広島コンビの暗躍
10R 並び順
①新田雄史(三重)02
②中島孝平(福井)11
③辻 栄蔵(広島)11
④山口 剛(広島)08
⑥長田頼宗(東京)03
⑤関 浩哉(群馬)09
スタート特訓&展示から動く気配を見せていた長田が、本番もオレンジブイからモンキーターンで進軍。どこまで攻める?? と思いきや、それを察知していた山口が上手に受け止め、さほどスロー勢が深くならない12346/5で折り合った。誰が得をして誰が損したのか、分かりにくい変則隊形ではあった。
12秒針が回り、スリットで抜け出したのはイン新田と5コース長田。スリット手前の長田の迫力はなかなかだったが、超えてから伸びて行くパンチ力はなし。ここでも4コース山口が懇切丁寧に面倒を見てから、関東勢に何もさせない二番差しを繰り出した。
一方、内寄りではスタート張り込んだ新田がすんなりのインモンキー。私が回り足に期待した中島は、忍者・栄蔵のツケマイ気味の握りマイを浴びて完全に尻もち。今節の2コースがホーム向かい風で大敗するパターンなのだが、62号機をもってしてもこのトラップを掻い潜ることはできなかった。
バック直線で新田のイチヌケが決まり、二番手は1マークまでにしっかり働いた広島勢が横並び。どこまで作戦かは不明だが、【③辻が超速攻で難敵・中島を引き波にハメる×④山口が外を止めて辻に連動する】という阿吽の呼吸が炸裂した見え方ではあった。
ただし! 準優という性質上、ここからは安芸の同胞が敵味方に分かれる。『仁義なき広島抗争編』は熾烈を極め、ふたりの舳先が入れ替わったりもしたのだが、最後の決め手は2周バックのストレート差だったか。回り足一辺倒の辻に対し、今日はできる限りパンチ力を付けた感のある山口がグングン伸びて突出。そのまま忍者の追撃を抑え込み、真剣勝負の報酬としてファイナルチケットを受け取った。
山口20号機(29%)に対する私のパワー評価は、初日から一定して「こじんまり印象でなにかしら特徴欲しい中堅」としていたが、今日は直線部分をB→Aに上げるべきかも。それでも、トータル中堅上位までと値踏みしているのだが、どうだろうか。
3人ゴボー抜きの神業
11R 並び順
①平本真之(愛知)
②白井英治(山口)
③瓜生正義(福岡)
④池田浩二(愛知)
⑥坪井康晴(静岡)
⑤原田幸哉(長崎)
地元の坪井が動いたが、池田がこれをしっかりブロック。最終隊形は奇しくも10Rとまったく同じ12346/5で落ち着いた。スロー勢の起こしも100mちょいでほぼ同じ。ただ、10Rとの大きな違いは4コース池田のまさかのドカ遅れ! 地元での優出を目指す坪井がこの断層を見逃すはずもなく、ダムが決壊したように外から坪井~原田のゼロ台コンビが一気に池田を呑み込んでバックは大混戦だ。
とは言え、今日の浜名湖は無敵のイン水面。直前まで10戦9勝という流れそのままに、平本が外の混乱をまったく寄せつけずにバック直線で勝利を決定づけた。レース後の平本は「調整がうまくいった」とニンマリしており、節間でいちばん仕上がっていた可能性は高い。
さて、大混戦の1マークから力強く二番手に抜け出したのは、地元の坪井!! さらに外からまくり差した幸哉~3コース握りマイで攻めた瓜生が2マークに殺到。2着はこの3人の誰かしらと見ていたのだが、1マーク最内からスススと抜け出したのは、あっと驚く白井英治!? 上記の3人を回すだけ回し、自身はたっぷりと外に開いて冷徹な差しハンドルを貫いていた。
そう、白井にはいつでもこれがある。圧倒的に不利な態勢だったはずなのに、1ミリの焦りもなく先行艇の隙を探してそこに舳先を突き入れる。SG準優という大舞台で、「3人を行かせて差す」という“待ち技”は、もはや神の領域かも?? だからして、このゴボー抜き2着にどんだけ機力が加担したかは、私にはまったく分からない。誰か分かる人がいたら、教えてください(笑)。
恐るべきダークホース
12R
①菊地孝平(静岡) 07
②丸野一樹(滋賀) 15
③上野真之介(佐賀)14
④片岡雅裕(香川) 02
⑤守田俊介(滋賀) 07
⑥馬場貴也(滋賀 ) 10
結果から言うと、大本命の菊地が本日11本目の1号艇勝利⇒ファイナル1号艇をもぎ取ったのだが、準優の中でもっとも危険にしてスリリングな1着だった。
白熱のドラマを演出したのは、このメンバーではダークホース的存在の片岡だ。↑御覧のようなタイミング(菊地曰く「大馬鹿野郎のスタート」w)でスリットを通過するや、迷うことなくゴリゴリの絞めまくり! 瞬く間にカド受けの上野~2コース丸野を引き波にハメ込み、イン菊地まで仕留める勢いだ。
しかし、インコースからコンマ07の菊地もしっかり伸び返し、ここで片岡は得意のまくり差しを選択。ターン出口でズドンと舳先を突っ込み、バック直線はサイドバイサイドの一騎討ちに持ち込んだ。
で、昨日までの足色を見てきた私は「2マークまでに外の菊地が優位を広げ、強ツケマイで攻め潰すかも?」と予測していたのだが、片岡の伸び足も素晴らしい。おそらく節イチの行き足~伸びを誇る菊地52号機に決定的な差を許さず、そのままコースの利で2マークを先制。このあたりのパワーは前検から気に入っていた(ちょいと自慢)のだが、まさかここまで菊地に食らいつくとは思わなんだ。
「誰かに突っ込まれたらアウト」と思いつつ、2マークの菊地はそれでも行かせての差しを選択。このギャンブルがものの見事に功を奏して、なんとか逆転の1着をもぎ取った。その後も鬼気迫る握りマイで肉薄した「艇界のマー君」には特大の天晴れを贈りたい。この2着で明日の6号艇を強いられた片岡だが、今日のデッドヒートを見る限りはアウトからでも“歴史を塗り替える”可能性がワンチャンある、とお伝えしておこう。(photos/シギー中尾、text/畠山)