BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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ファイナルバトル 私的回顧

飛躍のチケットGET!

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12Rファイナル
①佐藤隆太郎(東京)06
②坪井康晴(静岡)  11
③西橋奈未(福井)  09
④中村 尊(埼玉)  11
⑤宇野弥生(愛知)  11
⑥秋山直之(群馬)  11

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 東都の未来を担うであろう若武者のひとり、115期の隆太郎が鮮やかに逃げきった。勝因を列挙するなら、まずは持ち前のスタート力。デビューして間もない頃からスリット全速にこだわり、質の良いスタートを目指すタイプなのだが、今日はドンピシャのコンマ06、おそらく全速!

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 逆に行き足が強力な坪井、西橋はともにスタート前に上体を起こしてアジャストしており、1マークまで難敵に主導権を渡さなかったのが最大の勝因だろう。質の良いスタートを目指しすぎる(アジャストを嫌う)が故にフライングが多い隆太郎でもあるのだが、今日は文句なしに最高最善のトップスタートだった。

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 それから、この大会ならではの抽選運でも、節イチ級の強さを発揮した。トーナメント2号艇~セミファイナル1号艇~ファイナル1号艇。この好枠を活かしきったのは隆太郎の実力だが、こと“1着条件”の昨日今日でポールポジションを掴み取ったくじ運の強さは頭の片隅にしまっておきたいところ。今日の優勝で掴み取ったチケット=来年度のBBCトーナメントも、随所に抽選運が付きまとうのだから。

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 うむ、こうして振り返ってみれば、2連対率トップ(68%)のモーターを引き当てたのも偶然ではなかったのか?(笑) とこなめモーターは稼働2、3節レベルだから数字は当てにならないのだが、19号機はさすがにバランスの取れた上位級モーターだった。で、上には上がいる分は、枠番・コースの利とスタート力でカバー。つまりは運と機力と実力をしっかりフル稼働しての優勝だった、と思って間違いないだろう。

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 おめでとう、隆太郎君。今節こそ王道の逃げ逃げ優勝だったが、この27歳の真の武器は間違いなく「スタート一撃まくり」だ。最近はもっぱらF2や事故パンなどでまくりが減っているけれど、本来は関東ガマシの伝統を継ぐまくり怪獣なのである。来年度(来年1月)の大舞台=BBCトーナメントでは、あまり自慢の抽選運を発動しすぎることなく、センター筋から強烈な絞めまくりで大穴を開けてもらいたい(笑)。

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 最後に、まだ歴史の浅い大会につき、来年度以降への改善策(?)をひとつだけ添えておきたい。この大会のファイナルは【セミファイナル1着の4選手が1~4号艇、2着からひとりが5号艇、敗者復活戦からひとりが6号艇】という取り決めがあるが、【1着が1~4号艇】という縛りを取っ払って【生き残った6選手全員でファイナル枠番抽選】とした方が、何かと盛り上がるのではなかろうか。

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「それだと、セミファイナルで1着を獲りきった選手が可哀そうだろ」
 という批判もありそうだが、元より初日から偶発性の強い枠番抽選とともに生まれた着順でもあるし、一般シリーズでもあるし、大枚を費やして造られた「スーパーあみだマシン」は6選手が参加してこそダイナミックだし(笑)。今回は前もって【4号艇=中村尊】が決まり、3選手による1~3号艇のあみだ抽選となったが、ちょっと寂しい抽選風景だった。

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――敗者復活戦で生き残った選手が、あみだ抽選で1号艇GET!
――複数のセミファイナル2着の中から第一抽選で生き残った選手が、さらにあみだ抽選でも1号艇GET!
――トーナメント1着~セミファイナル1着のV候補があみだ抽選で6号艇に!?
 こういう下克上の展開があった方が最終バトルそのものを活性化させそうだし、ファン感謝のお祭りイベントに相応しいと思うのだが、どうか。いささか半端な優勝劣敗のルールを取り込むより、2日目のレース後に6選手がスーパーあみだマシンの前で一喜一憂する姿を見たいファンは少なくないだろう。もちろん一長一短のあるアイデアだと自認しつつ、ひとつの可能性として考えていただけたら嬉しい限りだ。(photos/チャーリー池上、text/畠山)