太郎(福井)05
⑥丸尾義孝(徳島) 14
節イチ級のストレート足を誇る幸哉14号機が危なげなく逃げきった。スタートはぴったり1艇身。ゼロ台まで踏み込んだセンターの近畿コンビがじわり覗いたが、スリットからの伸び返しは幸哉が上。同期の瓜生は壁としてやや希薄だったが、近畿勢の猛攻を寄せつけることなく1マークの出口で圧勝形を築き上げた。
明日は何号艇か現時点では分からないが、イン戦のみならず2、3コースでも勝ち負けに持ち込めるパワーだ。舟券的な理想は「3号艇から、誰かしらの前付けを受け入れての4カド」か。とにかく穴党としては、このバイオレンスな直線足が十二分に活躍できるポジションに入ってもらいたい。
2着は、松井の素早い握りマイにぴったり連動して差し込んだ龍介。昨日のいささか不甲斐ない5・4着を見てパワー評価を下げてしまったのだが、展開をキッチリ突きつつ引き波を軽々と超えた実戦足はなかなかの迫力。3日目にシリーズリーダーに立った足は、やはり軽視すべきではなかった(反省)。
現状、ストレートに関しては中堅に毛が生えた程度なので、たとえば明日は「4カドの幸哉まくりにアウト筋から連動する」というパターンが理想的ではあるな。【3着以内ならオーシャンカップ当確】という勝負駆けも懸かったファイナルだけに、たとえ6号艇でも軽視禁物と肝に銘じておきたい。
穴男の猛ターン
10R 並び順
①西島義則(広島) 11
③今村暢孝(福岡) 17
②飯島昌弘(埼玉) 18
④濱野谷憲吾(東京)28
⑤辻 栄蔵(広島) 17
⑥角谷健吾(東京) 21
『安芸の闘将』西島が命からがら逃げきった。進入隊形は大方の予想通りの13・2/456で、スリットから突出して攻めてきたのは同県の後輩・辻。4カド憲吾の凹みで弾みがついたとは言え、迫力満点の伸び足だった。
1マーク手前、まくりを警戒した西島が強めに握ったところ、2コースから小回りて差した今村、まくり差しに構えた辻がドカドカと内水域に侵入。差されても文句の言えない展開ではあったが、出口からの押し足~行き足がなんとも力強い。じわじわと足を伸ばして2艇の舳先を振り払った。
2マークを旋回して独走態勢に持ち込んだ西島は、そこで明日の1・2号艇のどちらかを不動のものにした。どちらにしても、外隣の枠には怖い怖い幸哉14号艇が居座ることも確定。伸びが中堅レベルの西島と節イチ級の伸びを誇る幸哉の凸凹コンビの並びは、それだけで波乱の匂いを漂わせる気がするのだが、どうだろう。
焦点の2着争いは、準優らしい乱戦になった。2マークの手前は、ドカドカ差して西島に肉薄した辻vs暢孝の一騎打ちムード。なかなかの配当がつく1-5-3に厚く張っていた私はそぞろときめいたが、結果はさにあらず。2艇の競りを横目に、外から外へと全速でぶん回した飯島が、あっという間に2番手を獲りきっていた。辻と暢孝が鍔迫り合いでやや消耗したとはいえ、実に気風のいい全速旋回だった。
「初戦からの213着がすべて万舟」という今節の大穴MVP・飯島が外枠に入ることで、ファイナルにどんな影響を及ぼすのか。もちろん、幸哉の外側に配置されるのは間違いないわけで、スリット展開的には実に怖い存在ではある。節間に1500勝達成という勢い&【ファイナル2着でオーシャンカップ当確】というオプションも含め、明日の穴男の動向に注目したい。
モンハンの咆哮
11R 並び順
①太田和美(大阪)13
④江口晃生(群馬)14
②天野晶夫(愛知)10
③守田俊介(滋賀)08
⑤吉川元浩(兵庫)11
⑥上平真二(広島)15
シリーズリーダーの太田が寒いスリット隊形をものともせずに逃げきった。進入は例によって江口がオラオラ攻めての14・2/356。内2艇は100mを切る起こしを強いられ、3カドにも近い助走距離を得た天野と今節のスタートキング守田が一気に飛び出す勢いを見せたが、そこからの行き足はむしろ太田が上。しっかり伸び返して1マークをくるり旋回した瞬間、ファイナル1号艇に当確ランプが点った。『浪速の新怪物君』と呼ばれて20数年。48歳になった今節の太田は、まさにモンスター級の強さで優勝に驀進している。
ここも焦点は2着争いに。1マークでいちばん惜しかったのは、5コースから凄まじいスピードで艇団のど真ん中に突っ込んだ元浩だった。若手のトップ級か!? と思わせる「見る前に飛ぶ全速の自力まくり差し」。が、残念ながら、その艇団がちょうど団子状態に固まってドン詰まり。前の幅員が1艇身分でも空いていたら、あるいは太田さえも捉えたのでは、と思うほどのターンスピードではあった。
この元浩の早くて速い攻撃によって、大きな活路を見出したのが超人気薄の上平だった。混雑している内の艇を横目に、唯我独尊の最内差し。私の視線も内のいざこざを追っていたのだが、あっという間に緑のカポックが2番手を獲りきっていた。展開の利があったとはいえ、この男の捌きハンドルは実に的確、かつ速い。
バック直線で蓄えた3艇身ほどのアドバンテージをかっちりと残したまま、万舟配当とともに上平が最後のファイナル議席をGETした。もちろん、明日も6号艇。黒須田の受け売りだが、今年のゴルフ『マスターズ』で優勝した松山英樹は日本人で初めてグリーンジャケットに袖を通した。85年目の挑戦で初の快挙なのだから、明日のグリーンカポックが優勝する確率は奇跡と呼ぶほどではないだろう。とにもかくにも、3号艇を与えられた伸びーーる幸哉が攻めれば攻めるほど、上平も含めた外枠勢の勝機がアップすることだけは間違いなさそうだ。モンスターvsモンスターハンターの息詰まる電撃戦に期待したい。(photos/シギー中尾、text/畠山)