BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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準優ダイジェスト

復活の逃げ

10R
①田中信一郎(大阪)09
②市川哲也(広島)  17
③仲口博崇(愛知)  14
④魚谷智之(兵庫)  12
⑤服部幸男(静岡)  21
⑥角谷健吾(東京)  21

 浪速の古豪・信一郎がインから危なげなく逃げきった。スタートはひとりだけゼロ台の踏み込み。4カドの魚谷もダッシュの利で鋭く飛び出したが、インの大本命を脅かすには至らない。魚谷が絞めるだけ絞めてまくり差しに転嫁した瞬間には、信一郎は優出への花道をまっしぐらに駆け抜けていた。

 次なるファイナリスト=2着を獲りきったのは、やや人気の盲点だった服部。5コースからスタートはドカッと後手を踏んだが、その後の立て直しが素晴らしい。魚谷の強引な攻めにぴったり乗りつつ豪快な全速のまくり差しで、あっという間に逃げる信一郎の後方に貼りついた。

 今節の服部はこうした攻めの判断が先手先手で当たることが多く、若かりし日のやんちゃな幸男君を彷彿させるシーンがままあった。今日も迷いなきマーク差しでファイナルチケットを入手。明日、外枠から突き抜けるようなことがあればデビュー通算100Vにして、2016年12月の児島周年記念以来5年半ぶりの記念制覇となる。

安定の逃げ

11R
①上平真二(広島)12
②吉川昭男(滋賀)15
③瓜生正義(福岡)15
④天野晶夫(愛知)08
⑤林 美憲(徳島)13
⑥松井 繁(大阪)欠場

 6号艇の松井が参加していれば危険な進入争いもありえたが、王者の欠場で5人の利害が一致して穏やかな123/45の枠なりに。このレースもスリットから覗いたのは4カドの天野だった。

 10Rの魚谷よりもさらに突出した見え方だったが、スリット通過後はさほど伸びる気配なし。代わって攻めっ気の強い3コース瓜生が早くて速い握りマイを見せたが、これもイン上平までは届かない。10Rの信一郎同様、外の喧騒をまったく気に掛けることもなく、上平がすんなりあっさり押しきってこのレースの1着も早々に決した。

 2着はスタートで主導権を握った天野。瓜生を行かしてから、冷静な差しハンドルで優出へのアドバンテージもゲットした。回り足が強力な昭男さんが懸命に食らいついたが、激辛な応接でこの追撃をことごとくブロック。最後の最後まで2番手を守りきったが、なかなかにパワフルな一騎討ちだった。
 1マークの先制攻撃が届かなかった瓜生は、その後の追撃足で精彩を欠いた。やはり準優に入ると出足系統で劣勢だったか。私がいちばん期待した美憲は1マークで舳先が天野の艇と接触。差しに入る前にソッポを向いた瞬間、レースが終わったと言うしかない。

王手名人獲り!

12R
①今垣光太郎(福井)14
②山本寛久(岡山)   09
③立間充宏(岡山)   05
④濱野谷憲吾(東京)09
⑤白井英治(山口)   07
⑥辻 栄蔵(広島)   07

 このレースも大本命の1号艇・今垣が逃げきった。が、もっとも背筋の寒い1マークではあった。3コースからスタートを決めた立間の猛烈なツケマイ。それを見越しての2コース寛久の小差し。
 さらに……この岡山コンビの波状攻撃よりも何倍も強烈な長距離弾道ロケットをぶっ放したのが、濱野谷×白井のGP常連コンビだった。いやあ、ふたりがかりであんな狭い所に握りっぱなしで舳先をブッ込むとは!?

 だれが2番手になっても不思議じゃない1マークだったが、もっともスピーディーに間隙を通過した白井がそのまま2番手を確保した。いちどリードを奪ってしまえば、もちろんおいそれと逆転を喰らう白井ではない。その後の道中もやや接戦は続いたが、今垣~白井のワンツー態勢が崩れることはなかった。

 結果、明日のファイナル1号艇は、もちろん地元のスーパースター光太郎! 今日のスリットからの伸び返しも上々で、イン戦で欲しい行き足はソコソコ来ていると思われる。それよりむしろ、光ちゃんの場合は待機行動でソッポを向いている間にインコースを奪われるとか、なぜか起こしタイミングがズレてドカ遅れとか、そんな大一番でのボーンヘッドが怖いのだが、明日はすべて盤石の準備を整えてラストバトルに臨んでもらいたい。(photos/シギー中尾、text/畠山)